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「世界IBD(炎症性腸疾患)デー」に、”見えない難病”と闘う患者さんが未来に向けて思うこと

「世界IBD(炎症性腸疾患)デー」に、”見えない難病”と闘う患者さんが未来に向けて思うこと

#SHOW CASE
  • 働きがいも経済成長も

毎年5月19日は「世界IBDデー」・「IBDを理解する日」に制定されていることをご存知でしょうか?
「IBD(炎症性腸疾患)」とは潰瘍性大腸炎とクローン病の総称であり、最も患者数の多い指定難病と言われています。最近では歌手のMACOさんが闘病生活を明かしたことで話題になりました。
SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」のターゲットには、「若者や障害者を含む全ての男性及び女性が、自分らしく働けるようにする」という項目が設けられていますが、今回は、「炎症性腸疾患(IBD)メディアセミナー」の取材を通して、IBDの患者さんと自分らしく働くことにフューチャーしていきます。

「お腹痛いのなんて我慢しなさい」それ、実は炎症性腸疾患かも?

アッヴィ合同会社は、5月19日の「IBDを理解する日」および「世界IBDデー」にあわせて、IBDをより深く理解するための『炎症性腸疾患(IBD)メディアセミナー』を5月11日に開催しました。炎症性腸疾患(IBD)は、原因は不明、根治方法も見つかっていない指定難病であり、主な症状が”下痢”や“腹痛”という身近な症状のため、疾患であることを周りに気づかれにくい「見えない難病」とも言われています。また、悪化すると腸の切除手術や人工肛門の造設などが必要となり、生活に大きな影響を与える可能性もあります。
同セミナーでは、IBD患者さんとそうでない方791名を対象に行った調査の結果が発表され、IBDの認知度や患者さんと一般の人との認識のギャップなどが明らかになりました。まず、一般の人「あなたは炎症性腸疾患(IBD)-潰瘍性大腸炎/クローン病を知っていますか」という質問をすると、約9割(90.8%)が「全く知らない」または「聞いたことはあるが、どんな病気かは全く知らない」と回答。一般の人はほとんどが知らない病気であるということが分かりました。

世界IBD(炎症性腸疾患)デー

患者さんと一般の人の意識には大きなギャップが存在。周囲の理解を得ることが、自分らしく働くことへの第一歩

調査結果の中で特に目を引いたのは、実際に患者さんが私生活で困っていることと、一般の人がIBDになったら困ると感じていることに大きなギャップがあったことです。回答として、実際の患者さんは服薬や治療継続に最も困難さを感じていた一方で、一般の人は痛みの困難さを選択した人が多いという結果に。このことから、日常生活における困難な事象に関しても認識の違いがあることが分かりました。IBD患者代表として登壇されたNPO法人IBDネットワークの山田貴代加さんは、「私は、職場でも周囲に病気のことを伝えていたので、働くうえでの体制は整っていたと思いますし、理解がありました。ただ、それでも体力がなかったり休憩時間も長く取る必要があったりするので、ズルをしていると思われているのではないかと感じることもありました」と話しました。

「なんで食べられんと?」素朴な疑問に答えられない、立ちはだかる大きな壁

山田さんは、学生時代に困難だったことを聞かれると「治療の関係で栄養剤を飲むことしかできない状況で学校に通っていましたが、お弁当の時間にクラスメイトが美味しそうに食べている姿を見ると辛い気持ちになることもありました。また、友人たちも『なんで食べられんと?』と聞いてくるので、見た目にはわからないという点から説明に困った記憶もあります」と語りました。
例えば、明日あなたが学校や会社で知人に「実は、花粉症なんだよね」と言われたら、「目かゆくない?」「鼻辛いよね」と会話は自然に膨らんでいくことでしょう。では、同様に「実は、IBDなんだよね」と言われたらどうでしょう?おそらく、IBDの存在を知らなければ何も答えることができないのではないかと思います。物理的に痛みを軽減させることや症状を軽くすることはできなくても、「知っている」というその事実が誰かの助けになることがあるかもしれません。
5月19日の「IBDを理解する日」をきっかけに、見えないから見なくていいではなく、見えない壁を見透かせるような世の中の在り方を、みんなで一緒に考えていきませんか?

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