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循環型でサステナブルな「ものを捨てない社会」の実現を目指す! 家具・家電サブスクサービス「CLAS」の挑戦とは

循環型でサステナブルな「ものを捨てない社会」の実現を目指す! 家具・家電サブスクサービス「CLAS」の挑戦とは

#SHOW CASE
  • つくる責任つかう責任

長引くコロナ禍の影響で私たちの消費行動は大きく変化し続けています。総務省統計局の「新型コロナウイルス感染症により消費行動に大きな影響が見られた主な品目など」(2021年9月7日発表)によると、今年7月だけを見ても、「飲酒・食事代」「旅行費用」「教養娯楽」「衣類や化粧品」が2年前に比べて大幅なマイナス傾向。逆に、増加傾向にあるのが、「食料」や「保健医療」としてのマスクや石鹸など衛生用品です。また、巣籠り需要と外出自粛により「家具・家事用品」が増えています。

今回は、そんな「家具」にまつわる取り組みをご紹介します。お話を伺ったのは、自身の引越しをきっかけに家具のあり方に疑問を感じ、家具・家電のサブスクリプションサービス「CLAS(クラス)」を2018年に創業した久保 裕丈(くぼ ひろたけ)さん。同社では、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」の達成に向けた事業活動を推進。また2021年9月8日には、耐久消費財の「サブスクマーケットプレイス」への事業拡大を発表しました。循環型の“所有しない利用”を推し進めることで、サステナブルな「ものを捨てない社会づくり」の実現を目指しています。

サステナブルを考え始めたきっかけと「CLAS(クラス)」設立

「私がサステナブルやSDGsを考えはじめたきっかけは、自身の引越しです。現在の家に引っ越す際に、それまで持っていた家具を便利屋さんに頼んで持って行ってもらったのですが、積まれていく家具を見て、とても心が痛みました」

こう語る久保さんは、引越しで生まれる家具を粗大ゴミにしないために会社を設立し、サブスク家具サービスを開始。個人・法人向けに必要なときに必要なものをレンタルし、不要になったら返却することで安価で手軽に家具・家電の導入を可能にしました。そして返却された家具は、専門のリペア職人によって修繕やリフレッシュを施し、新品同様によみがえらせた上でセカンドハンド品として、次のユーザーに使用いただく。これは、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」のターゲット12.2「2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。」を実現する一歩であり、企業の責務と考えています。

家具のあり方は、どう変化しているのでしょうか。

「現代社会は、家具を捨てるサイクルが早まっています。家具の低コスト化と働き方の変化に加え、今回のコロナ禍の影響で首都圏を離れる人が増えたことが要因のひとつだと思います。また、仮に引越しをしないまでも、自宅にいる時間が長くなったことで、心地よい環境づくりのために家具を新しくする人も増えました。つまり、家具を買うことそのものが時代にそぐわないのかもしれない。それならば、その考えを変えた方がいいと思ったんです

プライベートブランド家具の開発

CLASでは、100社を超えるメーカー商品と、100点ほどのプライベートブランド(PB)家具を取り扱い、ユーザーが気軽に発注や交換でき、最小負担で利用できる場を提供。逆にメーカーに対しては、手間なく簡単に出品して継続的に収益を得ることができる環境を整備しています。またPB家具は、パーツ単位で管理。部分的に破損・劣化した場合もパーツ交換によって商品を廃棄することなく、長く使用できます。

しかも、複数のお客様への貸し出しでクリーニングできない汚れや傷が発生した際には、塗装を施して新たな価値を持って再提供する仕組みとラインナップを強化し、借り主に送る、使う、戻す、リペアしてまた貸し出すサイクルにより、循環可能なサステナブルなプライベートブランド(PB)として構築していきます。

「サステナブルであることは、“耐久性が高く、リペアできる”ことだと思います。もし、汚れたものが自分のところにきたら気持ちよくないし、循環する理由が根付きません。だからこそ、戻ってきたときにきれいにリペアできることを考えました。プライベートブランドは、一定程度、風味が変わることは必至なので、逆に風味の変化を楽しめるようにしていきたいです」とする「このプライベートブランドの作成で、同じように考える家具屋さんが出てきてくれたらいいなぁ、と思っています。そのための指針を作っていきたいと考えています」と今後への展望も語りました。

<プライベートブランド家具について>
◇ダイニングテーブル
統一された規格のボルトと汎用性の高い脚の接合方法を採用し、流用性の高さを実現。

◇ソファ
組み合わせの多さとカバーリングによる外観の多様化で、様々な使用環境へのマッチングを高めています。

◇循環可能な家具について
クリーニングできない汚れや傷が発生した際には、塗装を施して新たな価値を持って再提供します。

今後、実施していきたいサステナブルの取り組みについて

「会社全体の活動としては、どれだけ廃棄物を減らしていけるか。まだできていないのが悔しい」と語る久保さんは、「どれだけ廃棄を減らせるかが大きな課題です。でも少なくとも今年度中には半分にできるかなとは思っています」と続けます。

このインタビューのあと、クラスは総額約21億円の資金調達を実施し、「サブスクリプションサービスのマーケットプレイス」の一歩を踏み出す発表をしました。今後は、採用・組織体制を強化し、サービス提供エリアおよび取り扱いジャンルと商品点数を拡大、サブスクのマーケットプレイスとして加速化するとのことです。

最後に、久保さんは愛犬の話題と共に、インタビューを締めくくりました。

「私には愛犬がいるのですが、これまで実はたばこのポイ捨てを意識したことがあまりありませんでした。一人暮らしでいたときは自分基準。でも今、愛犬と一緒に散歩に行くと路上にはたくさんのたばこの吸い殻が捨てられていることを知りました。プラスチックごみの問題もそうですが、誰もが自分ひとりくらいやっても大丈夫でしょう、と思ってしまいがちです。でも、その行動によって死に追いやられてしまう生き物がたくさんいるんだということに犬を飼うことで気づかされました。
家具についても同じです。犬や猫はもちろん、乳幼児が口に含むことを考えて、有害な塗料を使わないなどの配慮をしていくことが大事なことだと思っています。そして、自分よりも弱い存在がいるからこそ、環境のことを考えて行動しなくてはいけないのだと強く思っています」


久保さんが言う、循環型の「ものを捨てない社会づくり」は、急務です。今一度、一人ひとりが暮らしの中での「買う・捨てる」について考えるべきタイミングなのではないでしょうか。

【プロフィール】
株式会社クラス代表取締役社長 久保 裕丈(くぼ ひろたけ)
東京大学、大学院卒業後に、米系コンサル会社A.T.Kearneyに入社。商社・メーカー・金融機関等への全社戦略策定や企業買収を手がける。
退社後、2012年に女性向け通販サイト MUSE & Co.を設立し、後に売却。2017年には日本版バチェラーの初代を務めた。

株式会社クラス 公式HPはこちら

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