剛力彩芽が振り返る“SDGs元年” ニッポン放送『SDGs MAGAZINE』 まとめ・前編(2021年1~6月)
女優、剛力彩芽さんと持続可能な開発目標「SDGs(エスディージーズ)」を学ぶニッポン放送の特別番組『SDGs MAGAZINE』。2021年最後となった12月10日の放送では、この1年間の番組を月毎に振り返りつつ、SDGsにまつわる世の中の動きを取り上げる形で進行した。今年も多くのゲストを招き、いろいろな取り組みが紹介された同番組。パーソナリティとしてSDGsを学び、発信する剛力さんが今、思うことは-。
◇◇◇
年末の風物詩「現代用語の基礎知識 2021ユーキャン新語・流行語大賞」が発表され、大賞こそ「リアル二刀流/ショータイム」に譲ったものの、そこには「SDGs」に関するワードがいくつもノミネートされた。「SDGs」という、まさにそのものの単語に始まり、「ジェンダー平等」「Z世代」など。
剛力さんは「やっと・・・という感じもしますけど、そこまで浸透したんだなという思いもあります。私もSDGsと言うようになったのは、(番組が始まった昨年3月から)この2年くらいですが、テレビなどで扱われる機会も増えましたし、よくそのワードを聞くようにもなりました。今年は『SDGs元年』とも言われていますし、より注目して捉えられてきているワードなんだなと感じました」と、改めて注目が高まっていることを実感した様子だった。
SDGsが着実に浸透する中、2020年3月から、ほぼ月一回で放送されてきたのが、このニッポン放送の特別番組。2年目も、多くのゲストが出演し、さまざまなテーマでSDGsを掘り下げてきた。今回は、今年1年間に番組で取り上げたこと、世の中のSDGsにまつわる動きについて、剛力さんが月毎に振り返る“まとめ”的な内容となった。
【2021年1月】
テーマ:ゴール3「すべての人に健康と福祉を」、ゴール8「働き甲斐も経済成長も」
ゲスト:明治大学准教授・飯田泰之さん、株式会社ヤンセンファーマ・岸和田直美さん
https://sdgsmagazine.jp/2021/01/29/1051/
https://sdgsmagazine.jp/2021/01/29/1034/
日本経済・ビジネスエコノミクス・経済政策・マクロ経済学を専門とし、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(月~金、前6:00~8:00)にも出演中の飯田泰之氏が出演。経済学者の立場からSDGsの意味合いやゴール8についての現状や課題を語ってもらった。
剛力 「背景としては、ちょうどこの時期に2回目の緊急事態宣言が発令されて、コロナ禍による新卒採用見送りが相次いだり、家族の理解や周囲の差別といったことを理由にした看護師や准看護師の離職が増えていたり、ということがありました。やりたいことができないというのは、本当に苦しいし、悔しいこと。来年が本当にどうなっていくか。今年1年を踏まえて、来年どうしていくか考えていかないといけないですよね」
ヤンセンファーマ社でコミュニケーション&パブリックアフェアーズ部セラピューティックエリア・コミュニケーションリーダーを務める岸和田さんも出演。仕事と病の両立を目指す「ワークシックバランス」という考え方について学んだ。
剛力 「働く人の約3人に1人が通院を必要とする持病を抱える中、どう周囲が理解し、どう自分らしい働き方を選ぶかという話。これも衝撃というか、会社自体が理解していくということがすごく大事だなと思いました。自分の持病だったり、女性なら必ず月に一回くる生理だったりとかで、つらいと言える環境ってすごく大事だと思うし、ありがたいし、仕事をしやすくなると思います。話しやすい環境の中で、みんなが力を合わせて仕事をできる環境が、もっともっと増えていくと良いなと思いますし、これをもっと広めていきたいなと思いました」
【2月】
テーマ:ゴール7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
ゲスト:一般財団法人日本エネルギー経済研究所・山下ゆかりさん、みんな電力株式会社・大石英司代表取締役
https://sdgsmagazine.jp/2021/02/22/1111/
https://sdgsmagazine.jp/2021/02/22/1131/
エネルギー問題とSDGsの関係性を取り上げた回。寒波や大雪の影響で、全国的な電力需給が逼迫しているというニュースが話題となる中での特集に、剛力さんは「難しかった回ですね。あまり考えたことがなかった問題でした」と率直に振り返る。
さらに、2011年に設立され、太陽光や風力など自然エネルギー、再生可能エネルギーを中心とした電力の小売りサービスを展開している「みんな電力」の取り組みについても紹介され「大石さんの話も面白かったですね。顔が見える電気。顔が見える野菜・・・とかもありますが、顔が見える相手から電気を買うって面白いなと思いました。私は引っ越した後に、まだやっていないので、来年からやろうかなと思います。本当に、エネルギーや電気は日本では当たり前にある環境ですが、それを当たり前と思っていてはいけないなと感じました。電力が、どういうところで、どれだけ使われているかを理解しながら生活する。まず意識する、というところが大事だなと改めて感じましたね」
【3月】
テーマ:ゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」
ゲスト:社会学者・上野千鶴子さん、慶応大学大学院・蟹江憲史教授
https://sdgsmagazine.jp/2021/03/08/1203/
https://sdgsmagazine.jp/2021/03/09/1238/
3月8日は、国連が定めた「国際女性デー」。東京五輪・パラリンピック組織員会の会長を務めていた森喜朗元首相の「女性蔑視発言」も話題になった時期に、日本のジェンダー問題へ深く切り込む内容となった。
剛力 「上野先生には厳しいご意見をいただきました。何で女性というワードがSDGsには多いのか。それだけ、女性が社会で要職に就けていないことが多い。ジェンダー平等と言っているのに、何で男性のワードが少ないのだろう、女性というワードが多いのだろうと思った時に、まだまだ会社で言えば女性が上の立場に立ったり、発言したりしづらい世の中なんだなと改めて思いました」
一方で、剛力さんは「ここって、一番発言がしづらいところでもある」と吐露。「男性が言えない環境っていうのも良くないと思うんです。女性をどんどん世の中に・・・という中で、男性が発言しづらくなる環境も私の中では違う、ジェンダー平等ではないと思う。全ての人が平等である社会を実現するにはどうしたらいいのか。すごく考えさせられる回だったなと思います。一人一人を尊重する、大事にするということの重要性を改めて感じましたし、それを一人一人ができたらいいなと思いました」と、現在の思いを明かした。
同じく3月にはNHK「クローズアップ現代」で知られるキャスターの国谷裕子さん、お笑いコンビ・ココリコの田中直樹さんが出演した生放送特番もあり、それぞれ「この地球、子供に残せますか?」をテーマに、国谷さんにはゴール1「貧困をなくそう」、田中さんにはゴール14「海の豊かさを守ろう」について語ってもらった。
剛力 「『人間』ではなくカタカナの『ヒト』、いわゆる動物の一つとして魚と同じ目線になり、友だちになる。この田中さんの提言は素敵でした。何かユーモアというか、本当に難しく考えないで、SDGsとの距離が近くなる感じ。こういう風に発信できたら何て素敵だと思いましたし、本当に海や魚が好きなんだろうなというのを田中さんからは感じました」
また、3月8日には東京・目黒区のウェスティンホテル東京で「国際女性デー HAPPY WOMAN AWARD 2021 for SDGs」の表彰式が開催され、剛力さんが出席。このラジオ番組やネットを通じてSDGsを分かりやすく発信していることなどが評価され「HAPPY WOMAN AWARD」を受賞した。
剛力 「発信する側の人間として、SDGsを含めて、いろいろなことを伝えていけたら良いなと改めて感じましたね。あとは、スピーチが緊張した(笑)。貴重な、背筋が伸びる賞をいただいたので、また改めて気を引き締めて頑張ろうと思いました。ありがとうございます!」
【4月】
テーマ:ゴール13「気候変動に具体的な対策を」
ゲスト:国立環境研究所・江守正多さん
https://sdgsmagazine.jp/2021/04/03/1389/
https://sdgsmagazine.jp/2021/04/03/1391/
地球のことを考えて行動する日である4月22日の「アースデー」を前にした放送で話題となったのが「気候変動」。国立環境研究所・地球システム領域副領域長で、4月から東京大学大学院広域科学専攻客員教授を務める江守正多氏を招き、気候変動の問題の基本から日本や世界の現状まで、今地球で何が起きているのかを解説してもらった。
「『化石燃料文明を今世紀中に卒業しよう』という提言など、『COP26』(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)にも繋がる話をしました。ここも正直、難しいなと思うゴールですが、分かりやすく言うと、自分の子供時代とかを考えると今は気温とか圧倒的に変わっている。そういうところから振り返ってみて、自分の置かれている状況、過ごしてきた環境を考えると、他人事じゃないよねと思える。難しいワードとか数字が入ってくると、難しいのかなと思ってしまうけど、そういうところは、いろんな専門家の方に聞いて、そんなに難しく考えることではないんだなということは、すごく勉強して感じたことですね」
【5月】
テーマ:ゴール15「陸の豊かさも守ろう」
ゲスト:日本動物園水族館協会・成島悦男専務理事、慶応大学大学院・蟹江憲史教授
https://sdgsmagazine.jp/2021/05/15/1576/
https://sdgsmagazine.jp/2021/05/15/1596/
絶滅危惧種の問題など、動物園の取り組みとSDGsの関係性を深掘りした回。年間約4万種類の生物が絶滅していること、過去1000万年の平均より10倍から100倍のペースで絶滅しているという事実が説明され「衝撃」を受けたという剛力さん。「人と動物の距離が近づきすぎている」など、問題点が指摘された。
剛力 「いわゆる“害獣”と呼ばれるものも、私たちがそこに入っていったのか、それとも入ってきたのかという問題がある。でも、私たちも生活していかなくてはいけない。共存できる世の中にしたいし、ほど良い距離感を考えていかないといけないなと感じました」
【6月】
テーマ:ゴール12「つくる責任 つかう責任」、ゴール11「住み続けられるまちづくりを」、ゴール14「海の豊かさを守ろう」
ゲスト:お笑いコンビ・マシンガンズの滝沢秀一さん、慶応大学大学院・蟹江憲史教授
https://sdgsmagazine.jp/2021/06/21/2048/
https://sdgsmagazine.jp/2021/06/21/2081/
出産費用として定収入を得るため、お笑い芸人の仕事を続けながらごみ収集会社に就職ししごみ清掃員の面白さ、奥深さを知り、その体験をテレビ、漫画、エッセイ、ツイッターなどで発信して話題になっている滝沢さん。配慮して出されているゴミを「美人ゴミ」と形容するなど、“現場目線”からゴミ問題を分かりやすく解説してくれた。
剛力 「滝沢さんの提言の『ゴミという概念をなくす』という考え方はすごいなと思いました。紙は資源、生ゴミはコンポスト(堆肥化)、プラスチックも資源にすればゴミという概念がなくなる。『美人ゴミ』というワードにも、ドキドキしました。ゴミって、そこまで見られているんだ・・・と。ゴミというものを意識することで、買うものだったりとか、買う量だったりが本当に変わってくる。これは一番身近にできる、うまくやれば楽しくできるSDGsに繋がる取り組みのような気がします。SDGsに関わる活動をやってみたい、でも何して良いか分からないという人には入りやすい、挑戦しやすいことだなと思いました。滝沢さんは清掃員として働いていますが、2030年には“リサイクル工場”で働く世界にしたいとおっしゃられていました。ゴミじゃないんですよね。きれいに分けたら、そういう世界になる。私ももっと意識しようと思います」(後編につづく)