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身近なところからSDGsを考えるー 1月の大特価の波の中SALEを辞めた企業まとめ

身近なところからSDGsを考えるー 1月の大特価の波の中SALEを辞めた企業まとめ

#SHOW CASE
  • つくる責任つかう責任

世界的に広がっているサステナブルへの取組みですが、ファッション業界も例外ではありません。ファッション業界では、製造時のエネルギーの使用量やライフサイクルの短さなどから環境負荷がとても大きい産業であると指摘され、国際的な課題にもなっています。

また、商品の大量生産や大量廃棄による環境汚染も問題視され、このような背景の中、サステナブルへの取組みの一つとして、SALEを廃止する企業もでてきました。消費者としては「安くいいものを買えた」というSALEならではの楽しみがなくなり、少しさみしいところではありますが、サステナブルな社会を実現するためには、私たち消費者の意識も変えていく必要があるのかもしれません。

ここではサステナブルへの取組みとして、SALEを辞めた企業をまとめました。

SALE廃止から一転、SALE再開のMHL

SALE廃止の難しさを象徴しているのが、MHLかもしれません。MHLでは2020年6月にSALE廃止のアナウンスがされましたが、2021年6月にはSALEが再開されました。MHLや運営元の株式会社TSIホールディングスのホームページでは理由を確認することができませんでしたが、サステナブルへの取組みと事業発展を両立させることの難しさが、この一連の出来事から読み取ることができます。

SALEは再開されましたが、「2022年2月期 上期決算説明会」資料を確認すると、以下の企業メッセージが記されており、引き続き積極的にサステナブルに取り組んでいくようです。

“市場に求められていない量の衣服を環境に負荷をかけながら大量生産し、価格を下げて売り捌く時代は終わった。大量調達による原価調整よりもむしろ、値引きや残在庫による余剰を出さない高収益体質へ今上期、我々は舵を切った。”

また、MHLは廃棄される商品を加工により再生販売させる「OVERDYE PRODUCT」を展開。全国に店舗を増やすなどの取り組みをしています。サステナブルへの取り組みと事業発展をどのように両立させていくかを模索しながら、最適解を見つけようとしているのかもしれません。

SALE廃止に、サステナブル素材を採用するロンハーマン

積極的にサステナブルに取り組んでいる印象が強いロンハーマンですが、2023年までに店舗でのSALEを廃止することを表明しています。
プロパー商品の消化率80%を目指し、余剰在庫に関しては、仕入れや在庫の最適化を進めたうえで、やむを得ず残ってしまった在庫はアウトレット店舗で消費するなど、循環型の新規事業開発に取り組んでいます。

また、オリジナル商品で使用しているコットン、ポリエステル、ナイロンに関して、2025年までに100%サステナブルまたはリサイクル素材に切り替えることも表明しています。ロンハーマンはSALE廃止だけにはとどまらず、素材にも着目しています。

SALE廃止に、大規模な値下げを実行した無印良品

無印良品は売上の1/4を占めている衣料品のSALEを廃止、さらに大規模な値下げを実行しました。

この大規模な値下げを実現した裏には、素材の選択から工程の見直し、包装の簡略化などを何度も繰り返し、「原料の仕入れから始まり、糸にして製品にし、貿易して国内に入ってからの配送など、長いサプライチェーンの各所でコストを見直した」という、まさに企業努力があってこその値下げ、SALE廃止だということがわかります。

ただし、会員向けのキャンペーン「無印良品週間」やシーズンの変わり目に行う「季節の品のお買い得」は引き続き実施する見通しのようです。

その他、子供服のファミリアでは2016年にすでにSALE廃止を発表していますが、ブランド力を高めることで、売上と収益を高める取り組みのほか、顧客の入口である0~1歳の乳児関連を強化するなど、各社各様さまざまなサステナブルへの取組みをしています。

SALEに頼らずに事業を発展させることが今後のポイント

ファッション業界は、原材料の調達から、生地や衣服の製造、そして輸送から廃棄に至るまで、それぞれのプロセスで環境に大きな影響を与えていると指摘されています。企業も環境負荷を少しでも低減させるために、それぞれのプロセスにおいて様々な取組みをしています。その取組みの一つとして、SALE廃止を決めた企業もありますが、SALEの売上に頼らずに事業を発展させることがサステナブルな社会の実現に繋がるとも言えます。

一方、企業は事業の発展という命題も抱えています。無印良品のようなきめ細やかな企業努力も必要になりますし、サステナブルな社会の実現には、企業に課せられた責任はもちろんありますが、私たち消費者も責任があることを認識する必要があるのかもしれません。

ある発表によると、私たち消費者が購入する衣類は増加し続けている一方、購入品の半分以上が1年以内に廃棄されていたというデータがあります。大量生産・大量消費の時代は終わったことを認識し、サステナブルに取組んでいる企業の商品を積極的に購入するなど、企業の取組み姿勢も評価することが大切な時代になっていくのではないでしょうか。

今回はSALEを辞めた企業についてご紹介しました。サステナブルな社会の実現には、SALEを辞めるなどの企業の努力も大切ですが、私たち消費者も意識を変えていくことも同時に求められているのかもしれません。企業の努力に加えて、私たち一人ひとりの意識と行動が、きっと大きな変化につながるはずです。

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