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知る人ぞ知る?オーストラリアの資源業界で『働きたい会社』の上位常連、リオティントのSDGs

知る人ぞ知る?オーストラリアの資源業界で『働きたい会社』の上位常連、リオティントのSDGs

#SHOW CASE
  • エネルギーをみんなにそしてクリーンに

鉱物資源メジャーとして知られるリオティントは、鉄鉱石を主軸にしながらアルミや銅などさまざまな製品の主な原料となる鉱物や金属を扱う企業です。また、チタン、ホウ酸塩などの産業鉱物でも大きなシェアを握っています。

たとえば、1920年代と最も早くから日本向けに供給を開始したホウ酸塩は、スマートフォンや液晶テレビのディスプレイに用いられるガラス基板の生産に不可欠な素材ですが、リオティントは世界精製ホウ素需要の約30%を供給しています。

「かつてはウラン精鉱でも大手3社の一角を占めていました」
こう話すのは前職の大手商社で原子燃料を担当し、2003年にリオティントに転職した奥野さんです。「当時の日本は、原子力発電を推進する世界有数のウラン消費国でした。前職ではウラン鉱山プロジェクトの担当として海外駐在も経験しました。私はリオティントジャパンでウラン精鉱と石炭のセールス&マーケティングを担当した後、2017年からは財務・人事も含めた管理部門を統括しています。現在はグループ全体で起きていることを把握する立場にあるため、社の事業の幅の広さを日々感じています」

​そんな奥野さんにリオティントの​​サステナブル​な​取り組​み​​についてお話をお伺いしました。

化石燃料を扱わない資源メジャーが取り組む「脱炭素」

2021年4月からはリオティントジャパンの広報そして日本の企業との新規事業開発も兼任する奥野さんは、グループが抱える課題の多さにも直面しているそう。「最も大きな課題の一つは脱炭素化。オーストラリアにある鉱山やアルミニウムの製錬所の多くが火力発電に依存しているため、再生可能エネルギーへの転換が不可欠な状況です。リオティントから鉱物や金属を購入している事業者のCO2排出量削減も、我々の課題のひとつ。鉱物を掘って、精製、製錬して顧客に届けるまでに発生するリオティント・グループ全体のCO2排出量は年間で約3150万トンですが、当社の鉱物や金属をもとに事業者がつくる製品の製造過程で発生するCO2はそのおよそ16倍もあるのです」

事業者各社が抱える脱炭素化の主要課題はスコープ1(直接排出量)とスコープ2(操業のために使用するエネルギー供給元の排出量)ですが、リオティントはスコープ3(その他の間接排出量)の排出削減までをも視野に入れて取り組んでいます。
「日本の企業の意識も大きく変わってきています。2018年に当社が石炭事業を売却して資源メジャーとして唯一の化石燃料を扱わない会社になったときには、顧客企業より賛否両論様々なご意見をいただきました。しかし、その後は脱炭素化の流れで石炭関連のプロジェクトの権利を手放す日本の商社も相次いだ。2020年12月には、当社の鉄鉱石採掘からお客様が製鉄工程で排出されるCO2も含めた、バリューチェーン全体での脱炭素に向けたパートナーシップ構築を日本製鉄と発表いたしました。」

SDGsの重点課題を実現する鍵は「日本のパートナー企業」

この脱炭素化を含め、リオティントジャパンは今取り組むべき課題として4つの柱を立てている。残り3つはサーキュラーエコノミー(循環型経済)とDX(デジタルトランスフォーメーション化)、そしてニューマテリアル(リオティントで取扱いのない鉱物を指す)の取り扱いです。実は、これらの実現に、日本のパートナー企業が不可欠だそう。
「循環型経済は当社の鉱物や金属を原料として使用している直接の事業者やその先のメーカーを含むサプライチェーンに係る全てのステークホルダーの連携なしでは実現しません。DXも同様。当社がさまざまな国に擁する鉱山では日本の企業が開発した無人トラックや鉄道、ハイスペックな建機などが多く活用されています。ニューマテリアルの分野でもバッテリーの電極材になる素材などを協力して探索するなど、優れた技術力を持つ日本企業とのパートナーシップが不可欠と考えています」
だが、ここにも課題が。
「オーストラリアでは資源産業を支える1社として常に『働きたい会社』の上位に入るリオティントですが、日本での認知度はまだ低い。商社や直接取引のある業界では知られていますが、その先のメーカーには当社を知らない人も多い。まず、リオティントを知ってもらい、新たなパートナー企業の創出を後押しすることも私の役割のひとつと思っています」

一方でリオティントは企業カルチャーの改革という大きな課題にも取り組んでいます。

一昨年、オーストラリアの鉄鉱石採掘場の拡張に際し、先住民族の洞窟遺跡を破壊してしまう事故を起こして、大きな批判を浴びました。調査委員会が立ち上げられ、オーストラリアの国会に担当役員がたびたび参考人招致され、当時のCEOが事実上辞任するほど大きな問題に発展しています。浮き彫りになったことのひとつは、情報伝達が不十分な同社の組織構造と企業カルチャー。
「新たに就任したCEOは、そうした組織、カルチャーの改革に力を入れています」社内改革、外部のパートナーシップ創出、それらの先に、リオティントが重視する脱炭素化や循環型社会の実現が見えてくるのかもしれない。

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