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「喫煙者だって受動喫煙を避けたい」煙のない喫煙所は増えるのか?

「喫煙者だって受動喫煙を避けたい」煙のない喫煙所は増えるのか?

#SHOW CASE

喫煙所で煙を嫌そうに避けていくアイコスユーザーを見ながら、紙たばこを好んで吸う筆者は、「せっかく、アイコスに変えても、喫煙所が一緒だとあまり変わらないのでは?」なんてことを思っていた。
今や当たり前となった分煙により、非喫煙者の望まない受動喫煙については法律の整備が進んでいます。一方で、同じ喫煙者のなかではどうでしょうか? 友人・知人が健康のため、匂いが気になるから、家族に言われて・・といった理由で紙たばこから乗り換えていき、わたしも変えようかと思うたび、喫煙所のことが頭をよぎります。
ところが、事情が変わりつつあり、加熱式たばこ専用の喫煙所がメーカー主導の元、全国に広がりつつあるという。

<もくじ>
受動喫煙にまつわる現状
フィリップモリスの「煙のないランドマーク」
事例『煙のない自転車競技用ドーム』
法律も味方?

受動喫煙にまつわる現状

受動喫煙対策については、2018年7月健康増進法の一部を改正する法律が成立し、望まない受動喫煙を防止するための取り組みがマナーからルールへと変わりました。
第一種施設と呼ばれる「学校、病院、薬局、児童福祉施設等、行政機関の庁舎」などについては敷津内禁煙。第二種施設である「事務所、工場、ホテル・旅館、飲食店、船舶、鉄道等の上記以外の多数の者(2名以上)が利用する施設)」は原則屋内禁煙となっています。

加熱式たばこや無煙たばこ(鼻や口に直接たばこをふくんで味・香りをたのしむ、煙の出ないたばこ)である嗅ぎたばこ、噛みたばこなど、紙巻たばこの代替品もここ数年急増しています。タバコ対策の研究に従事している、大阪国際がんセンターがん対策センター疫学統計部副部長の田淵貴大氏による、2018年に実施した調査からは、日本の成人の約10%もの人が新型タバコを吸っていることがわかっています。

加熱式たばこ専用の喫煙所を全国に広げる取り組みとは?

IQOSなどを販売するフィリップ モリス ジャパン合同会社(以下PMJ)は「煙のない社会」の実現に向け、加熱式たばこのみ利用可能な「煙のない」施設や観光地などを全国で広げる取組みを推進しています。観光地や地域を代表する大型施設、飲食店などにおいて、紙巻たばこの喫煙をめぐる様々な課題解決への機運が高まる中、自治体や組織の課題解決をサポートする取組みとして、地域を代表する観光地やリゾート、商業施設などに加熱式たばこ専用室・エリアを導入する「煙のないランドマーク」を全国に広げています。
※画像 関連する素材を挿入お願いします

事例『煙のない自転車競技用ドーム』

この考えに賛同した株式会社JPFの運営する、千葉競輪場跡地に新設された大規模な自転車競技場「TIPSTAR DOME CHIBA」は『煙のない自転車競技用ドーム』として2021年始動しました。「TIPSTAR DOME CHIBA」では、ハイレベルな競技性とエンターテインメント性が融合した、新しいスポーツエンターテインメント「PIST6 Championship」(以下、PIST6)が実施されています。

この自転車競技用ドームにおいて喫煙できる場所は加熱式たばこ専用室のみになり、そこに期待される効果は2つあります。
まず一つ目は火災リスクを減らすことができる点です。加熱式たばこは、紙巻たばこと異なり、たばこ葉を燃やすのではなく加熱することによって、たばこベイパー(蒸気)を発生させるため、煙は出ていません。

二つ目は、前述したとおり、たばこ葉に火をつけて「燃やす」のではなく「加熱」することで、煙ではなく蒸気を発生させているため、発生する有害性成分の量も大幅に低減することができる点です。
幅広い世代に自転車競技の素晴らしさを伝えるPIST6では、非喫煙者および昨今増加している加熱式たばこユーザーの紙巻たばこの煙による望まない受動喫煙への対策として加熱式たばこ専用室を設置しています。

改正された健康増進法から見る「加熱式たばこユーザーの望まない受動喫煙」

企業が非喫煙の健康や加熱式たばこユーザーの望まない受動喫煙について対策を広げていこうとする動きがあるのは分かりました。法律面でも「加熱式たばこ専用の喫煙所」が加速する形になっているのでしょうか?特に受動喫煙が避けるのが難しい飲食店について、注目してみてみたいと思います。

2018年7月健康増進法が一部を改正する法律が成立し、2020年4月1日から全面施行となった受動喫煙防止法。飲食店では原則屋内禁煙となっています。但し、特定の条件や場所により喫煙室の設置が認められています。

画像:厚生労働省「各種喫煙室早わかり」

上記の画像をみると、飲食を伴う席での喫煙が認められているのは、喫煙目的室と喫煙可能室の2タイプです。前者の「喫煙目的室」は喫煙を主目的とするバー、スナック等が当てはまり、主食を除くとされています。後者の「喫煙可能室」についても以下3つの条件があります。

・2020年3月31日時点で営業を開始している
・資本金が5,000万円以下
・客席の面積が100㎡以下

厚生労働省のHPによると「経営規模の小さな飲食店については、事業継続に影響を与えることが考えられることから、これに配慮し、経過措置として、こうした飲食店を既存特定飲食提供施設*とし、喫煙可能室の設置を可能としています。」とのこと。
つまり、これからオープンする主食のあるお店では紙巻たばこを吸いながらの飲食ができなくなります。

なお、電子タバコは規制の対象外です。紙巻たばこや加熱式たばこと異なりタバコ葉を使用しておらず、受動喫煙による健康被害を与える物質を発生させないため、対象外となっています。

今まで、紙巻たばこの喫煙をめぐる喫煙者と非喫煙者間の受動喫煙問題に対して、分煙・禁煙化が推進されてきました。 今後は「TIPSTAR DOME CHIBA」のように、加熱式たばこ専用の喫煙室が増え、喫煙者のなかでの区分けがされていきそうです。

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