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【解説】SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」とは?解決すべき課題や現状

【解説】SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」とは?解決すべき課題や現状

#SHOW CASE
  • すべての人に健康と福祉を

SDGsの一つにSDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」という目標が設けられており、医療や福祉に関するテーマの元、9つの目標と4つのターゲットが掲げられています。では「すべての人に健康と福祉を」とは一体どのようなものなのでしょうか。ここからは、その現状や達成に向けて私たちができることなどを解説します。

SDGs目標3の現状と課題について

人々が健康であれば、体も心も満たされた幸せな生活を送ることができます。しかし世界では、医療や福祉サービスを受けられる人が少ないのが現状です。

①医療の不平等

SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」が設けられている理由は、医療の不平等が問題になっているからです。病気になったとしても、全ての人がすぐに医師に診察してもらえるとは限りません。日本では414人に対して1人の医師がいると言われていますが、世界では数万人に対して1人の医師しかいない国も少なくないのです。世界銀行とWHOが発表した「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)に焦点を当てる:グローバル・モニタリング報告書」によると、全世界人口の半分である約35億人が基本的な保険医療サービスを受けられずにいるという結果が発表されています。

この問題には、「病院・医者が少ない」「十分な数の薬を確保できない」などの原因が挙げられます。貧困地域では、医療や福祉に使うお金がない人もたくさんおり、病院に行けず予防接種やワクチンといった基本的な医療サービスを受けられなかった結果、命を落とす人も少なくありません。このような現状により、医療の不平等が取り組むべき課題の一つだとされています。
そして、最低限の医療も保証されていない地域では、もちろん福祉サービスを受けることも不可能です。

②乳幼児/妊産婦の死亡率

また世界では、5歳の誕生日を迎える前に命を落としてしまう子どもが1年間に約520万人もいます。そのうち生後28日以内に亡くなる新生児の数は約250万人と半数近くを占めていると言われています。これは赤ちゃんを産む環境が十分に整っていなかったり、妊婦へのケアが不十分というのが原因です。そのほとんどはサハラ以南のアフリカや南アジアの子どもたちで、大人になることさえも困難となっています。

ユニセフ統計・調査・政策局長のローレンス・シャンディは、「緊急に行動を起こさなければ、今から2030年までに、その半数を新生児が占める5歳未満児5,600万人が命を落とします」と延べています。子どもたちの命を守るためには、早急に医薬品や安全に使用可能な水、電力、ワクチンなどの普及が重要です。

また、妊産婦の死亡率も深刻な問題で、2015年には妊娠や出産時の合併症で約30万人もの女性が亡くなっています。農村部の場合、医療従事者が出産に付き添う件数はわずか56%しかないという統計もあります。妊産婦の死亡が多い地域は、家族計画への取り組みが遅れているというのも大きな問題です。妊娠や家族計画の考え方を普及させ、妊娠件数を減らすことも妊産婦の死亡件数を下げることに繋がるでしょう。

③感染症・伝染病

安全で健康に生きていくためには、きれいな水や衛生環境が良い場所を確保しなければいけません。しかし途上国では汚れた水を飲んだり不衛生な場所で生活するしかなく、感染症や伝染病を発症する人が後を絶ちません。その中でもエイズ、結核、マラリアは世界三大感染症と呼ばれており、感染力の高さから毎年多くの人が命を落としています。

また顧みられない熱帯病や水系感染症への対策も課題とされています。顧みられない熱帯病とは熱帯や亜熱帯地域を中心に蔓延しているもので、スラムや最貧国で暮らす何億人もの人々が感染しているとも報告されています。水系感染症は水を媒介として感染する病気です。世界中の人々の健康を守るために、これらの感染症・伝染病に対する対策が求められています。感染対策を行うのは途上国だけでは難しいため、世界各国の協力が必要となるでしょう。

SDGs目標3達成に向けて私たちができること

日本は衛生環境が良く、すぐに医療が受けられる体制が整っている国です。日本人はとても恵まれた環境にいるものの、世界中では毎日たくさんの人が病気で亡くなっています。SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」を実現させるためには国際社会が取り組みを行うことはもちろん、私たち一人ひとりができることから行動する必要があります。一人ひとりができることは限られていますが、多くの人が少しでも行動すれば世界中にその活動が広がっていくことでしょう。

①健康意識を高める

日本には医療体制が整っていますが、将来的にそれが崩壊する可能性もあります。今後の日本は少子高齢化により高齢者が増えることで、医療費の負担が難しくなっていくからです。日本の恵まれた医療体制を維持するために、健康意識を高めて病気予防に取り組むことが大切です。日常生活の中で病気予防に取り組めば、そもそも病気になる人を減らせます。病気になったり死亡するリスクが下がると、医療費の負担を減らせるというメリットもあります。

健康意識を高めるといっても、難しいことを考える必要はありません。夜更かしや間食をしない、適度に体を動かすなど、健康でいるためにできることはたくさんあります。健康でいるためにはどのような食べ物が良いのか、食生活を改めるのも良いでしょう。高齢になっても寝たきりになることなく、健康的で質の高い生活が送れるように、今から健康に対しての意識を高めていきましょう。

②手洗いとうがいの実践を続ける

感染症予防で重要なのは、手洗いとうがいです。手洗いやうがいは自分が病気になるのを予防するだけでなく、周りの人に病気をうつすのを防ぎます。自分が病気にならないことが、他人の健康を守ることに繋がります。ちょっとした風邪でもいきなり重症化して命を落とすリスクがあるため、正しい手洗いとうがいの方法を身につけて、継続的に実践することが大切です。

また手洗いとうがいと合わせて、マスクを着用するのも良いでしょう。感染症が多い時期にマスクをつけることで、鼻や口からウイルスが侵入するのを防ぎます。手洗いやうがい、マスクの着用は小さなことに思えるかもしれません。しかしどんな小さなことでも健康に良いことを続けていけば、世界中の人々の健康を維持することに繋がるのではないでしょうか。

③ワクチン募金

途上国の人々のワクチン接種が進むように、ワクチン募金に積極的に参加することから始めてみるのも良いでしょう。実際に途上国に行って、医療や福祉をサポートできる人は限られています。しかしワクチン募金なら、日本にいながら気軽に参加できます。医療を充実させるためには、お金が必要です。医療や福祉の支援を必要としている国は多く、全ての地域に資金が行き届いていないのが現状です。支援団体への寄付は少額から可能なので誰でも参加できます。例えば、ユニセフで3,000円寄付すると、多くの子どもの命を奪っている肺炎の治療薬を61人分確保できます。

ある支援団体では1,500円寄付すると60人にはしかの予防接種、3,000円寄付すると難民や避難民120人に基礎医療を届けられます。無理のない範囲で寄付することが、途上国の方たちへの手助けとなるのです。また、ペットボトルキャップや書き損じはがきの回収など、ワクチンを届けるための活動は他にもたくさんあります。寄付金以外の活動も多いので、お金を持たない子どもでも気軽に協力できるでしょう。

自分と周りの人の健康のために、できることから始めましょう

SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」を達成するためには、個人ができる小さな取り組みから行うことが大切です。世界中で医療や福祉に関する認識が高まれば、たくさんの人が健康な生活を送れるようになるはずです。世界の現状を把握して、私たちができることから変えていきましょう。まずは日常生活に取り入れやすいことから始めてみてはいかがでしょうか。

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