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【解説】SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」とは?解決すべき課題や現状

【解説】SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」とは?解決すべき課題や現状

#SHOW CASE
  • 人や国の不平等をなくそう

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で「持続可能な開発目標」を意味します。SDGsには17の大きな目標と169のターゲットがあり、SDGsの目標10では「人や国の不平等をなくそう」が定められています。これは世界各地で様々な不平等が問題になっているためです。世界には幾つもの国があり、人種や民族も様々です。しかし、そのすべてが平和で平等な環境にいるわけではありません。ここではSDGsの目標10の詳細や世界における不平等の現状、不平等を改善させる取り組みについてお伝えします。

SDGs目標10の現状と課題について

SDGs目標の10「人や国の不平等をなくそう」が定められたのは、貧困や飢え、争いなどの問題が不平等から発生しているためです。中でも貧富の差は世界的な問題であり、どの国でも不平等による貧富の差が生じていると言っても過言ではありません。

①貧富の差は世界的な問題

アメリカを例にした場合、国全体の資産の約7割を所有しているのが全国民の1割程度の富裕層と言われています。また、国全体で算出される所得総額の約5割を富裕層が占めていることから、富の集中化と呼ばれる状態になっている事実は否定できません。アメリカにおける富裕層は白人が多く、貧困層と呼ばれる低所得者や失業者は黒人やアジア系など白人以外の人種が多数になっているのが現状です。

貧富の差は様々な国で起きていますが、その多くは民族や人種、宗教などに対する差別が根底にあります。開発途上国では古くからの慣習の他、法律で特定の民族や人種に対する制限を定めているケースもあります。仕事を選ぶことができない、一定額以上の資産を所有できないなど差別的な内容ですが、このような法律を定めている国は治安が悪く経済状態も安定していない傾向にあることから自発的な改善が難しいと言えます。

②グローバル化による不平等の拡大

現代社会はグローバル化が進み、世界中で多くの人々が行き来しています。外国との繋がりが身近になっている一方、不平等が拡大しているのも事実です。グローバル化による不平等の拡大事例として移民問題があります。移民とは主に働くことを目的として外国へ移住した人のことですが、移民のすべてが十分な稼ぎを得られるわけではありません。イギリスの場合、人口の約2割に当たる1200万人が移民やその子孫とされていますが、その半数が貧困層に該当します。移民のすべてが移住先の国の言語や習慣、価値観を理解しているとは限りません。無知や誤解からトラブルに見舞われ、仕事に従事できないことがあります。また、移民に対する差別感情が就労を困難にしているのも事実です。

移民の多くは出生国でも貧困層だったので、必然的に移住先でも貧困に陥るという見方があります。そのようなケースがあるのも事実ですが、移民であることを理由に不平等な状態に置かれている現状が正当化されるわけではありません。移民への不当な扱いは世界の多くの国で起こっている問題であり、個人の問題と軽視することはできないのです。

③日本における不平等の問題について

日本は諸外国と異なり、極端な貧富の差は存在しないという認識が一般的でした。しかし実際は所得格差が非常に大きく、ユニセフの調査では先進国の中でワースト8位の状態です。厚生労働省によれば国民の7人に1人が貧困層であり、ひとり親世帯は全体の過半数、65歳以上の高齢者がいる世帯は3割弱が貧困の状態とされています。また、技能実習生という名目で外国人の労働者が安い賃金で働かされているのも大きな問題です。日本では特定の民族や人種が暴力的に排除されたり、貧困状態の人が医療や福祉サービスの利用を拒否されるなどの明確なトラブルが少ない一方で社会問題として認識されにくい傾向にあります。
不平等から起こる貧困や争いは決して絵空事ではなく、誰の身にも起こり得るという認識を持つことが重要です。問題に正面から取り組む姿勢を持つことが日本の課題と言えるでしょう。

SDGs目標10達成に向けて私たちができること

SDGs目標10達成には国際的な取り組みが必要ですが、個人レベルでも、企業の中でもできることはたくさんあります。

①差別は誰の身にも起こる身近な問題

「人や国の不平等をなくそう」という表現から貧困や差別などの不平等は国家単位で取り組む大きな問題のイメージがあります。世界の国々が不平等の改善を目指すことも大切ですが、不平等の多くは身近な問題であることも事実です。身近な差別としてもっとも多いのが性別を理由にした差別と言えます。日常会話の中で何気なく用いる「男のくせに」「女らしく」などの表現は典型的な例です。発言した人に差別の意図がなかったとしても、性別に対する先入観や偏見を持っている事実は否定できません。些細なことのように思えますが、体と心の性別が一致していない人など特定の人にとっては非常に攻撃的な表現と言えます。

また、障害に対する差別も身近な問題です。障害者は他者の介助を必要とする事態が少なくありませんが、そのことを理由に障害者を劣った存在と見なすケースが稀にあります。自力での移動が難しいなど障害者の身体機能に難があるのは事実ですが、障害が人の優劣を決めるものではありません。昔は前世の悪行の報いなど迷信に基づく差別がありましたが、現在でも医学的な根拠のない思い込みや偏見で障害者を忌避する傾向があるのも事実です。正しい知識を学ぶ機会を設けるなど差別を解消するための取り組みが各地で行われています。差別などあり得ないと頭ごなしに否定するのではなく、どのような事柄でも受け止め方次第で差別になり得る事実を把握する必要があります。

差別の解消は決して容易ではありませんが、まずは自分ができることに取り組み、意識や考え方を少しずつ変えることが大切と言えるでしょう。

②広い視野を持つことが不平等解消の第一歩

社会格差は世界的な問題になっていますが、日本も例外ではありません。人種差別や移民差別が格差をもたらすイメージがありますが、日本でも性別や出身地、外国人への差別が様々な格差の根源になっています。女性だから会社の役職に就けない、この地域の出身だから結婚を断られたなどのケースは珍しくありません。グローバル化によって様々な国の人が日本を訪れ、中には永住する人もいますが、そのような人に対する偏見も根強く残っています。自分とは異なる容姿や価値観を抱く人に対して警戒や忌避の感情を抱くのは自然なことですが、感情に任せて拒絶するのではなく、多角的な考えを持って状況を把握する姿勢が必要です。外国人に対する偏見を解消する方法として国際交流への参加が挙げられます。

国際交流は国が関与する大掛かりなイベントのイメージがありますが、留学生と触れ合ったり移住した外国人と寝食を共にするのも国際交流です。決して仰々しいものではなく、自分と同じひとりの人間として対等に接することが国際交流の目的と言えます。肌や瞳の色、価値観などが自分とは違っていても同じ人間であるのは紛れもない事実です。違いを違いとして受け止め、拒絶せずに理解することが差別を解消する条件と言えるでしょう。差別や格差の問題は根深く、一朝一夕で解消されるものではありません。しかし、ひとりひとりが違っていることを認識し、頭ごなしに否定しないことが広い視野を持つことに繋がります。様々な国際交流に参加し、物事の捉え方や価値観は人によって異なることを学ぶのが不平等をなくすための取り組みになります。

身近な所から始められるSDGs目標10への取り組み

不平等は個人が感じる些細な事柄から国単位の大規模な問題など様々ですが、いずれも貧困や争いの根源になっている事実は否定できません。不平等の解消は容易ではありませんが、暮らしの中にある身近な差別のように先入観や偏見を見直すことで解消に至るケースもあります。個人でできることは積極的に取り組み、広い視野を持って行動することが大切です。

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