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【解説】SDGs目標11 「住み続けられるまちづくりを」とは?解決すべき課題や現状

【解説】SDGs目標11 「住み続けられるまちづくりを」とは?解決すべき課題や現状

#SHOW CASE
  • 住み続けられるまちづくりを

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で「持続可能な開発目標」を意味します。SDGsには17の大きな目標と169のターゲットがあり、そのうちの1つとして目標11「住み続けられるまちづくりを」が掲げられています。この記事では目標が一体どのようなものなのか、その概要とスラム・都市への人口集中など目標に関連する世界的な問題、併せて日本の現状や課題も解説します。

SDGs目標11の現状と課題について

SDGsにおいて目標11「住み続けられるまちづくりを」が掲げられているのは、自然災害に強く、人口が増えても安心安全に暮らせる都市をつくることが、世界の人々が快適な生活を送るために重要であるためです。そのようなまちづくりには具体的にどのようなことが必要なのでしょうか。世界・日本の現状や課題などを踏まえながら説明します。

①目標11の達成のため解決すべき問題

目標11の達成のため、世界的に取り組まなければならない大きな問題は主に2つ「都市部への人口集中」「スラム」です。現在世界の人口の約50%は都市部に居住していると言われています。そして、世界の人口増加などの影響により、都市部に居住する人口は今後も増え続け、2030年には60%を超えると見られています。都市部には交通アクセスが良好であること、公共サービスが充実していること、災害への対策が考えられていることなど、さまざまな魅力があります。このような魅力のあるエリアに居住することにより、暮らしのクオリティはアップするでしょう。ただし、上質な暮らしを求めて都市部に居住する人が増える一方で、人口の増加に都市部の機能が追い付かないという問題も発生しています。

また、都市の中で経済格差が激しくなり、困窮する人々によってスラムが形成されるという問題も。都市部は機能的で便利なエリアである反面、土地や物価が高いというデメリットもあります。そのため、例えば住宅の価格も高額になりがちです。十分な住居を確保できず、生活に必要なインフラサービスも受けることができない、その結果スラムなどに住まざるを得ない状況になる人が多いのです。2014年時点では、開発途上国の都市部に住む人のうち、約30%がスラムの住人であると推計されていました。現在はこのときよりもさらにスラムに居住している人の割合が増えている可能性もあると見られています。このような住まい・暮らしに関する問題を解決し目標を達成すべく、目標11には10個のターゲットが設定されています。その中には「住宅や基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する」なども明確にうたわれています。

②日本の現状と課題

日本の都市部においてはスラム街などはほとんど見られません。しかし、都市部への人口集中は他国同様問題になっています。具体的には都市部以外の地方から人口が流出し過疎化が進むという問題です。過疎によって日本全体で起こっている少子高齢化が、特に地方で加速しています。住み続けられるまちづくりという観点から見れば、地方は機能を維持するだけの人口の確保が難しく非常に危うい状態であると言えるでしょう。都市以外の地方の人口をいかに増やすかが日本のまちづくりにおける最大の課題です。

この人口の偏りを解消するため、国や自治体、企業などによってさまざま取り組みが行われています。例えば地方自治体においては移住の促進事業を行っているところも多く見られます。移住者への住宅支援や補助金給付、就労支援など、多様な特典を設けている自治体も珍しくありません。また、企業の中には本社機能を都市部から地方に移すことにより、その地域の活性化への寄与を試みているところもあります。そのほか、地震が多い日本は災害対策も重要な課題の1つ。地域ごとに災害対策は行われているものの、まだ十分でない部分も多く、皆が安心安全に暮らせるまちづくりが実現できているとは言い切れない状況です。

SDGs目標11達成に向けて私たちができること

SDGsの目標11を達成するためには、私たち1人ひとりの努力も大切です。それでは、目標達成に向けて私たちが具体的にできることを紹介します。

①地域の魅力を発信する

私たちにできることとしてまず挙げられるのは、地域の魅力発信です。人口が少ない地域には決して魅力がないわけではありません。数多くの魅力があるにも関わらず、それがあまり知られていない可能性があります。例えば文化遺産や自然遺産など、世界に誇れる地域の財産があれば積極的に発信すべきです。また、世界規模のものがなくても、地域の魅力発信はできます。豊かな自然、美味しい農作物や特産品、古くから伝わる伝統、歴史的な史跡・建造物、手厚い住民サービス、温かい地域性など、発信できるポイントは多数。地域の魅力に規模は関係ないのです。地域の良いところを知る人が多くなれば、その地域に観光などで訪れたり、また移住を検討したりする人も出てくるでしょう。現代はネットワークが発展し、誰でも自分から世界に向けて発信することができます。地域の魅力発信は個人でも十分可能です。住んでいる自分だからこそわかる地域の魅力を、地域外の人にもどんどん知ってもらいましょう。

②1人ひとりが防災意識を高める

災害対策は国や自治体など行政側だけが力を入れればそれで良いわけではありません。災害が起きたとき、実際に行動するのは自分自身です。そのため、私たち1人1人が防災意識を高めることが、災害に強いまちづくりにもつながります。例えば災害に備えて備蓄や防災アイテムなどを備えておくのも良いでしょう。自分の安心感にもつながり、また個人単位で備蓄を行っておくことにより、自治体の備蓄をより有効に活用できます。そのほか、災害が起きたときの避難経路を確認しておくことも大切です。災害が発生したとき、地域を完全に守り被害を防ぐような対策は存在しません。地域の被害を最小限に抑えるためには、行政の対策と併せて、住民が適切な行動をとることも大切です。いざというとき速やかに避難できるよう、日頃から避難ルートを確認し災害時のイメージをしておきましょう。

③地域活動に参加し地域を活性化させる

地域を活性化させるため、住民が地域活動に参加することも大切です。地域にさまざまな魅力があっても、そこで暮らす住民が地域について興味を持っていなければ、その良さもわかってもらえません。住民が活き活き生活していることが魅力的な地域の必須条件です。例えば地域のイベントに参加するのも良いでしょう。イベントが盛り上がれば地域全体に活気が生まれます。イベントを目的に地域外からも多くの人が訪れるかもしれません。

また、地域の防犯活動やボランティア活動などに参加するのもおすすめです。例えば子どもの見守り活動は地域の治安を良くし、防犯性の高い環境づくりに役立ちます。また、清掃ボランティアなどは地域をきれいにし、景観が美しく衛生的な環境をつくります。地域環境を担うのはほかでもない、そこで生活する住民たちです。地域活動が盛んでない地域は住民同士のつながりや地域に対する愛着なども薄れてしまう可能性があります。地域活動はその地域を住みよくするために非常に大切なもの。つまり、地域活動への積極的な取り組みがより住みやすい地域をつくり、結果そこで暮らそうと考える人が増える可能性が生まれるのです。

SDGsの目標11を達成するため自分たちにできることをしよう

SDGsの目標11を達成するためには、現状や課題を理解すること、そして私たち1人ひとりが目標を自分事と認識し、自分にできることをすることが大切です。SDGsに関連する問題は遠い外国で起こっているばかりではなく、私たちの身近でも発生しています。ぜひこの記事を参考にしながら、皆が安心安全に暮らせるまちづくりのため、自分たちに何ができるか考え、行動に移してみませんか。

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