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【解説】SDGs目標12 「つくる責任つかう責任」とは?解決すべき課題や現状

【解説】SDGs目標12 「つくる責任つかう責任」とは?解決すべき課題や現状

#SHOW CASE
  • つくる責任つかう責任

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で「持続可能な開発目標」を意味します。SDGsには17の大きな目標と169のターゲットがあり、目標12には「つくる責任つかう責任」が定められています。経済成長に伴ってエネルギーや食料を大量に消費するようになり、私たちの生活は地球に大きな負担をかけています。このまま大量生産・大量消費の生活を続ければ、いずれ地球の資源がなくなり様々な問題が生じてしまいます。今回は、世界で起きている生産や消費に関する問題についての現状と課題、目標達成に向けて私たちができることについて解説します。

SDGs目標12の現状と課題について

人口が増加し続けている地球を守るためには、限りある資源を守りながら持続可能な生産と消費が必要になります。そのため、国際社会共通の目標であるSDGsの中に「つくる責任つかう責任」が設けられています。まずはその現状と課題についてお伝えします。

エコロジカル・フットプリント

エコロジカル・フットプリントとは、地球の資源を使って行われる人間活動が、どれだけ自然に影響を及ぼしているかを表す指標です。数値が高ければ高いほど、たくさんの資源を使い地球環境に負荷をかけていることになります。このエコロジカル・フットプリントの導入により、地球への影響力を分かりやすく数値化できるようになりました。

環境省のデータによると、2013年時点で世界全体のエコロジカル・フットプリントは地球約1.7個分に相当します。エコロジカル・フットプリントの数値は先進国では大きく、途上国では小さくなる傾向にあります。国別のデータを見ると、日本は世界の中で38番目に高く、日本のエコロジカル・フットプリントは減少傾向にあるものの、世界の中では高い数値に分類されます。世界中の人が日本と同じ生活をする場合、約2.9個分の地球が必要になるのが現状です。

食品ロス

世界には飢餓で苦しむ人がたくさんいます。しかし飢餓が深刻な問題になっているにもかかわらず、先進国を中心にいくつかの国では食品ロスという矛盾する現象が起こってしまっています。食品ロスとは、まだ食べられるのに廃棄されてしまう食品のことです。「UNEP Food Waste Index Report 2021(世界の食品ロスの統計)」によると、2019年の世界全体の食品ロス量は9億3,100万トンでした。これは世界で生産されている食料の約2割近くにあたる量です。

日本でも年間約522万トン(令和2年度推計値)の食料が廃棄されており、国民1人あたりお茶碗1杯分のごはんを毎日捨てている計算となります。また外食や小売店で購入できる惣菜類などの増加により、企業の生産・サプライチェーンにおける食品廃棄物が多いことも問題になっています。事業者から出る食品ロスは、年間で約275万トンにも及びます。事業系食品廃棄物は、売れ残りや期限切れ、破損品といったさまざまな問題が原因です。

途上国の食品ロスは、生産や輸送時に発生する量が約半数を占めています。途上国では生産設備や輸送体制が整っていないからです。この問題は設備を近代化していくことで解決していくでしょう。一方、先進国の場合は、消費者の多様なライフスタイルに合わせて、必要以上の食品が生産されているため、販売や消費の段階で食品ロスが発生しています。

日本の現状と課題

日本の食料自給率は決して高いわけではありません。農林水産省の2020年度の調査によると、食料自給率はカロリーベースで約37%まで低下しています。主食となるお米の自給率は97%と高い水準をキープしているものの、醤油や豆腐など日本人の食卓に必要な大豆の自給率はたったの約6%だといわれています。農業や漁業従事者は減少傾向にあり、現在の日本では輸入に大きく頼っている状況です。生産者の数を増やすことはもちろんのこと、効率的に食料を生産できる仕組みづくりも必要になってくるでしょう。また、日本の課題の一つは廃棄物リサイクルです。環境省が令和2年に発表したデータによると、日本のリサイクル率は20%で、あまり高い数値とは言えません。

SDGs目標12達成に向けて私たちができること

SDGs目標12を達成するためには世界規模で取り組む必要があります。しかし国際社会だけでなく、私たち一人ひとりが行動を起こさなければなりません。ここからは、私たちができることについて解説します。

食品廃棄の削減

食品廃棄の削減のために、一人ひとりができることから始めましょう。消費期限が過ぎてしまった食品は、廃棄されることが一般的です。期限前に食べられる場合は、消費期限に近い商品を選んで買うと食品廃棄の削減に貢献できます。自宅で食品を駄目にして廃棄しないために、食べられる量だけ買うこともおすすめします。環境省のデータによると、日本で廃棄されているゴミの全体量のうち約247万トンが一般家庭から出たゴミです。賞味期限と消費期限をきちんと把握し、家庭で食べ切れる量を買いましょう。

できる限りオーガニック製品を購入するのも、食品ロスや食品廃棄削減に有効です。オーガニック野菜は皮ごと食べられるので、食品廃棄物が少なくなります。オーガニック製品を買う際は、有機JAS認証マークがあるか確認すると良いでしょう。この認証マークがある製品は、「環境を破壊せずに栽培している」といった基準を満たして栽培されたものだという証となります。また日本では、学校給食の食べ残しも少なくありません。環境省のデータによると、生徒1人あたり年間7.1kgの給食が廃棄されているといわれています。子どもたちに対して食べ物の大切さを学ぶ時間を作ったり、ごはんを残さない工夫をするようにしましょう。

リサイクル・リユース

限られた資源を効率良く使っていくために、リサイクルとリユースを意識して生活することも大切です。リサイクルは、一度使ったものを資源に戻して再利用すること、リユースとは、一つのものを何度も使い続けることです。リサイクルとリユースの取り組みは、私たちのライフスタイルの中に手軽に取り入れることが可能です。

世界中に溢れているプラスチックゴミを減らす取り組みを行ってみてはいかがでしょうか。プチラスチック使用量の増加により、使い捨てによる資源の無駄使いや海に流れ出す海洋プラスチック・マイクロプラスチックなどが問題となっています。ある環境団体の報告によると、きちんとリサイクルされているプラスチックの割合は約9%で、残りの約90%は焼却処理やポイ捨てされているのが現状です。

焼却してしまうと二酸化炭素排出により環境への負荷が大きくなるため、もっとリサイクルに対して真剣に取り組む必要があるでしょう。プラスチックをリサイクル・リユースする取り組みとして、マイバックやマイボトルなどを取り入れるのがおすすめです。日本ではレジ袋が有料化されたのをきっかけに、環境に意識してマイバックやマイボトルを持つようになった方も多いのではないでしょうか。マイバックを持ち歩けば無駄なビニール袋をもらう必要はありませんし、マイボトルがあればペットボトルの量を減らせるでしょう。

自分の持ち物を見直して、本当に必要としているものだけを持つようにすることも大切です。不要なアイテムがあったら、捨てる前にリサイクルにまわしましょう。例えば、本なら古本屋さんに、家電製品や家具であればリサイクルショップに持っていけます。また近年では、中古アイテムを出品できるフリマアプリやネットオークションといったプラットフォームも活用できます。どうしてもリサイクルが難しい場合のみ、廃棄を選ぶようにしましょう。

SDGsの目標12を達成するため自分たちにできることをしよう

SDGs目標12「つくる責任つかう責任」を達成するために、国際的にさまざまな取り組みが行われています。それぞれの国や企業が努力することはもちろん大切ですが、私たち一人ひとりができることに取り組むことも重要です。消費期限の近い食品を購入する、リサイクルとリユースに心がけて生活するといった身近なことから行動していきましょう。

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