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【解説】SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」とは?解決すべき課題や現状

【解説】SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」とは?解決すべき課題や現状

#SHOW CASE
  • 気候変動に具体的な対策を

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で「持続可能な開発目標」を意味します。SDGsには17の大きな目標と169のターゲットがあり、そのうちの目標13「気候変動に具体的な対策を」は、地球温暖化による気候変動及びその影響を軽減することを目的にしています。皆さんも「地球温暖化」という文字を一度は見たことがあるのではないでしょうか。温室効果ガスの増加により、年々世界的に平均気温が上昇していることをさしています。ここでは、気候変動とはどのようなものなのか、実際に世界で起きている問題や対策について解説していきます。

SDGs目標13の現状と課題について

「気候変動に具体的な対策を」という目標が掲げられたのは、気候変動が世界的に自然環境や人々の生活に深刻な影響を与え始めているからです。このまま対策を講じず気候変動が進むと、異常気象を招き災害による被害が後を絶たなくなるでしょう。そうならないためにも、私たち一人ひとりが地球で起こっている変化に目を向け、理解を深めなければいけません。特に気候変動と地球温暖化には深い関わりがあり、地球温暖化対策を行うことで気候変動の問題も改善されると考えられます。

地球温暖化

地球温暖化は温室効果ガスの影響が大きいです。温室効果ガスは熱を吸収し、温室効果をもたらします。そして、この温室効果ガスが増えることにより、地球の気温は年々上昇しています。世界的にみると1880年~2012年の約130年の間で0.85℃、日本だけでみても1898年(明治31年)以降、100年あたりで約1.2℃の割合で気温が上昇しています。このまま気温が上昇し続けることで、自然だけではなく私たち人間の生活にも大きな影響を与えると考えられています。

この問題を解決するため、2015年にパリで開かれた第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で「パリ協定」が採択されました。世界共通の長期目標として、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つ(2℃目標)ともに、1.5に抑える努力を追求すること(1.5℃目標)が取り決められました。さらに、主要排出国を含む全ての国が削減目標を5年ごとに提出・更新することも決まっています。パリ協定には、温室効果ガスの排出量が多い主要排出国の他にも多くの国や地域が参加し、目標達成のために努力を続けています。

自然への影響

気候変動による自然への影響はすでに世界の各地で現れており、日本国内でも同様にさまざまな生態系に影響が出ているのが事実です。例えば、陸域生態系では高山帯・亜高山帯において植生の衰退や分布の変化、植物の開花期と開花期間の変化から起こる花粉媒介昆虫の活動時期とのずれが報告されています。さらに、沿岸生態系では亜熱帯地域の水温上昇が要因の一つとして挙げられるサンゴの白化現象や分布の北上が起こっていることも事実です。他にも、動物の初鳴きの早まりなど、私たちの身近な動植物の生物季節の変動も報告されています。

そして、このまま気候変動が進むことで自然へのさまざまな影響が予想されています。例えば、陸域生態系において、森林では構成種の減少や分布適域の縮小、一部の野生鳥獣の生息域が拡大することで下層植生の消失や樹木の枯死、景観の劣化などが挙げられます。また、海洋・淡水・沿岸生態系においても様々な影響が懸念されていて、多くの生物にとって適切な生息・生育環境が奪われ、いくつもの種が絶滅の危険にさらされることになるでしょう。

人の暮らしへの影響

さらに、地球温暖化による気候変動は自然だけではなく、人の暮らしにも影響を与えます。気候が変わることで今まで育てることが可能だった農作物も、育てることが難しくなると考えられます。生態系が崩れたことによる野生鳥獣被害や病気にも悩まされることになるでしょう。また、台風や大雨などの異常気象による被害も考えられます。農作物を安定して収穫できないことは、私たち人間にとって大きな損害になり、暮らしを脅かすものになるでしょう。

地球温暖化が進むことで海面が上昇し、多くの陸地が失われる危険があるともいわれています。2013年に公表されたIPCC第5次評価報告書では、2100年までに海面の上昇は26~82センチと見積もられています。海面上昇は多くの人の居住地を奪うことにもなりかねません。また、猛暑や大雨、豪雪、干ばつなどの異常気象によって健康被害や建物への被害も考えられます。今後も地球で暮らすためには、地球温暖化による気候変動の対策を行い、私たち人間だけでなく生態系の保護を行うことも重要になるでしょう。

SDGs目標13達成に向けて私たちができること

SDGsの目標「気候変動に具体的な対策を」を実現させるために、私たち一人ひとりができる取り組みもたくさんあります。SDGsは国際的な取り組みで多くの企業も目標達成のために協力しています。しかし、何よりも私たち一人ひとりが意識し行動することが一番大切なことです。それでは、実際に私たちにできることにはどのようなことがあるのでしょうか。

マイバックやマイボトルの利用

まずは、マイバッグを持ち歩くことです。日本では2020年7月1日よりレジ袋が全国で有料化されましたが、有料化される前までは、買い物でレジ袋を使用していた人も多いのではないでしょうか。レジ袋の多くは石油由来のプラスチックを原料としているため、その製造や焼却での廃棄の際には二酸化炭素が発生してしまいます。二酸化炭素は地球温暖化の原因となる温室効果ガスの中で最も大きい割合を占めています。二酸化炭素の排出量を減らすことは、地球温暖化を食い止めるために必要なことといえるでしょう。

さらに、レジ袋は二酸化炭素を発生させるだけではなく不法投棄などによって環境汚染や海洋生物が誤って飲み込む危険性もあります。プラスチックは微生物などによって分解されることがないため、一度海洋に出てしまうと長期間漂うことも考えられます。餌と勘違いし海洋生物がプラスチックを飲み込むと、死に至るケースもあります。エコバッグを持ち歩き、レジ袋の使用頻度を減らすことで二酸化炭素の排出量削減や環境汚染を防ぐことにつながるでしょう。

また、外出する際はマイボトルを持ち歩くことで、ペットボトルの使用量を減らすことができます。ペットボトルもレジ袋同様、その多くがプラスチックで作られていて、海洋プラスチック汚染やマイクロプラスチックの原因となります。ペットボトルは、スーパーやコンビニ、自動販売機などいたるところで購入することができるため、全く購入しないということは難しいです。したがって、ペットボトルを購入した時は、必ず分別しリサイクルすることを心がけましょう。

節電

さらに、日常生活を送る上で欠かせない電気も、発電所で多くの二酸化炭素を排出しています。電気といえば家の中でも使用しますが、特に家電の中でもエアコンは多くの電力を消費します。夏、日中に一般家庭で消費する電力のうち約6割がエアコンだといわれています。電力を消費するということはそれだけ電気を作らなければなりません。電気を作る発電方法には様々な方法がありますが、私たちが家庭で使用する電気は、発電所で石炭や石油を燃やして作られていることが多いです。つまり、電気を使用すればするほど、化石燃料を燃やして二酸化炭素を排出することにつながります。

しかし、地球温暖化の影響もあり、私たちの生活にエアコンは必要不可欠な物になりつつあります。夏の暑い日にエアコンの使用を控えることは、熱中症になり命の危険にもつながります。近年では、家の中で熱中症になり、命を落とすケースも少なくありません。そのため、エアコンの使用をやめるのではなく、使用方法を工夫することが大切です。例えば、購入時に消費電力の少ない製品を選んだり、使用時は設定温度を一定にすることでエアコンの消費電力を抑えることができます。また、フィルターをこまめに掃除することで、節電になるだけではなく、部屋の空気も清潔に保つことが可能です。

SDGsの目標13を達成するため自分たちにできることをしよう

気候変動の多くの原因を作っているのは、人間です。原因を作っている私たちが具体的な対策を考え、実行することは当然のことでしょう。「気候変動に具体的な対策を」は、もう後回しにはできない問題となっています。私たち一人ひとりがこの問題についてよく考え、できることから始めることが大切です。この先の未来に美しい地球を残すために、一人ひとりが意識して行動しましょう。

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