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その感情「やばい」で大丈夫?語彙力とメンタルヘルスの関係性とは

その感情「やばい」で大丈夫?語彙力とメンタルヘルスの関係性とは

#SHOW CASE
  • すべての人に健康と福祉を

この記事の監修ドクター
柏メンタルクリニック 医師 伊藤有毅
専門分類:精神科(心療内科),精神神経科,心療内科

最近ではすっかり浸透した「メンヘラ」という日本語。
元々は2チャンネルのメンタルヘルス板に頻繁にコメントをする人を指したネットスラングで、一部若者の間で広がりました。その語源はメンタルヘルスを省略しメンヘルとし、それに英語の接尾辞「-er」をつけたメンヘラーが由来とされています。
今では精神面に不安を抱える全ての人に対して使われる他にも、メンヘラ女子やメンヘラメイクなど一つのジャンルとして成立するほど日常でも耳にすることが増えました。
このように、元々は若者言葉だったものがどんどん浸透し大人にも定着した例がいくつかあります。例えば、「やばい」も良い例です。「やばい」の語源は諸説ありますが江戸時代に遡り、遊技場の矢場を指しており影で違法賭博をしていたことから役人に目を付けられると危険な場所という意味。つまり、本来の意味は「都合が悪い」や「具合が悪い」ことを指す日本語です。それが今では肯定的、否定的関わらずあらゆる場面に使える形容詞として普及しました。
・壮大な景色に対して
・圧倒的な外見美に対して
・感動的な映画に対して
これらすべての形容詞として「やばい」は用いられるようになり、その多様性は留まることを知りません。
さて、ここで「メンヘラ」と「やばい」に見える現代社会の問題を読み解いていきましょう。

語彙力の低下とメンタルヘルス

一つ目は若者世代の語彙力の低下です。語彙力とは、つまり国語力。小学校教育課程を思い出してほしいのですが、国語は大きく4つに分類され「考える力」「感じる力」「想像する力」「表す力」をそれぞれ学び、豊かな人心を創造する基盤を作ることを目的としています。
しかし、近年ではコロナ禍での対面コミュニケーションの激減も相まってこれらの力が低下、そして伴って言語化を必要とするシーンが減少したため若者の語彙力の低下に拍車がかかったと考えられます。
それでは、語彙力の低下がなぜメンタルの健康状態に繋がるのでしょうか。
嫌なことがあったとき、なぜ嫌だと思ったのか、どんな気持ちかを表現できず友人や家族に伝わらない。良いことがあったけど、それがどんなに良い事だったか、どのくらい嬉しいのかが伝えられない。「やばかった」という表現しか出てこず、いまいち全容が伝わっていない気がする。もどかしさを抱えたまま蓄積されていく少しの違和感は、精神面の不健康要素になってしまうことがあります。
悩みを抱えたとき「話してみたらスッキリした!」という事がありますよね。人に話すということは、ある種のプレゼン。人に伝えるために、まず自身への理解を深め、コンテンツを整理し最適な文章で表現する。これを心理学用語で「感情のラベリング」と言います。

感情のラベリングとは

カルフォルニア大学ロサンゼルス校の心理学者チームの実験で、自分の負の感情をアウトプットすることで、脳の人間の恐怖心や攻撃性を司る脳の部位である「扁桃体」の活性を抑えられることが証明されています。不安に感じることがあったときは、一人で抱え込んで思い悩むよりも第三者に打ち明けることでストレスの軽減になることが以上の研究から裏付けされています。
また、感情のラベリングは、近年ビジネス書籍などで流行したアンガーマネジメントにも応用できます。怒りをコントロールするためにまずは6秒我慢。落ち着いてから自分の感情をラベリングしアウトプットすることで自信の心を整えることができます。
そうは言っても、自分の気持ちを表現するのが苦手、言葉にできないという方もいらっしゃいますよね。感情のラベリングで大切なのは、語彙にバリエーションを持たせることです。
例えば、突発的に怒りの感情が湧いた時「ムカつく」のバリエーションとして
・頭に血が上る
・腹が立つ
・怒りで方が震える
・癪に障る
など、あらかじめ怒りの選択肢を用意し、その時の感情に一番近いものに当てはめることでストレスは軽減できるそうです。
語彙力に自信がないという方でも、このような対策をすることで精神面をコントロールし、かつ表現の幅を広げることができます。

【監修医師コメント】
自分が考えていることや想いなどを相手に話すことで、気持ちが楽になることがあります。これを、「カウンセリング」と言いますが、私たちは常日頃からコミュニケーションを他者と取っています。この時に大切なことが、相手に伝えるには、言語・語彙力が大切になる点です。自分の話していることを相手が分かってくれた、受け止めてくれた、と感じることで、怒りや不安などのストレスは軽減されます。もし相手が分かっていないと感じた時には、ストレスは軽減されません。その為、言語・語彙力は欠かせないものであり、感情のラベリングの研究結果でも示されています。語彙力を高めてメンタルの安定を心がけたいものです。

さいごに

語彙力が少なく、アウトプットができないという状態に心はストレスを感じてしまう可能性があります。
語彙力を補う方法は、読書や幅広い年齢層の方たちとの会話など、学べる場所は沢山あります。語彙には、認知語彙(普段は使わないが、知識としてインプットされている語彙)と使用語彙(日常で使いこなせる語彙)の2種類があります。認知語彙が少ない場合は読書や会話からのインプットを、使用語彙が少ない場合はバリエーションを意識して語彙力の底上げを心掛けることが大切です。まずは、手始めに日常生活で「やばい」を使わないというのを試してみてはいかがでしょう。多様性があり便利な「やばい」を失った時、どう表現するか、これを機にバリエーションを考えてみることをおすすめします。

企画・編集/森川
ライター/赤塚
監修/医師 伊藤有毅(柏メンタルクリニック)

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