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SDGs達成には「DX」が必須?まちづくりや教育から見るその関わり合いとは


この記事に該当する目標
4 質の高い教育をみんなに 8 働きがいも経済成長も 12 つくる責任つかう責任
SDGs達成には「DX」が必須?まちづくりや教育から見るその関わり合いとは

数年前から、SDGsとともにビジネスにおいて重要なキーワードとされている「DX」。意外とどういうものなのか知らない人も多いのではないのでしょうか。実はDXは、SDGsともかなり深い関わりがあるものです。今回は、DXとはどういうものなのかを確認しながら、SDGsとの深い繋がりについても見ていきましょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DXという言葉は聞いたことがあっても、いざ説明するとなると難しく感じる人も多いはず。今一度、DXの定義を確認しておきましょう。
DXとは、デジタルトランスフォーメーションのこと。
経済産業省「DX推進ガイドライン」(2018)の定義によると、“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。”とされています。
簡潔に言えば、データやデジタル技術を用いて、顧客や社会にとってより良い製品やサービスを提供できるよう、企業の改革を進めること。

DXは「IT化」と混同されがちですが、実は明確な違いがあります。IT化はデジタル技術やデータの活用により様々な既存のしくみやプロセスを効率化させること。一方でDXは、IT化などを駆使して商品やサービス、事業や経営のビジネスモデル自体を変革させることを言います。簡単に表すと、IT化は「手段」であり、DXは「目的」となります。
日本の企業はこのような動きが世界と比べて遅れており、それが経済的に大きな損失になると考えられています。そこで日本政府も動き出し、企業にDXを促しているのです。

注目されるDXとSDGsの関係性とは

日本の目下の課題であるDX。では、DXとSDGsには、どのような関係があるのでしょうか。
DXの推進は、近年の経営課題の大きなテーマの1つである「働き方改革」に繋がります。ここ数年、新型コロナウイルスの影響もあり、ZoomやSlackなどのリモートワークツールの発展によってロケーションフリーな働き方が浸透しました。通勤時間の分、プライベートの時間をより確保できた人も多いでしょう。
また、紙の書類提出がマストだった企業も、近年DXによってデータでのやり取りが可能に。業務上のデータや情報の管理がスムーズになることによる業務生産性の向上もDXによって進み、結果的にSDGs目標8「働きがいも経済成長も」の達成に繋がっています。

このような技術革新により、ビジネスの現場だけでなく、世界中の人にオンラインで高度な教育を届けることも可能となりました。これは目標4「質の高い教育をみんなに」の達成に寄与し、ものづくりにおいては消費者の需要などをデータで管理することで、いわゆる”無駄な生産”を軽減させ、目標12「つくる責任 つかう責任」の達成にも繋がります。
SDGsの達成に向けて、DXは大きな役割を担っていると言えるでしょう。

進むDX!SDGsなまちづくり「スマートシティ」とは

リモートワークをはじめ、DXのSDGsへのアプローチは様々なものがありますが、もっともわかりやすいのは、「まちづくり」かもしれません。交通機関のシームレス(サービス間の境界線をなくし、複数のサービスを利用することができる)化、支払いのキャッシュレス化などは、身近なDXです。また、ICT(情報通信技術)を全面に活用し、持続可能な都市や地域を作り出す「スマートシティ」計画が日本でも進められています。ここでは、「スマートシティ」の例を2つご紹介しましょう。

①スマートシティ竹芝

竹芝地区では、2019年7月から東急不動産とソフトバンクが共創で最先端のテクノロジーを街全体で活用するスマートシティのモデルケースの構築に取り組んできました。その延長として「Smart City Takeshiba」がスタート。
「Smart City Takeshiba」は、さまざまな事業者が活用できるデータ流通プラットフォームを備えており、竹芝地区において収集した人流データや訪問者の属性データ、道路や交通の状況、水位などのデータをリアルタイムで活用できます。
こうしたDXにより、回遊性の向上や混雑の緩和、防災の強化などを実現し、竹芝や周辺地区の課題を解決することを目指しているそうです。また、最新技術を使った実証実験も進められています。配送ロボット「RICE」の実証実験では、信号と連動させて道路の横断をし、エレベーターで別フロアに移動してコンビニ商品を配達することに成功。買い物が難しい高齢者や身体に障害をもつ人の生活をサポートする技術として、大きな役割を果たすことは間違いないでしょう。
映画の世界の話だったことが次々と実現され、データによって地域活性における問題解決がより効率的になっているようです。

②トヨタ自動車「Woven City」

トヨタ自動車が、静岡県裾野市で建設中のコネクティッドシティ「Woven City」。トヨタ自動車は、この街に実際に人に住んでもらい、よりスピーディーに先端技術が生活の一部となることを目指しています。
「Woven City」は、自動運転技術やロボット、AI(人工知能)などの検証・実験を行う街。技術やデータによって生活の質が向上するとともに、環境との調和やサステナビリティを前提としたまちづくりが行われる予定だそうです。街の建物は主にカーボンニュートラルな木材で作り、屋根には太陽光発電パネルを設置。デンマークの著名な建築家であるビャルケ・インゲルス氏が街の設計を担い、スタイリッシュさも追求されるようです。
情報やデータの繋がりだけでなく、「Woven City」では人々の集いの場として様々な公園・広場を作り、住民同士の繋がりを生み出し、コミュニティが形成されることも目指しています。世界最大級の技術見本市「CES 2020」での豊田章男社長の発言によると、「Woven City」の住人としては、トヨタの従業員と家族、退職した夫婦、小売店舗、プロジェクトに参画する科学者、各業界のパートナー企業などを想定しているそうです。

また、このプロジェクトに参画することに関心がある人、また将来の暮らしを改善したいと思っている人は誰でも歓迎とのことなので、読者のみなさんも住人になれると言えますね。より便利で快適な暮らしとともに、人々の繋がりも生まれていく「スマートシティ」。これからの動きは、要チェックです!

今回紹介した「DX」は、SDGsの理念である「誰一人取り残さない」社会の実現に向けてとても重要なキーワードであることがわかりました。情報を受け取る私たちもDXやスマートシティといった最新の情報には常にアンテナを張り、積極的に活用していきたいですね。