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クラフトジンで廃棄課題解決へ。実は、酒粕・ビールからも造れる!ジンの豆知識

クラフトジンで廃棄課題解決へ。実は、酒粕・ビールからも造れる!ジンの豆知識

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夏になり、ビアガーデンやBBQ、花火大会と、今年もお酒がおいしい季節が到来しました。日本の酒といえば日本酒。農林水産省によると、日本酒の輸出金額は2021年には前年比+66%の約402億円までに急成長。輸出国はアメリカ・中国・香港・台湾・韓国の5ヶ国・地域で、数量及び金額の約8割を占めています。日本食の海外普及等を背景今後も世界中で人気を広げていくであろう日本酒。実は最近、製造家庭で出る廃棄酒粕をリユースしたクラフトジンが注目を浴びていることを知っていますか。今回は、酒粕問題を入り口に、廃棄予定の「酒粕」「ビール」はたまたつかわれなかった「木材」から蒸留した、エシカルでニューウェーブなクラフトジンを3つご紹介します。


・誰も教えてくれなかった、そもそもジンって何?クラフトジンとの違いは?
・何がきっかけでこんなに「クラフトジン」が増えているの?
・もったいない!日本酒の副産物”酒粕”。現状ほとんどが廃棄されてしまう
①世界初!酒粕をリユースしたクラフトジン「 LAST GIN」
②余ったビールからつくるクラフトジン「REVIVE」
③日本初、原材料100%が“木”!未利用木材を活用した『フォレストジン』

誰も教えてくれなかった、そもそもジンって何?スピリッツとの違いは?

日本洋酒酒造組合によると、「ジン」は、スピリッツの1種。
まず、スピリッツとは、「ジン」「ウオッカ」「ラム」などが代表的です。日本の複雑な酒税法の関係で、アルコール度数によって「ウイスキー」「ブランデー」を含んだり含まなかったりします。また、蒸溜の際発生するアルコールに他の成分を浸出させたもの や白樺の炭等でこしたものもスピリッツです。
そして、「ジン」とは、穀類を原料とし麦芽や酵素剤を利用して糖化、発酵、蒸溜して得られたスピリッツにジュニパーベリーなどの草根木皮を浸して、再度蒸溜した無色透明の酒のこと。今から約362年前の1660年に、オランダの大学教授が利尿、健胃、解熱作用のあるジュニパーベリー(杜松の実)をアルコールに漬けて蒸溜し、利尿・解熱薬として製造したことが始まりと言われています。

何がきっかけでこんなに「クラフトジン」が増えているの?

食事に合うジャパニーズジン サントリー「翠(SUI)」

画像出典:サントリージン 翠 SUI公式サイトより
「クラフトジン」「ジン」に関するメディアの報道量は、2021年7月に比べて148%増加。この1年で約1.5倍に膨れ上がるほどに。馴染みのなかったジンの立役者となったのが京都蒸留所。2016年に日本初のジン専門蒸留所、京都蒸留所が手掛けた「季の美 京都ドライジン」が発売、2017年にはサントリーから「ジャパニーズクラフトジン ROKU」2021年には「翠(SUI)」が発売。食事に合うジャパニーズジンとして売り出された「翠(SUI)」は計画比の3倍売れたそう。「翠(SUI)」発売以来今では月平均100件近くニュースとして報じられるほど注目を集めています。

もったいない!日本酒の副産物“酒粕”。現状ほとんどが廃棄されてしまう

ここでさらに知っておきたいのが、あまり耳なじみのない「酒粕問題」について。令和元年産の“酒造好適米”(最初から日本酒造りを目的としている米)の生産量の推計は9万7000トン。通常、“酒造好適米”に対して酒粕の割合が25~30%とされているので、換算すると約2万4250~2万9000トンが酒粕が使われています。そのうち一部は、粕漬や甘酒などに利用されているものの、ほとんどが廃棄されるため約2万トンは産業廃棄物になっている可能性も。

①世界初!酒粕をリユースしたクラフトジン「 LAST GIN」

画像出典:エシカル・スピリッツ株式会社プレスリリースより
世界初、酒粕リユースの環境にやさしいクラフトジンを製造するエシカル・スピリッツ株式会社。彼らが手掛けるエシカルなジンは「LAST」と名付けられ、現在新商品を含め2種類のジンが発売されています。LAST記念すべき最初のジン「EPISODE 0 MODEST」は鳥取県の焼酎の酒粕を使用。香り付けはジュニパーベリーと生姜をベースに、レモンをアクセントに使用しており、すっきりした舌ざわり、爽やかな仕上がりになっています。そして今年の6月には新商品「EPISODE 0 ELEGANT」が発売されました。ELEGANTはジュニパーベリー、ハイビスカスティー、ピンクペッパー、ラベンダー、カルダモンとボタニカルハーブをふんだんに使用。処女作とは一転し、香り高く絢爛豪華な仕上がりで特別な日にもピッタリ。

②余ったビールからつくるクラフトジン「REVIVE」

画像出典:エシカル・スピリッツ株式会社プレスリリースより
「REVIVE」は世界にも類を見ない漬け込み式のビールから生まれたジンです。「バドワイザー」ブランドをグローバルで展開するアンハイザー・ブッシュ・インベブ ジャパン会社と、老舗日本酒メーカー月桂冠の3社で共同で、2020年9月に数量限定で生産されたのが始まり。今年の5月には、新たにベルギーを代表する “ホワイトビール” 「Hoegaarden」と、アメリカンクラフトビールのパイオニアである“シカゴ発のIPA”を再生した『REVIVE from Hoegaarden <Root>』/『REVIVE from IPA <Disrupt>』の2種を発売。コロナ禍で2021年の夏までの段階で廃棄危機となった余剰ビール“約6リットル” 15,000本以上のクラフトジンとして蘇らせる。ソーシャルグッドなストーリも魅力ですね。

クラフトジンスタジオ「東京リバーサイド蒸溜所」にも注目

画像出典:エシカル・スピリッツ株式会社プレスリリースより
「LAST」・「REVIVE」もこちらの蒸留所で製造されています。ガレージライクなクラフトショップが立ち並び東京のブルックリンと言われる蔵前に佇む蒸留所。築50年の建物をリノベーションで再生し、1Fはテイクアウトできるストア、2Fはクラフトジンを使ったカクテルや特別料理を提供する「Bar&Dining Stage」。そして屋上には自店で使うためのハーブなどを栽培する菜園も。
エシカルを生み出すスタジオ。リユースだけでなく、香り付けのハーブも自分たちで育てるというこだわり。ティファニーブルーの看板が目印の洗練された空間を感じてみてください。

③日本初、原材料100%※が“木”!未利用木材を活用した『フォレストジン』

画像出典:合同会社山伏プレスリリースより
日本初・原材料”100%”が国産野生香木のクラフトジン。※ベーススピリッツ部分を除くボタニカル成分の100%
捨てられるはずの間伐材利用で森の経済循環を目指す日本草木研究所。スギ・ヒノキ・ナラなどの日本ならではの香木が伐採後放置されていることに目をつけ、食用化を実現。森林浴に期待できるリラックス効果や安眠、ストレス軽減をフォレストジンに生かされています。ウッディで少しスモーキーな後味が上品な香りを引き立てます。

ジンの背景にあるストーリーにも注目

ここ数年で成長を見せるジン市場。期限や見た目の維持から、なかなか難しいとされている食糧のリユースを実現しただけではなく、農家や酒蔵と協力し循環型経済の形態を成立させたエシカル・スピリッツなど。ジンは製造過程で香り付けなど、作り手のこだわりが特に見られます。ブランドに込められたストーリーや、廃棄課題の背景に興味をもつことでより一層深くジンを味わえそうですね。この夏はサステナブルなジンを楽しんでみてはいかがでしょうか?

企画・編集/佐藤
ライター/赤塚

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