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ニップレスは誰のため?サマソニで気付かされた、世界の課題“性的搾取”とは

ニップレスは誰のため?サマソニで気付かされた、世界の課題“性的搾取”とは

#SHOW CASE
  • ジェンダー平等を実現しよう

3年ぶりに開催された、ロックの祭典『SUMMER SONIC 2022(以下、サマソニ)』。そこで邦楽人気アーティストのKing Gnuが、イタリアのロックバンドManeskin(マネスキン)の女性ベーシストのニップレス姿を再現したことで、ネット上では賛否が分かれました。

なぜ批判的なコメントが相次いだのか、マネスキンがニップレスを通して伝えたかったことは何なのかを知ると、社会に潜む“性差に対するアンコンシャスバイアス”に気づくことができるはず。

サマソニで何があった?King Gnuのパフォーマンスに賛否が分かれた理由

サマソニでは、マネスキンの女性ベーシストであるヴィクトリア・デ・アンジェリスが、上半身裸のニップレス姿でパフォーマンスしました。その後のステージでKing Gnuのドラム勢喜遊が同じくニップレス姿で、「マネスキンです」と登場。これが、会場とネット上での温度差を産むことに。フェス参加者や両バンドのファン自身は会場でリアルなメッセージの意味を受け取り拍手喝采であった様子だが、ネット上で通りがかったユーザーからは批判の意見が相次ぎました。そのポイントは何だったのでしょうか。

1.マネスキンのヴィクトリアが伝えたいこと

2022年2月、GQ JAPANのインタビュー動画では、ヴィクトリアがニップレスで何を表現しているのかが語られています。
<大事なことは誰もが何も気にせず、自分らしくいられること。自分の容姿、ジェンダーや性的指向を隠さずに生きていけること。世の中は差別だらけ。社会は人に様々な規制を課し、その振る舞いや装いをコントロールしている。それに女性の体は、常に性の対象として見られる。これは許されないことで、どう見られるかに関係なく、自分の思い通りに過ごせるようになればいい。仕方なく、乳首を隠しているの。>
マネスキンのイーサンも、自身が髪を長く伸ばしていることについて、「自由の象徴」だとしています。
常に性的対象として見られ、性的搾取の対象となりやすい女性。ヴィクトリアもイーサンも、社会で女性が抱える生きづらさ、不快感を消し去り、誰もが自由に人生を歩めるよう、ロックパフォーマンスを通してメッセージを発信しつづけているのではないでしょうか。

2.性的搾取とは

マネスキンも、自らのパフォーマンスをもって闘っている性的搾取。性的搾取とは、国連では下記のように定義されています。
<性的な目的での、相手の脆弱性や力関係、信頼関係に基づく地位を濫用する行為あるいはその試み。他人を性的に搾取することによる金銭的、社会的、政治的な利得行為も含むがそれに限られない。>
職場をはじめとするセクシャルハラスメントは、性別を問わず意識をしている人は多いでしょう。しかし、気づかぬうちに「女性だから」「男性だから」とあるべき姿や行動を制限してしまう性差に基づいた無意識な偏見=アンコンシャスバイアスは、染みついてはいないでしょうか。

3.King Gnuの意図とは

身をもってアンコンシャスバイアスに立ち向かっている、マネスキンのパフォーマンス。中でもインパクトのあったヴィクトリアのニップレス姿を、サマソニでKing Gnuが再現をして「マネスキンです」と登場したことで、マネスキンや性的搾取と闘う人へ軽率な行動だと一部批判を呼んでいますが、両者はお互いを批判するようなマイナスな発言は一切しておらず、釈明や謝罪の声明も出していません。

King Gnuに、ヴィクトリアをからかうような意図があったのかはわかりません。切り取った事実をみて想像力が足りていないだけで、マネスキンの価値観に共感したと捉えることもできるのではないでしょうか。
一方マネスキンも、日本人の差別表現として用いられる“猿”の被り物をしたことで賛否の声を浴びています。しかし、事後にマネスキンとKing Gnuが仲睦まじく写真を撮っていることからすると、この写真の事実だけで判断できかねますが、両アーティストはお互いに差別だとは捉えていないのかもしれない、と考えることもできるのではないでしょうか。
いずれにせよ、今回のマネスキンとKing Gnuのパフォーマンスによって、多くの人に問題意識を与えたことに変わりはないでしょう。

ニップレスはだれのため?自由の権利と守る権利

1.YouTubeの世界では乳首はグレー

上半身裸に黒いスパッツ姿がトレードマークの、江頭2:50氏。Youtubeが大人気となっていますが、2020年には配信した動画3本が広告審査に落ちたと公表しています。
2022年8月現在のGoogleの無料リスティングに関するポリシー規約には「制限のあるアダルト コンテンツ」のうちヌードはNGと定められています。具体的にヌードとは「体の性的な部位を露出している人物(またはそのような表現)」で、例として「露わになった性器、乳首、裸のお尻」とあげられています。報道によると、当時の規約にも、ヌードは「性器、乳首、臀部など性的な体の部位を露出している人物」でNGとされていたため、江頭2:50氏は乳首にガムテープを貼っています。
乳首がNGとなると、水泳や相撲はどうなるのかといった声もあるよう。日本以外の国では性別関係なく、トップレスが民族文化として根付いていることも想像できるでしょう。多くの人に笑いと勇気を与える江頭2:50氏のパフォーマンスが制限されることについて、あなたはどう感じますか?性犯罪の抑制のためにもYouTube規約にあるヌードと性的なコンテンツに関するポリシーが必要なことは理解できますが、そもそものアンコンシャスバイアスが無ければ、規約自体の在り方が変わっていたのかもしれません。

2.水原希子らが普及を訴える「インティマシーコーディネーター」

近年、性暴力とハラスメントの被害を訴える「#MeToo」運動をきっかけに、映画界でも性的搾取について議論がされています。俳優の水原希子さんも採用し、Netflixを中心に日本でも認知度を広げている、インティマシ―コーディネーター。
インティマシ―コーディネーターとは、性的なシーンがある作品で、俳優と監督の間に入ってコミュニケーションを取りながら性的搾取を防ぐ仕事です。撮影現場での性的被害や不快に感じる人が多数いることを受け、世界中で急速に求められている役割。
意に反する行為や、必要以上のアクションを強要されないようにする調整役ですが、日本にはまだ2人しかおらず、普及はこれからの課題のようです。
表現の自由の権利は保ちながらも、守る権利を侵害してはなりません。どちらも維持するためには、被害者の実情を知るとともに、見る側も表現する側も不快な思いをしない言動を模索することが求められるでしょう。

サマソニで話題となったマネスキンのニップレス。SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」を達成するためにも、すべての性にリスペクトを持ち、性的搾取をしない言動と、国や地域に根付いたアンコンシャスバイアスを一人一人が意識することが重要なのではないでしょうか。

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