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世界は右利き仕様?「左利き」の憂鬱と広がるユニバーサルデザイン

世界は右利き仕様?「左利き」の憂鬱と広がるユニバーサルデザイン

#SHOW CASE

あなたは「右利き」ですか?それとも「左利き」ですか?スポーツ業界では重宝されることも多い「左利き」の人。どのスポーツにおいても右利きとの回転やタイミングの違いで、有利になることがしばし挙げられます。スポーツ番組などを見ていると、左手でご飯を食べる練習をしていた。というエピソードなどを耳にするほど、時として左利きは優位性を示します。

日本国内では約9割が右利き、残りの約1割が左利きと言われています。つまり約10人に1人は左利きということです。
しかし、実はこの左利きの方々が思わぬところで不便を感じていることをご存知でしょうか。

さて、今回は「利き手」に関して皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

不便!左利きの悩み

日本で多数派である右利きの方にとっては当たり前のことで何も思わない日常にも、左利きの方にとっては不便と感じることが溢れています。
実際に左利きの方がどんなことに不便を感じているのかを調べてみました。文房具のゼブラ株式会社が実施した、左利き100人を対象にしたアンケートでは下記の7項目がランクインしています。
①ハサミやカッターが使いにくい
②食事で左隣と腕がぶつかる
③お玉でスープがすくいにくい
④自動改札がタッチしにくい
⑤ペンで手書きしにくい
⑥急須でお茶が入れずらい
⑦蛍光ペンをまっすぐ引けない

どれも右利きであれば気付かず、しかし言われてみると察しがつくものばかり。左利きの方はこのように、日常の中で不便を被っていることがよくわかります。

広がりを見せる「ユニバーサルデザイン」

ユニバーサルデザインとは、その名の通り文化・言語・国籍や年齢・性別・能力などの違いにかかわらず、可能な限り多くの人が使うことができるように設計されたデザインのことを指します。1980年代にアメリカで提唱されて以降、世界中で様々なモノ・コトに展開がされてきました。
私たちにも身近な例で言うと、目が見えない人にもシャンプーとリンスの見分けがつくようにシャンプーのボトルにつけられた突起や、ノンステップバス、ピクトグラムなどが挙げられます。

そんな中、左利きの方の不便を解消するようなユニバーサルデザインの商品なども着々と増え始めています。

“左利き用”のグッズが話題に

・「左ききの道具店」
左利きの人が使いやすい文房具やキッチン用品を仕入れ・企画・販売するオンラインストア「左ききの道具店」をご存じですか。自身も左利きという店長が厳選したアイテムは、同じ左利きの方から使いやすいと好評。中でも人気なのは、左手で書き込みやすいよう日付を「右上」に記したスケジュール帳だそうです。手帳の他にも缶切りや扇子、定規など左利きの方には嬉しいアイテムが勢ぞろいしています。

文房具以外にも左利きの人たちに配慮したグッズ続々
コーンフレークの人気商品「シスコーンBIG」への感謝の言葉がSNSで話題。フレークを注ぐ際に左利きだとこぼれてしまうという点を改善すべく、右利き、左利き双方に配慮した持ち方をパッケージにイラストで表示。「みぎききの人は赤を両手で持って」「ひだりききの人は、青を」と分かりやすく説明されています。製造する日清シスコマーケティング部は「注ぎやすい傾け方を何度もテストした。左右どちらの利き手でもお子さまが朝食をつくる成功体験をしてもらいたいと企画した」とのこと。

このように、いくつかの日本企業は徐々に左利きにも配慮したユニバーサルデザインを取り入れつつあります。

誰ひとり取り残さない世界

SDGsが浸透し「誰ひとり取り残さない」という共通の目標が世界に広がってきた今だからこそ、左利きの方の不便さに目を向けることができたのかもしれません。しかし、今はまだ文具や身近な物しか改善されていないのが現状。今後期待されるのはインフラの部分や教育などの社会的なファシリティの改善です。
左利きは今回例に挙げた日本だけでなく、世界で見ても少数派です。そして世界も日本と同じ課題を抱えているのではないでしょうか。テクノロジー大国といわれる日本。「日本のトイレに感動した」、「自動改札の正確さがすごい」など一目置かれる日本の技術があれば、世界を率先した社会のユニバーサルデザイン化ができるのではないでしょうか。

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