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椎名林檎のグッズデザイン改定で話題のヘルプマーク、実は誰でももらえる付与の仕組み

椎名林檎のグッズデザイン改定で話題のヘルプマーク、実は誰でももらえる付与の仕組み

#SHOW CASE
  • すべての人に健康と福祉を
  • 働きがいも経済成長も

十字とハートのマークが記されている赤いストラップのヘルプマーク。みなさんも、このヘルプマークを見かけたことがあるのではないでしょうか。ヘルプマークは、外見から疾患や障害があることが分からない人が、周囲に配慮を必要としていることを知らせるために作成されました。
このヘルプマークを巡っては、アーティストの椎名林檎さんがCDの特典としてデザインが酷似したグッズを発表し、「本当に支援を必要としている人と区別しにくい」「混乱を招く」など、大きな議論を巻き起こす事態にもなっています。

ヘルプマークは「誰でも」「どこでも」「無償」でもらうことができます、今回は、ヘルプマークの制度と内包されている課題や問題について解説します。

東京都から始まったヘルプマーク、今では全国に普及

ヘルプマークには、大きく分けて2つの目的があります。ひとつは、ヘルプマークを身につけることで、周囲に配慮が必要なことを知らせること。もうひとつは、ヘルプマークの裏側に必要な支援方法などを記載して、自身に関する情報を周囲に知らせることです。
ヘルプマークの利用は、義足や人口関節を使用している人、内部障害や難病の人、妊娠初期の妊婦さんなどが想定されていますが、利用対象者には決まった基準はありません。周囲の手助けや配慮が必要であれば、誰でも利用することができます。

このヘルプマークは、平成23年に発生した東日本大震災を機に作られました。被災した障害を持つ人や病気を患っている人が、必要としている支援方法を周囲にうまく伝えることができなかったという現場の状況がきっかけになったそうです。この状況を改善するために、ヘルプマークは東京都議会で採択、普及が始まりました。東京都から始まったヘルプマークは、今では全国へと普及しています。

私たちは、このヘルプマークを身につけている人を見かけたら、「電車やバスで席を譲る」「困っているようなら声をかける」「災害時は安全に避難するための支援をする」など、思いやりのある行動が求められています。

「誰でも」「どこでも」「無償」でもらえるヘルプマークの仕組みとは?

ヘルプマークは、障害者手帳や診断者を提示する必要がなく、「誰でも」「どこでも」「無償」でもらうことができます。都内では、以下の場所でヘルプマークをもらうことができます。

都営地下鉄各駅(押上駅、目黒駅、白金台駅、白金高輪駅、新宿線新宿駅を除く)駅務室、都営バス各営業所、荒川電車営業所、日暮里・舎人ライナー(日暮里駅、西日暮里駅)駅務室、ゆりかもめ(新橋駅、豊洲駅)駅務室、多摩モノレール(多摩センター駅、中央大学・明星大学駅、高幡不動駅、立川南駅、立川北駅、玉川上水駅、上北台駅)駅務室(一部時間帯を除く)、東京都心身障害者福祉センター(多摩支所を含む)、都立病院、公益財団法人東京都保健医療公社の病院等

東京都以外では、以下のページから、お住まいの地域の受取り場所を確認することができます。
ヘルプマーク 全国の普及状況

「誰でももらえる」からこその弊害も。ヘルプマークの課題と問題点

ヘルプマークは、2021年3月時点で、約415,000個配布されているそうですが、ヘルプマークの認知度が高まっている中、新たな課題や問題点が指摘されています。

障害者の就労支援を行っている株式会社ゼネラルパートナーズが実施した「ヘルプマークの認知度・利用状況に関する調査」によると、ヘルプマークを利用している74%の方が「どちらかというと役立っていない」「役立っていない」と回答をしました。

また、障害がある人のうちヘルプマークを利用していない人の30%が「利用時の周囲の反応が気になる」と回答しています。これは「ヘルプマークを利用することで、差別や偏見の対象になるのでは」と危惧していることが回答の背景にあるそうです。

この結果から、ヘルプマークの認知度は高まってはいるものの、社会全体では、まだ目的やするべき行動などの理解が進んでいないことが分かります。ヘルプマークは「周囲に手助けが必要なことを知らせる」ことを目的にしていますが、その手助けをする周囲の理解が深まっていないことが、今度の課題になりそうです。

また、ヘルプマークには新たな問題として、本来必要としていない人が利用するというケースがあります。例えば、おしゃれ感覚で身につけたり、オークションサイトに大量に出品したりと、ヘルプマークの主旨に沿わない使われ方がされているケースです。これは、ヘルプマークが「誰でも」利用することができるというハードルの低さが原因なのではないでしょうか。

本来ヘルプマークは、みんなで助け合う社会を実現するために誕生したはずです。ヘルプマークの利用者がその実用度を実感するためには、社会全体がヘルプマークに対する理解を深めることが大切です。一人ひとりが、ヘルプマークにしっかりと丁寧に向き合っていきたいですね。

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