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日経ヒット予測13位「AIアシスト高齢者住宅」って何?「介護」の未来を考えよう

日経ヒット予測13位「AIアシスト高齢者住宅」って何?「介護」の未来を考えよう

#SHOW CASE
  • すべての人に健康と福祉を

親の介護について、考えたことはありますか? 老人ホームに入居するのか、自宅で介護をするのか、いざその時が来るまで考えられない人も多いのではないでしょうか。

介護にまつわる問題は、現在日本でも大きな社会問題になっています。
その一つが介護離職。介護と仕事との両立が難しくなり、会社を辞める人が増えています。介護が必要となる親世代がいるのは、40代から50代の働き盛りの人材が多いため、社会としては大きな痛手になっています。1年間に約7.1万人が介護等を理由に離職していると言われています。

また、介護によるストレスや疲れ問題も大きな問題を引き起こしています。“老老介護”という言葉ができたように、介護する側も高齢者である場合も多く、体力や自身の体調の問題もあります。コロナ渦での介護負担の増幅からか、介護殺人が増加しているとの報告もあるようです。

さらに日本では、西暦2025年以降に団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となるため、超高齢化社会となる問題も。この「2025年問題」により、介護の人材不足がより顕著になっていくとされているのです。
今回は、親の介護が現実になる前に知っておきたい、介護の費用や大変さ、AIを活かした新しい介護のあり方をご紹介したいと思います。

想像以上にかかる!介護の費用

介護に費用がかかる認識はあっても、具体的な金額までよく調べている人は少ないかもしれません。在宅介護の場合、一般的な一時費用の平均は約69万円、月額費用の平均は約7.8万円。介護施設を利用すれば、さらに費用はかかります。

介護施設、老人ホームの利用料はピンキリ。立地やサービス内容などによって異なり、相場は入居一時金が0~数百万円、利用料は5~30万とされています。高額な施設の場合、入居一時金に1000万円かかるところもあるよう。
高額ではない施設にせよ、突如訪れるかもしれない介護には、備えが必要だといえるでしょう。

AIなど最先端技術が叶える、介護の新しい形とは

費用面でも、心理的にも、体力的にも大変な介護。介護の負担を軽減し、介護する側もされる側も守っていく必要があるでしょう。

近年では、介護人材の負担を減らすために、AI機能での対話やカメラでの見守りができる仕組みが徐々に開発されています。AI搭載の設備を設置した住宅「AIマンション」は、介護人材の不足に一役買うのではと話題になりました。

AIと高齢者の暮らしは進化を続けており、日経トレンドヒット予測の13位には「AIアシスト高齢者住宅」がランクイン。介護をサポートするものから、科学的に健康寿命を延ばすものまで、新しいテクノロジーが注目されています。その例をご紹介しましょう。

(1)科学的に健康寿命を延ばす「健康寿命延伸住宅」
福岡市の住宅メーカー・芙蓉ディベロップメントは、2022年8月1日から「健康寿命延伸住宅」を販売開始しました。「健康寿命延伸住宅」は、高気密・高断熱住宅に健康管理システムを掛け合わせたもの。AI技術を駆使した健康管理システムによる心不全の早期発見、適切な温熱環境による血圧低下の効果が科学的に認められています。

AIを駆使した自社開発の「ヘルスケアシステム」は、体温や血圧といったバイタル測定を自動取得して、異常値を知らせる仕組み。AIが個人ごとの基準域を作成し、そこから外れた異常値をいち早く検知します。日常的にバイタルデータを取得することで、医師の的確な診断を支援するメリットもあるそう。

「ヘルスケアシステム」を利用した80代男性が、自覚症状はなかったものの、アラートをきっかけに受診したところ、早期の心不全に気づくことができたケースもあります。1泊2日のカテーテル手術で済んだそうです。
このように、日々の暮らしが健康維持や病気の早期発見に繋がるAI住宅は、高齢者のクオリティオブライフを高めることに繋がるといえるでしょう。

(2)非接触センサーでバイタル測定!通報までできる「HED-Net」
積水ハウスが手がける、急性疾患早期対応ネットワーク「HED-Net」。現場で検証するパイロットプロジェクトが、2020年12月に実施されました。

「HED-Net」は非接触センサーを駆使し、住人の心拍数と呼吸数を測定。急性疾患発症の可能性がある異常を検知した場合には、緊急通報センターに通知されます。さらに、オペレーターが室内の通信機器で急性疾患の発症者に呼びかけを行い安否確認し、救急隊に出動を要請。救急隊の到着を確かめながら、玄関ドアを遠隔解錠することができるそう。

住宅で脳卒中や心筋梗塞を起こし、死亡したり介護が長くなったりするケースは増加傾向にあるようです。「HED-Net」は、介護者が家を空ける際の安心材料になるのではないでしょうか。

(3)センサーで高齢者施設を見守る「ライフリズムナビ+Dr.」
エコナビスタが開発した「ライフリズムナビ+Dr.」は、センサーとAIの技術により、高齢者施設の見守りを実現。睡眠を計測するSleep Sensor、天井やトイレの人感センサー、温湿度センサー、ドアの開け閉めセンサー、エアコン制御センサー、エントランスの顔認証センサー、居室内カメラ、呼び出しボタン、バイタル記録、見守り記録により、利用者の生活を可視化することで、部屋から利用者がいなくなるトラブルや、体調不良、室温の調整に対応しやすくなります。
介護者は情報連携やデータの入力など、介護以外の仕事にも追われているのが実情です。「ライフリズムナビ+Dr.」は介護以外の業務を減らすとともに、利用者の生活をサポートすることが可能。介護者と利用者のどちらも守ることに繋がりそうです。

介護の大変さに着目し、AIなどの技術が活かされてさまざまなサービスが展開されています。テクノロジーに期待をしつつも、家族の介護について考えることや、自分自身がどのように老後を過ごしていくかの準備は欠かせません。もうすぐ年末。今年は家族で集まるタイミングで、介護や老後の暮らしのことを話し合ってみてはいかがでしょうか。

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