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新内眞衣と学ぶニッポン放送「SDGs MAGAZINE」ごみ問題をマシンガンズ滝沢秀一さんが解説 #後編

新内眞衣と学ぶニッポン放送「SDGs MAGAZINE」ごみ問題をマシンガンズ滝沢秀一さんが解説 #後編

#RADIO
  • つくる責任つかう責任

ニッポン放送で毎週日曜日午後2時10分からオンエア中のラジオ番組『SDGs  MAGAZINE』。パーソナリティを務める新内眞衣さんとともにSDGsを学ぶ同番組の2023年第2回放送では前週に引き続き、お笑い芸人で清掃員でもあるマシンガンズの滝沢秀一さんをゲストに招き、「ごみとSDGs」について掘り下げた。

1月8日の放送では分別の重要性や最終処理場の寿命など、ごみ問題そのものに切り込んだが、今回はSDGsとの関わりがテーマ。新内さんは「ごみとSDGsのつながりはものすごく強くて、17の目標そのものにごみ、廃棄物という文言はないのですが、それぞれのターゲットを見ると、それに関連するワードがあちこちに出てきます」とし、ごみ問題への取り組みが達成につながってくるSDGsの目標を滝沢さんと一つ一つを具体的に見ていった。

【“ごみ”に関わる主なSDGsのターゲット】
★目標12「つくる責任 つかう責任」
12.3
2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。
12.4
2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物資質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
12.5
2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。

★目標14「海の豊かさを守ろう」
14.1
2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。

★目標6「安全な水とトイレを世界中に」
6.3
2030年までに、汚染の減少、投棄廃絶と有害な化学物質や物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模での大幅な増加させることにより、水質を改善する。

★目標11「住み続けられるまちづくりを」
11.6
2030年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。

切っても切り離せないSDGsとごみ問題

新内 「本当にいろいろな面で関わりがあります」

滝沢 「環境問題とごみは切っても切り離せないものですからね」

新内 「そうですね。特に12.5なんて、2030年までにごみが出ることを防いだり、減らしたり、リサイクル、リユースをすることでごみの発生量を削減するということが書かれています」

滝沢 「はっきり言っているもんね。ごみのことも入れてSDGsの目標を18個にしてもいいんじゃないかなと思うくらいです」

新内 「そうですね。17の開発目標となっていますけど、18になり得るくらいごみって重要な問題にはなってくると思うんです」

滝沢 「人間が生きる上で、ごみって捨てないわけにはいかないですからね。ごみを回収していると小さいおむつとか出てくる。人間って生まれた瞬間に、ごみを出すんだなと。自覚していなくても、ごみを出す」

新内 「本当ですね。コロナ禍になって衛生用品が増えたじゃないですか。手袋をし始めたりとか、除菌シートが増えてきたりとかしています」

滝沢 「医療系のものは使い捨てが良かったりしますからね。場所、場所を考えて減らしていくことが必要かなと思うけど、もっとやれることは何かないかなとも思う。食品ロスにしても、これでもかっていうくらい食べ物が捨てられていたりしますからね」

食品ロスも大きな課題

新内 「以前、番組に食品ロス問題ジャーナリストの井出留美さんに出ていただいたのですが・・・」

滝沢 「井出留美さん、僕の師匠ですよ」

新内 「フードロスというか、つくられているのに捨てられてしまうことがある。ロケでもお弁当とか誰が食べるんだろうというくらい山積みにされていたりするじゃないですか」

滝沢 「持って帰ったら、すごく批判されたけどね。みんなの分まで持っていったんじゃないかとかね(笑)。余っていたからもらったんだけど・・・」

食品ロスの問題に話が及んだところで、新内さんが気になったのが食品ロスの観点による年末年始のごみ回収事情。お笑い芸人をしながら2012年から清掃員の仕事にも従事する滝沢さんに「特に季節柄、クリスマスの時期とかお正月はどうなんでしょう」と質問した。

滝沢 「クリスマスは数年前まではケーキが1ホールのまま捨てられていたりしましたね。8分の1くらいだけ食べて、あとは全部捨てているとか。あと、秋にお米が捨てられるというのは衝撃でしたね。新米が出るから、古米は全部捨てちゃう。清掃員の中では、秋になるとお米が捨てられるっていうのは、あるあるなんです。お中元、お歳暮のシーズンにはメロンが丸ごと3つ入っている箱を回収したこともあります。『うわあ、もったいない』と思いながら」

新内 「そういうものをなくすには、どうしたらいいんでしょう」

滝沢 「みんなのマインドの中に、とりあえずもらえるだけもらって食べきれなきゃ捨てればいいやということがあると思うんです。1件のお宅からドバっと捨てられていたりする」

新内 「寂しい・・・」

滝沢 「企業とか国とかもそう。輸入するだけして、捨てている。日本って522万トンくらいの食料を年間で捨てているのだけど、国連世界食糧計画(WFP)が1年間に恵まれない人を救おうと支援している食料が420万トン。それよりも日本では捨てられている」

新内 「そうなんですね」

滝沢 「あとは洋服かな、ファッションロスみたいなこと。年末年始に限らず断捨離が常習化されているから、要は安い洋服を買って捨てちゃえ、というマインドになっている。やっぱり安いと、どんどん買って捨てるという習慣が生まれる」

新内 「うまく、それを引き取るサービスとかあったらいいなと思いますね」

滝沢 「そうですね。あとは、やっぱり僕は生み出し過ぎなのかなとも思っています。半分くらいは新品に誰も袖に手を通さないまま捨てられてしまっているわけでしょ。燃やしたりもするし、もともと洋服は何かの資源だったりするから、ごみを生み出さないことでお金が生まれるようなシステムができれば一番いいなと思っていて。俺は洋服、レンタルなんですよ」
新内 「レンタル?!」

滝沢 「上3着、下1着、ズボン1着でコーディネートされて勝手に送られてくるんですけど、意外とそれがおしゃれだと言われるんですよ。しかも1カ月終わったら返すから、洋服がたまるスペースが家にないので心地いい。これも、ごみを無くすことによってお金が生まれるシステム。スタイリストさんにはお金が入ってくるので、こういうことが企業として伸びてくるといいですよね。経験を売るというか」

ごみに表れるSDGsへの意識

新内 「実は、お金持ちの家の方が、ごみが少ないという話しも聞いたのですが」

滝沢 「そう、少ないの。いろいろな地域に回収しに行っていると、ある時、地域によってごみって違うなあと気付いたんです。お金持ちの地域って、そんなにごみが出ないなと思って」

新内 「どうしてですか」

滝沢 「いろんな理由があると思うんです。外食が多いとか。ただ、一般的な住宅だと、大量に洋服が出てくることがあったり、100円ショップの品物とかがすごく出てきたりする。グラスとか、新品に近いこれを捨てちゃうんだとか。ごみ清掃員って客観的に見るんですよ。『あれ? お金を出してごみを買っているようなものだぞ』と」

新内 「やっぱり物って捨てるのも大変じゃないですか」

滝沢 「ストレスがかかるよね」

新内 「だから、本当に自分の心地良いもので固めよう、自分の好きなものであふれる生活にしようと思うようになりました」

滝沢 「気に入っている物と生活した方が楽しいですしね」

新内 「そうですね。だから、今一人暮らしなんですけど、自分の使っている食器はずっと使っています」

滝沢 「何かちょっと背伸びをして買うというのはいいなと思っていて。11年前にごみ清掃員になった時、ペットボトルで飲んでいるとすごくお金がかかるからマイボトルを買ったんです。当時7000円払うのもなかなか大変だったんだけど、11年経った今もいまだに使っている。思いを込めて買ったやつって、捨てられない」

新内 「頑張って買った服も、絶対捨てないです」

滝沢 「俺なんか3万円のコートを買ったってなると、何年も着るもんね」

新内 「思い出も込みで物に対する大事さ、愛着を持ってほしいなと思いますね」

滝沢 「そう、愛情を込めて買うって一番良いなと思っていて。安く買ったものって、すぐ捨てたり、手放してしまったりしちゃう」

新内 「確かに、それの“ちりつも”で、もっと高いのを買えたのにって思いますよね」

米国で広がる「ラストロング」の思想

滝沢 「洋服がごみとしてたくさん出ていると、『これ、良いのを1着買ったほうが良いんじゃないの』って思う。その方が長い間、もつだろうし。アメリカには『ラストロング』という言葉があって、直訳すると『もちが良い』みたいなこと。愛している物だったら命がなくなるまで使うというサステナブルな人たちの思想で、これなんか日本でいうところの『もったいない』に近い。ただ、『もったいない』は捨てるときの発想・ニュアンスなんだけど、アメリカの『ラストロング』は買う時に、これはちゃんと愛せるかなということなんです」

新内 「素敵」

滝沢 「素敵な言葉ですよね。最後まで、命なくなるまで使えるかなあと言って思い入れを込めて買うという思想」

新内 「それを持って自分が死ぬって考えると、めっちゃいいと思うんですよ。適当なものに囲まれて死ぬより、自分の中での一級品に囲まれて死ぬって最高な人生ですよね」

滝沢 「最高な人生だけど・・・急に“死”という単語が出てきて驚いてしまいました」

新内 「いやいや、そういう考え方の人が増えたらいいかなと思って」

滝沢 「いいと思う。すごく素敵なことですよね」

滝沢さんが描く“ごみフェス”構想

続いて、新内さんが聞いたのが滝沢さんが運営するオンラインコミュニティ「滝沢ごみクラブ」について。ごみを減らすためのクラブ活動のようなもので、愉しくごみやエコ、SDGsについて学び、実践するコミュニティとなっている。

滝沢
 「ごみをちょっとでも減らしたいということで、オンラインだから日本全国いろいろなところから参加してくれるているんです。ごみの分別を知りたいという主婦の方から、専門の方まで。そこで今度、“滝沢ごみフェス”みたいなことをやりたいなとも思っていて。このメンバーで企画して、どこかで・・・と思っているんですよね」

新内 「夢が広がりますね」

滝沢 「楽しいですね。企画をやったりとかして」

新内 「どういったことを計画しているのでしょうか」

滝沢 「僕は今、保育園児に分別というものを教えたくて自主製作で紙芝居をつくっているんです。これと似たようなことを考えている人が結構いて、環境問題を教えたいから紙芝居をつくっているとか、そういう人がいっぱいいるから“紙芝居-1グランプリ”みたいなこともやりたいなと。あとは、洋服の問題。言ってみればリサイクルセンターって年配の方の洋服が多いイメージがあるから、中学生とかが参加して、みんなが洋服を交換できるような場をつくるとか。ちょっとブラックライトか何かで照らしたりして、おしゃれにしたいなと思うんですよね」

新内 「それこそフリーマーケット的なものとか」

滝沢 「そう。バザーと呼ばれるものをちょっとおしゃれに。粗大ごみを回収したりもするんですけど、袋から出されていない自転車が出されていたりするの。『これだったら俺、欲しいよ』というのもある。まだまだ使えるものを集めて欲しい人にあげたら、ごみが減るかなと思って。ごみの歌とかつくっている人も全国にはいたりする。そんなのも、みんなでやったら面白そうだなと」

新内 「すごい! いいですね」

滝沢 「いいでしょ。参加してよ」

新内 「ごはんとかもタッパーで持っていきたくなる」

滝沢 「食品ロスを考える屋台とかも出して」

新内 「なるほど。食品ロスになりそうだったものを材料にして・・みたいな」

滝沢 「料理芸人とかもいるから、つくってもらったりして。楽しそうでしょ」

新内 「めっちゃ、楽しそうですね。そうなってくると楽しく学べるからいいですよね。意識が高まる」

滝沢 「来年の5月30日、ごみゼロの日にでもやろうかなと思って」

新内 「5月30日ですか」

滝沢 「これ、うちの結婚記念日なんですよ。偶然。結婚したのは、ごみ清掃員になる前なので」

新内 「もう、運命ですね」

1人の100歩より100人の1歩

2週にわたって「ごみとSDGs」について学んだ新内さんは、最後に「今私たちにできること、未来への提言」を滝沢さんに聞いた。

滝沢 「僕は1人の100歩よりも100人の1歩ということですね。1人がすごく環境のことを追求しても環境問題って良くならないと思う。みんなちょっとずつ協力してくれたら環境って良くなるんじゃないかなと思っているので、ちょっとずつ皆さん協力してくれたらうれしいですね」

新内 「ありがとうございます」

滝沢 「ありがとうございました」

SDGsの多くの目標に関わり、具体的にターゲットにもしばしば出てくる「ごみ」というワード。それを身近に感じられるものとして、滝沢さんが提案した「ごみフェス」のアイデアは新内さんの心にも響いた様子。「イベントにすることでみんなの価値観も変わると思うし、当事者意識が芽生えると思うんです。1人の100歩より100人の1歩って、本当にその通りだなって思いました。これを聞いている皆さんも一歩踏み出してみていただけたらうれしいなと思います」と、新内さんにとっても、大きな一歩を踏み出すきっかけになりそうな放送回となった。

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