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メタバースを活⽤した新たな⽂化体験「バーチャルヒストリア」で文化を守り継承する

メタバースを活⽤した新たな⽂化体験「バーチャルヒストリア」で文化を守り継承する

#SHOW CASE
  • 住み続けられるまちづくりを

2019年12月の感染者報告を皮切りに世界的に広がり始めた新型コロナウイルス。各国ではロックダウンの実施や入国規制を行うなど、私たちの生活様式に様々な変化をもたらしました。新型コロナウイルスが世界的に蔓延してから4年が経とうとしている2023年現在、日本でも3月13日からマスクの着用を「着用は個人の判断に委ねることを基本」とするなど、徐々に元の生活に戻りつつあります。日本への外国人観光客が増えてきたと実感する人も多いのではないでしょうか?

回復傾向にある訪日外国人数

新型コロナウイルスの蔓延により観光分野には大きな影響がありました。日本政府観光局(JNTO)によると、2019年の訪日外国人数は約3,200万人と計測を開始した1964年以降最高値だった結果に対し、2021年には約24.5万人まで落ち込みました。

一時期は観光業界に大きなダメージを与えた新型コロナウイルスですが、2022年12月には約137万人と2年10ヶ月ぶりに100万人を超え、前月比の1.5倍という結果に。
そして今年に入っても2023年1月には約150万人、2月には約148万人と3ヶ月連続で100万人を超え、コロナ前の数値にはまだ届かないものの、観光業界ではさらなるV字回復を見込んでいます。2023年1月にトリップアドバイザーによって発表された「2023 トラベラーズチョイス ベスト・オブ・ザ・ベスト 観光地」では「文化体験におすすめの観光地世界トップ20」に世界の名だたる観光地が上位に来る中、日本では京都市が18位にランクインするなど、日本は海外でも人気がある観光地として認知されているようです。

文化保全への課題

2021年7月時点で日本における世界遺産は25箇所登録されており、これは世界194か国の中でも11位と、日本には数多くの文化遺産・自然が残されています。

また、世界遺産だけでなく、神社や寺院などの有形文化財や、歌舞伎、能楽などの無形文化財など様々な文化資源がある中で、保全のための改修費や維持費が不足していることや、過疎化や少子高齢化による後継者不足などが問題視されています。その中で新型コロナウイルスの感染拡大により、観光客が激減してしまったことでこの文化保全の問題への課題はさらに深まりました。SDGsでも掲げられている「住み続けられるまちづくりを」を達成するためのターゲットの中には「世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する」という項目があり、都市開発や自然災害により崩壊または破壊の恐れがある文化財に対して、保護と保全の強化を目指しています。

さらに、少子高齢化などの人口問題の他に、文化庁による「諸外国の文化予算に関する調査 報告書」によると、日本は世界に比べて文化支出額が少なく、比較した6か国の中で最も文化予算が低いことがわかります。

デジタルの活⽤で文化財を保全する取り組み

文化保全について問題視されるなか、2023年3月29日に、京都府⻲岡市が市の歴史⽂化を発信するメタバース空間「KAMEOKA VIRTUAL HISTORIA-⻲岡バーチャルヒストリア-」を公開しました。
⻲岡市の歴史や⾃然・⽂化資源に触れることができるメタバース空間では、⻲岡市⽂化資料館が所蔵する⽂化財や、市内各地の伝統芸能・祭事・⾵習・⾃然などの歴史⽂化資源を再現し、自身の選択したアバターを視点とした⻲岡の歴史⽂化について楽しく学ぶことができる取り組みが注目されています。

アプリ等のインストールや会員登録は不要で⼿軽にアクセスでき、クエスト型のゲームに似たストーリー性とリアリティのあるハイクオリティな世界観に取り入れたことで、1人でも長時間楽しめる仮想空間を体感できるそうです。

また、⻲岡市で守られている⽂化遺産をデジタルアーカイブ化した「データベース」の制作も進めており、公開された「KAMEOKA VIRTUAL HISTORIA」とも連携し、メタバース空間内で⽂化財を収集するとデータベース内の情報を閲覧することができます。
亀岡市への歴史の理解をさらに深めることができる、新しい文化体験とも言えますね。

⻲岡市では、様々な要因から各自治体・団体が文化保全の取り組みを進めている中で、デジタル技術を活用して今後も市の魅⼒や⽂化遺産を適切に保護・保全していくことを明言しています。
デジタル空間という誰もが手軽にアクセスできる環境で、紡いできた歴史を適切に次世代に繋げていくことは、まさに時代の変化に適応した新しい取り組みでしょう。

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