“SDGs”と“企業”をもっと近づける!SDGs MAGAGINE

【SDGs達成度ランキング】日本がトップ20から転落。アメリカが「本気度」最下位になった理由とは

【SDGs達成度ランキング】日本がトップ20から転落。アメリカが「本気度」最下位になった理由とは

#SHOW CASE

6月21日、各国のSDGs進捗状況を示す「SDGs達成度ランキング」の2023年版がSDSN(持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)より発表されました。日本は166カ国中21位と、昨年の“世界トップ20”から初めて転落しました。このような状況を踏まえ、SDGsに対する日本と海外の意識の違いを比較しながら、現状を振り返ってみましょう。

「本気度」を比べた新しい調査とは?達成できないとどうなるのか?

SDGs達成度ランキングの中で、74カ国の政府を対象に、「①政治的なリーダーシップ ②長期的な政策 ③多国間での協調姿勢」という3つの観点から、SDGsに対する「本気度」を測る新しい調査が行われました。
1位はスウェーデン、次いで、スイス、オランダ、フィンランドと、北欧諸国が上位を占める結果となりました。西アフリカのベナンが5位、インドネシアが7位、そして日本は13位です。最下位は、まだ一度も国連に取り組み状況を報告していないアメリカとなりました。
今回対象となった 74 か国の平均スコアは 56% 、満点に届く国はありませんでした。
SDGsは国際社会全体で取り組む目標とされていますが、法的な拘束力はなく、ペナルティが課せられることもないということが、この結果の一因といえるかもしれません。いずれにしても、世界的にSDGs に対する政府の取り組みとコミットメントはまだ低い状態だということがいえるでしょう。

画像出典:SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT 2023

SDGsに対する日本の取り組みとは?過去の日本のランキングは?

今回のランキングで日本は、目標4「質の高い教育をみんなに」と目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の2項目が、最高ランクの「達成済み」とされており、それ以外の15項目は「課題が残る」「重要な課題がある」と評価されました。

目標4は、初等教育の就学率や高等教育を受けた人の割合が高いこと、目標9は、普段の暮らしに必要な水や電気などのライフライン整備に加え、インターネット環境や、鉄道・道路などの輸送インフラが整っていることが認められたといえます。

実は、2項目しか達成していないにもかかわらず、国際的に見ると日本はアジアでトップの達成度を誇っているのです。2016年から2022年まで、10位台をずっとキープしていました。「質の高い教育」という取り組みにおいては、世界の識字率が約86%と言われる中、日本は100%となっていることからも分かるように、教育について常に国会で議論が行われ、試行錯誤によって進化し続けています。現在は、外務省が中心となり、地雷回避教育、自然災害に備えるための防災教育、さらにHIV/エイズなどから身を守るための健康教育など、国際社会における日本人一人ひとりの尊厳を高め、自立を後押しする教育を目指しています。

また、「産業と技術革新の基盤」という側面では、大きな自然災害を何度も経験している日本だからこそ、いち早く元の状態に回復できる「強靱(レジリエント)なインフラ」が整っているということが強みになっています。途上国をはじめ、基礎インフラが当たり前でない国が世界には数多く存在していることを考えると、日本の現状はトップ水準といえるでしょう。

画像出典:SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT 2023

「本気度」ランキングトップ、最下位の国の取り組みとは?

日本が評価された2項目のみならず、多くの点で高い評価を受けたスウェーデン。一方、「本気度」調査で最下位となったアメリカ。両国それぞれの違いは、どのようなものなのでしょうか。
スウェーデンは、企業や団体、自治体などよりも政府自体が最も真剣にSDGsに取り組んでいます。例えば、ゴミの分別を100種類に分け、家庭ごみの99%をリサイクルや電力エネルギー源としています。政府が本気だからこそ、国民にもそのエネルギーが波及し、大きな協力がないと実現できない政策を可能にすることができるのでしょう。

画像出典:SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT 2023

アメリカのトランプ政権は2019年11月、地球温暖化対策を推進する「パリ協定」を正式に離脱し、世界に衝撃を与えました。国としては、このような姿勢がありましたが、奇跡的に州に一定の自治権があり、多様な価値観が共存するアメリカでは、州や民間企業などがSDGsに自らコミットしている事例もあります。気候変動問題と経済格差の是正を目的に提唱された経済刺激策「グリーン・ニューディール」という取り組みがアメリカを中心に世界各国に広がっており、ロサンゼルス市では、パリ協定の順守をはじめ、地域のサステナビリティを目指し、全ての市民が、経済的にもエコの面でも豊かに暮らしていけるような未来を作っていくという活動を行っています。

画像出典:SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT 2023

SDGsを達成していくには、国全体で大きな政策や取り組みをしていくことも重要ですが、それを実現化していくには、わたしたち国民一人ひとりが意識を高めて行動することが大切だといえます。来年の「SDGs達成度ランキング」で日本がトップ20に返り咲き、さらに世界全体の達成度も上がっていくことを期待したいですね。

アバター画像

WRITTEN BYSDGs MAGAZINE

カテゴリーの新着記事

新着記事

Page Top