“SDGs”と“企業”をもっと近づける!SDGs MAGAGINE

日本のイノベーターを生み出す仕組みとは?部活感覚で仲間と創る日本の未来

日本のイノベーターを生み出す仕組みとは?部活感覚で仲間と創る日本の未来

#SHOW CASE
  • 質の高い教育をみんなに

ユニコーン企業が日本に少ないのはなぜでしょうか。
ユニコーン企業とは、創業してから10年以内で、企業価値評価額が10億ドル以上の未上場ベンチャー企業のことです。代表的なところでは、アメリカの「Airbnb」、「SpaceX」、中国の「ByteDance」(TikTok)などがあります。とても勢いのあるユニコーン企業ですが、CCReB GATEWAYの調査によると2022年3月時点でユニコーン企業の数は、アメリカが最多の539社、第2位は中国の174社、第3位はインドの64社。日本ではたったの10社と世界に比べて少なくなっています。これを懸念する声もたくさんある中で、「未来創造部」というユニークな発想が、「NOVUS FUTURE DESIGN AWARD 2022」(以下、NFDA2022:一般社団法人渋谷未来デザイン主催)で最優秀賞を受賞しました。NFDA2022は、新しい発想や視点で社会を良い方向に導く企画を表彰する実践型アワードです。受賞作は、渋谷区やスポンサー企業とともに、その企画の実現に向けて動いていくことになります。さて、今回受賞した「未来創造部」とはどんなものなのでしょうか。

日本の明るい未来を照らす「未来創造部」

現役高校生の吉浦 璃子さんが考案した「未来創造部」は、同じような夢を持つクリエイティブな中高生が世界中から集まり、アイデアを形にする場所。学生と社会が手を組み未来を創る「部活型」オンラインコミュニティです。創設メンバーは全員が学生で、起業やNPO設立、留学、インターンの経験を基に、学生自身の目線から「私たち世代に最も必要なものは何か」というテーマで運営しています。このコミュニティでは、高校生の段階から、プロジェクト企画や起業を当たり前な課外活動とし、日本の未来のイノベーターを育成することも狙いのひとつです。

主な活動は、部員となった中高生が企業から出された課題に対して、チームメイトとの協力やメンターからのサポートを受けながら課題解決に向けて試行錯誤し、その実現を目指すものです。他にも、ワークショップなど、企業をはじめとしたさまざまな団体とつながる機会を提供することも予定しています。しかし、アイディアだけでは、机上の空論となってしまうもの。今回は、受賞にあたり、NFDA2022にメインパートナーとして協賛を行うアクシスコンサルティング株式会社(本社:東京都千代田区/代表取締役社長:山尾 幸弘)が、さまざまな領域のプロのコンサルタントに相談できるサービス「コンパスシェア」を副賞として提供することで、受賞アイデアの実装化をサポートしています。

プロジェクトの始まりとコンサルタントによる支援

吉浦さんにとっての最初の課題は、起業経験がないため、どこから始めればよいのか、物事を進めていく適切な順序が分からないことでした。そんな中で、アクシスコンサルティングが提供する「コンパスシェア」に具体的なプロジェクトの進め方を聞いたり、ミーティングで有益なフィードバックをもらうことで、企画をブラッシュアップすることができたそうです。
特にコンサルタントによる専門的な知識が役立った場面は、マーケティングの方法を検討する上で、事業に関わるステークホルダーの視点に立ち、最も効果的な言葉・手段を見つけられたことです。「未来創造部」のWEBサイトで使うメッセージは、どんな言葉が響くのか、また、企業や保護者といった学生以外の立場の方々にはどのようなアプローチが効果的なのかなど、吉浦さんの経験や知識だけでは難しく感じる部分を補完することができました。さらに、事業のマネタイズや事例をリサーチする方法、メンバーとの役割分担のコツなど、「未来創造部」の運営において必要かつ実践的なことをたくさん教えてもらったそうです。

高校生としてコンサルタントからのアドバイスで学んだこと

吉浦さんは、「起業するのだから、大人と同等な立ち回り、知識を持って精進しなければと意気込んでいた中、高校生・留学生といった私ならではの価値を有効活用することも効果的だということを教えていただきました。」と語っています。人の背中を見る以上に、自分と向き合って個性的な強みを見つけることで他との差別化ができ、埋もれない存在を確立することの重要性を学んだそうです。
もし、コンサルタントの支援がなかったら、という質問には、「せっかく良いものを作っても世の中に広く届かないという困難が生じていたと思います。」と話す吉浦さん。準備段階ではサービスの「内容」にフォーカスを当てていたので、マーケティングにおいても、無意識のうちに学生視点での魅力しか考えられず、別角度の価値をうまく伝えられなかっただろう、とコンサルティングについて振り返っています。

「未来創造部」と「コンパスシェア」の相乗効果

「未来創造部」は「何か新しいことをしてみたいけれど、第一歩が踏み出せない、じゃあとりあえず未来創造部に入ってみよう!」と思ってもらえるような存在を目指しています。そして、若者たちが持っている隠れたポテンシャルを社会で活用するために、学生たちの背中を押し、仲間と一緒にわくわくするような未来を作りたいと考えています。さらに、学生ならではの価値を社会人の方々が発掘し、コラボ・活用できるようになれば、社会全体に利益をもたらすこともできるでしょう。

今回、高校生のアイデアにコンサルタントがアドバイスをするという事例は「コンパスシェア」では初めてのケースとなりました。参画したコンサルタントからは「彼女たちだからこそ提供できる価値や訴求方法を一緒に考え、高校生らしいエネルギーが感じられる事業計画に仕上げることができ、参画した高校生の主体性もより上げることができた。行動力やチャレンジする姿勢など逆に高校生から学ぶことも多かった。」という感想がありました。「未来創造部」との挑戦によって、コンサルタントにとっては新たな活躍の場を開拓することができたのです。今後もアクシスコンサルティングは「すべての人が幸福に暮らし、活き活きと働くことができる社会の実現」に向けて、さまざまな取り組みを目指していきます。

ユニコーン企業の数が示すように、日本では世界に比べてイノベーターと言える人の数がまだまだ少ないのが現状です。この課題を乗り越えるためには、SDGs目標4-4「2030年までに、はたらきがいのある人間らしい仕事についたり、新しく会社をおこしたりできるように、仕事に関係する技術や能力をそなえた若者やおとなをたくさん増やす。」にもあるように、新しいプロジェクトや事業を起こしていくためのサポートや訓練が必要だといえます。日本の社会をより良いものに導いていくためにも、若い人たちの斬新なアイディアをさまざまな領域の専門家が力を集結して創り上げていく、といった機会がもっと増えていくといいですね。

アバター画像

WRITTEN BYSDGs MAGAZINE

カテゴリーの新着記事

新着記事

Page Top