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転職マーケットに変化あり?若手の採用控えや新しいテーマの増加も、最新のコンサルティング業界転職動向

転職マーケットに変化あり?若手の採用控えや新しいテーマの増加も、最新のコンサルティング業界転職動向

#SHOW CASE
  • 働きがいも経済成長も

⻑らく右肩上がりで「超売り手市場」が続いていた転職マーケット。実は2023年下半期あたりから潮目が変わってきているというのをご存知でしょうか。
コンサルティング業界における転職支援を20年以上にわたり行っているアクシスコンサルティング株式会社の業界歴20年超のヘッドハンターに、2024年上半期のコンサルティング業界における転職動向について聞きました。

国内外の転職動向とコンサルティング業界

グローバルにおける最新の転職動向をみると、リーマンショック時のような急激な下降ではなく今のところはごくごく緩やかに、部分的な状況ですが、「ダウントレンド」と言える状況になっています。
「リセッションに入った」、緩やかな減速が利下げ等による政策により回避された、など見方によりいくつかの言説が出ていますが、成⻑の鈍化という点は共通する認識のようです。

一方日本では、経済面は物価上昇、円安など不安要素があるものの、全体感として慢性的な人手不足、労働市場の流動化加速といった背景もあり、国内に絞って転職マーケットをみると引き続き活況といえます。
ただし国内でも、「コンサルティング業界」という軸では、昨年まで旺盛だった若手ポテンシャル層については厳選、というスタンスを取るところが増えてきました。採用ストップは起きていませんが、転職のハードルは確実に上がっているようです。

コンサルティング業界をさらに見ていくと、国内外ともに採用が強化されているのはマネージャークラス以上の人材です。マネジメントなしに若手だけを投入するわけにもいかず、結果プロジェクトにアサインされていない若手層が増加しています。全体的に人手不足感がありながらも、レイヤーによっては余剰気味、といったところがあるようです。
2024年もこの傾向はしばらく続くとの見方が強いようで、コンサルタント未経験の方でも内定が出やすかった2023年前半とは異なり、狙い所をしっかり定める必要があります。逆にマネージャークラス以上の即戦力層は、相対的にニーズが高まりますので、引き続き活況な市場と言えます。

ベンチャーファームの台頭

コンサルティング業界で注目しておきたいことの一つに、この3〜5年で新しいコンサルティングファームがいくつか設立されているということがあります。日本国内発祥で特定の企業グループをルーツとしていない独立系で立ち上がったファームと、大手企業から資本を受けた形で立ち上がった資本系のファームです。

それぞれが既存の大手ファームとは違った理念や方針、特色を持っています。各社ともフェーズは異なり、IPOに向けて具体的な準備段階のところ(ストックオプション付与への期待値大) や、まだまだアーリーステージで会社基盤を作っているところなど、いずれも「今」でしか経験できないフェーズがあります。

実際に、世の中の課題解決への関与を求め、多少のリスクをとってでもチャレンジしたいという志向を持ったマネージャークラス以上の方が、大手ファームで一定の経験を積んだのち、ベンチャーファームへ転職するケースも増えてきているそうです。 

SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」の中に、
8−3 働きがいのある人間らしい仕事を増やしたり、会社を始めたり、新しいことを始めたりすることを助ける政策をすすめる。特に、中小規模の会社の設立や成長を応援する。
とありますが、近年コンサルティングファームが増えていることは、こうした政策が生かされている一つの例かもしれません。

引き続きニーズの高いDXの分野

2024年も引き続き高いニーズがあると予想されるのはDX(デジタルトランスフォーメーション)の分野です。各コンサルティングファームへ2025年の壁※の解決に向けての相談が多く寄せられており、それに対応できるIT人材が不足しているためと考えられます。

DXという言葉自体、意味するところが多岐に渡っていますが、やはりまだまだニーズが底堅いそう。経営マターでの戦略的なDXテーマもあれば、DXツール導入といったテーマもあり、幅広く求人が出ています。これに紐付いて、SaaS関連求人やクラウド関連求人なども活況になるとのことです。

※ 経済産業省が2018年9月に発表した『DXレポート 〜ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開〜』で提起している2025年までに解決すべき課題が山積みの状態

新分野の求人もいよいよ活発化

生成AI・AR/VR・ロボティクス・ドローン・WEB3.0・メタバース・GX(グリーントランスフォーメーション)・SX(サステナビリティトランスフォーメーション)など、近年生まれた新しい分野・テーマにおいても人材ニーズが生まれています。

ここ数年もこれらのニーズはありましたが、コンサルファームにおいてもこうしたテーマについて専門部署を立ち上げるなどの動きもあり、2024年以降、活発化しそうです。マーケットには同テーマのスペシャリストなどがまだ少なく、近しい経験をもとにした越境転職なども加速すると考えられます。 コンサルファームから事業会社へ転職する場合も、統合データベースの構築をはじめとする「データ利活用」や、東京証券取引所が上場企業に要請したPBR1倍割れへの改善を発端とする企業価値向上に向けた「新規事業立ち上げ」「事業再編」「M&A」などに関連する新たなテーマが出てきそうです。

ここまで述べてきたように、コンサルティング業界においては、若手の採用控えや、新しいテーマの増加など、同一のファームであっても部門・ユニットにより採用温度感が大きく変わってきそうです。そういった意味合いでも「どの企業」ではなく、「どの企業のどのチーム」を次のキャリアにするか、よりピンポイントに情報収集した上で、狙いを定めることが重要になるでしょう。

また、自分にあった仕事がわからないという「転職迷子」が増えてきているというニュースも出ています。ここで力を発揮するのが、候補者の市場価値が最も高くなる企業を紹介できる、そして転職そのものを迷っている方の背中を押せる転職エージェントです。今回話を聞いたアクシスコンサルティングでは、正社員としての転職だけではなく、フリーランスや副業という多様な働き方も提案しているそう。転職に迷った際は、こうした専門家の力を借りるのも良さそうですね。

 監修:荒木田誠(アクシスコンサルティング株式会社 取締役 エグゼクティブ・コンサルタント)


執筆/フリーライター Yuki Katagiri

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