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たかまつななさんと考えるSDGs前編~出張授業やカードゲームに表れる「分かりやすく伝える」ときに大事なこと

たかまつななさんと考えるSDGs前編~出張授業やカードゲームに表れる「分かりやすく伝える」ときに大事なこと

#RADIO

ニッポン放送でオンエア中のSDGsを楽しく分かりやすく学べるラジオ番組『SDGs MAGAZINE』。11月19日の放送回から2週にわたって、元お笑いタレントで現在は若者の政治参加や社会課題の解決に向けて時事やSDGsにまつわる活動をしている、たかまつななさんをゲストに迎え、パーソナリティの新内眞衣さんが、その取り組みの中身や「分かりやすく伝えること」の意味に迫った。

若者と政治をつなぐ出張授業

「SDGs FES in EDOGAWA」や大手コンビニチェーン「ミニストップ」の取り組みなどSDGsにまつわる仕事が増えている新内さん。「(番組の)外にも(活動が)つながってきて、本当にうれしい限りなのですが、そうなってくるとより大事なのが、しっかり話せて伝えられることだと思うんです」と、改めて「伝える」ことの重要性や難しさを実感しているという。そこで今回は、若者と政治をつなぐべく、2016年4月に株式会社笑下村塾を設立し、主催者教育やSDGsの普及・啓発を行っている、元お笑いタレントのたかまつななさんを招いて、その取り組みを深掘りした。

新内 「今日は、この方にお話を伺います! 時事YouTuber、株式会社笑下村塾代表取締役のたかまつななさんです」

たかまつ 「ごきげんよう。よろしくお願いします」

新内 「お会いするの、初めてですよね」

たかまつ 「そうですね。よろしくお願いします」

新内 「ニッポン放送のラジオには、結構出られていますよね」

たかまつ 「この間、ナイツさんの『ザ・ラジオショー』に出させていただきました。あとは昔、オールナイトニッポン0をやらせていただいていました」

新内 「それは、いつくらいですか」

たかまつ 「大学生の時だったので、2014年ですね」

【たかまつなな・プロフィール】
1993年神奈川県横浜市生まれ。大学生時代に、フェリス女学院出身のお嬢様芸人としてデビュー。現在は時事YouTuberなどとして、政治や教育現場を中心に取材し、若者に社会問題を分かりやすく伝えている。18歳選挙権をきっかけに、株式会社笑下村塾を設立。出張授業「笑える!政治教育ショー」「笑って学ぶ SDGs」を全国の学校や企業、自治体に届けているほか、「政治の絵本」「お笑い芸人と学ぶ13歳からのSDGs」などの著書がある。

新内 「そんなたかまつななさんが本日のゲストです。プロフィールにもあったように『笑える!政治教育ショー』『笑って学ぶSDGs』といった出張授業をされているとのことですが、どういったきっかけでこのような活動をされるようになったんですか」

たかまつ 「2016年に投票できる年齢が満20歳以下から18歳になり、その時に初めて政治の場で若者が主役になったなと思ったんです。それまで全然聞いてもらえていなかったところから、若者の声をどうやって政治に届けるのかということについて、もっと取り組む必要があるんじゃないか、政治をもっと身近にしようと考え、お笑いで政治とか社会問題について伝える出張授業を全国に届けようと思ったのが、きっかけですね」

新内 「私も20歳で選挙権を得るというときに、ニュースとかで見てはいるけど何も分からない、政治に対するちょっとした不安、何も知らないのに投票に行っていいものか、みたいな思いがありました。18歳だと高校生の子もいるわけじゃないですか。こういった出張授業というのは、すごく私も受けたかったなと思います」

たかまつ 「ありがとうございます」

新内 「実際にやられて、反応はいかがでしたか」

たかまつ 「『友達を誘って選挙に行きます』とか、『社会を変えられるかもしれないという希望を持てたから選挙に行きます』『行動に移したいです』とか、そういった声が聞こえてきますね」

新内 「具体的に、どういったことを教えているのでしょう」

たかまつ 「まず、選挙に行かないと損をするよということ。たとえば、お笑いのネタは若い人向けに文化祭でやるのと、おじいちゃんおばあちゃんの多い寄席でやるのとで使い分ける。それをパッと芸人さんに舞台上で実際にやってもらって、こういうことは政治家もやっているんですよということを伝えています。政治家も、選挙に来てくれる人の顔色を窺ってネタを選んでいるので、若い人がいっぱい選挙に来ると、若い人向けのネタがどんどん増えますよね、という話ですね」

新内 「なるほど。出張授業は、どういったところから依頼があるのですか」

たかまつ 「学校が多いですね。いま群馬県と一緒に取り組みをやっているんですけど、群馬県内の全ての高校を対象に出張授業をやっていまして、60校以上1万人以上の方に1年間で届けたんです。そうしたら、参議院選挙の県内の投票率が8%ほど上昇して、やると効果が出るんだなと思いました。うれしかったです」

新内 「それは、めちゃめちゃうれしいですね。明らかに手応えがある。一方で、教えてみて難しいなと思う部分はありますか」

たかまつ 「1回の授業が多いので、授業で社会は変えられるかもしれないと思ったりとか、自分が変えたい社会課題みたいなことを発表したりしても、それが日常生活に続くかというとなかなか難しいですよね。たとえば『校則がおかしいからブラック校則を変えたいです』と授業で言って、それが半年後に変わっているかというと、なかなか学校の先生に理解してもらえなかったりする。そういうところが難しいなと思いますね」

新内 「正直、そこまで興味がない生徒が多い学校もありますか」

たかまつ 「わりとみんなそうかもしれないですよね。そういう学校の方が多いと思います」

新内 「そうですよね。分からないですもんね。そういう時って、どうやってこちらに引き込んでいくんですか」

たかまつ 「最初に、もうお笑いの営業じゃないですけど、コール&レスポンスしましょうとか、芸人さんにネタをやってもらうとか。政治の難しい言葉を一切使わず、どんどん引き込むみたいな感じでやっていますね」

カードゲームで「伝える」「教える」ことの意味

新内 「伝えるとか教えるときに大事にされていることはありますか」

たかまつ 「SDGsは17個の目標ですよね。社会を変えるための17の目標なので、変えるということをいかにやっていくかが大事だということを伝えるようにしています。暗記して終わりとか、17個の目標を知って満足するみたいなことが多いので。目標を知って、実際に変えることが大事だから、私たちができることはしましょう、と。もっと大きな視点でいうと、社会を良くするためにSDGsってある種、規制やルールをつくることだと思うんです。啓発していく、一人一人の意識を変えていくこともできると思うんですけど、行きつく先は規制やルールだと思うので、そういうルールを私たちがどうつくっていくかということとか、ルールを学んでいくかということが、すごく大事なんじゃないかなと思います」

たかまつさんは「お笑い芸人と学ぶ13歳からのSDGs」(くもん出版)を出版したり、自信が代表取締役を務める笑下村塾から「お笑い芸人と学ぶ SDGsババぬきカードゲーム」を販売したりと、さまざまな媒体や手段でSDGsの普及・啓発に取り組んでいる。スタジオに持ってきてもらった「ババぬき」に、新内さんは興味津々。「これはどういったゲームなのですか」と尋ねた。

たかまつ 「手札にSDGsの目標17個がありまして、同じ手札が揃ったら、カードを捨てて指示カードの指示に従うという内容になっています」

新内 「『1.貧困をなくそう』の後ろには『日本の子供の7人に1人は経済的に貧しいです。私の今日の食事は、お昼の給食だけです。お腹がすいてつらいです。勇気を出して助けてと大声で叫ぶと、両隣の人が手札を1枚ずつくれます』と書いてあります。最後に指示がありますけど、その前に勉強ができる、知ることができるということですね」

たかまつ 「そうです。アクションも全て意味があるようにしていまして、たとえば1番の場合は子供の貧困ってなかなか見えにくいことがあって、子供たちが貧困状態にあることにそもそも気付かなかったりとか、恥ずかしくて声が出せなかったりという状況がある。『助けてー』って叫ぶことが難しい状況にあります。なので、それに周りの大人たちが気付くことが大事なんです。児童相談所の全国共通ダイヤル『189(いちはやく)』という番号があって、そこに電話をすると相談できる。そういうことなどを解説書を読んで考えていただくというゲームになっています」

新内 「私も学ばせていただきます」

たかまつ 「ぜひ、やってください」

新内 「冊子になったガイドブックもあるんですね」

たかまつ 「私が海外に取材に行った話なども書かせていただいています。ネパール、カメルーン、マダガスカル、去年はウクライナへ取材に行きました」

新内 「さきほどの『1.貧困をなくそう』についての世界の実状だと、ネパールのことが書かれています。『ネパールで出会った3人の女の子たちは、家族でレンガ工場に出稼ぎに来ているそうです。自分たちの農場では仕事がないからです。1日1000個以上のレンガをつくっているそうです。お金がなく、学校にも通えません。それが世界の実状です』。みんなで考えようの項目には、『寄付にはいろいろな方法があるから調べてみよう』とか、『貧しい人たちがどうやったら貧困から脱出できるか考えてみよう』『お金を支援するだけではなく自分でお金を稼げるようにするにはどういったことが必要だと思いますか』など。『世界の富の多くをごく一部の人が持っています。偏ってしまう富はどうすれば変わると思いますか』とも。難しい問題ですね」

たかまつ 「難しいですよね」

新内 「今、自分でできるところでいうと寄付がありますし、他にもいろいろな方法があるので、調べてみることは一歩を踏み出すことかなと思いますね」

「伝える」から「変える」へ

続いて、取り上げたのは「お笑い芸人と学ぶ13歳からのSDGs」という本。その第4章には「今日からできる100のアクション」として、SDGsにつながる身近な行動が100個記されている。

新内 「すごいですね。今、パッと見て目についたのは『スマホでできること』というところ。その中の一つに『メモはスマホを使う』というのがあるんですけど、確かに・・・と思いました。マークの解説もあるんですね。『海のエコラベル』は番組で取り扱ったことがありますが、知っているのと知らないのとでは全然違うなって身をもって実感しています。さっき言われていた“変える”って、こういうことなんですね」

たかまつ 「そうですね。私たちができることってたくさんあるので、こういうことを一つ一つ積み重ねていくことが大事だと思います」

新内 「持続してやっていくっていうのが大事ですよね」

たかまつさんに「伝える・教えるSDGs」という観点で話を聞いた新内さんは「17個の目標を知ることは、もちろん大事なことだと思うんですけど、“変えていく”ということを伝えていくにはどうすればいいのかをすごく大事にされていた」ことが印象深かったようで、「伝える」ことからさらに一歩踏み込んだ取り組みに思いを馳せた。そして「一歩踏み出す・・・ということを口で言うのは簡単だけど、私もどうにかして皆さんの行動に直結させられたらいいなと思います。実際に意識を変えていく上で、若干これは手間だなと思うこととかもあるんですけど、それを習慣にしてしまえばなんてことなかったりもする。私も頑張って“変える”という意識を伝えていきたいなと思いました」と、言葉に力を込めた。

(後編につづく)

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