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次世代教育「NEXT GIGA」デジタル化が加速する教育現場

次世代教育「NEXT GIGA」デジタル化が加速する教育現場

#SHOW CASE
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今年もあれよあれよという間に卒業・入学のシーズン到来ですね。この春、お子さんなど身近な人が新生活を迎える節目の年という方も多いかと思います。

2024年度は教育現場において、学習用デジタル教科書の提供や国立大学入試の新科目の追加など、さまざまな変化がある年といわれています。
次世代の学校や教育現場がどう変わりつつあるのか、未来を担う子どもたちの学び方がどう変わっているのか?などを今回は考えてみましょう。

新しい学びの形を実現する「GIGAスクール構想」

「GIGAスクール構想」をご存知でしょうか。4、5年前から耳にするようになったワードだと思います。 GIGAスクール構想とは、学校教育におけるICT環境整備の充実を図る、国をあげての取り組みのことをいいます。

「GIGA」は、Global and Innovation Gateway for Allの頭文字を取った略称です。「多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、 子供たち一人一人に公正に個別最適化され、資質 ・ 能力を一層確実に育成できる教育ICT環境の実現」を目指して、2019年12月に文部科学省が提唱しました。

当時の文部科学大臣はメッセージのなかで、「子ども達にとって、PC端末は鉛筆やノートと並ぶマストアイテムである」とし、1人1台端末環境は今の時代における学校のスタンダードだと述べています。

その後、全国の小中学校に「1人1台端末」と「高速大容量の通信ネットワーク」、「クラウド」の整備が急速に進められました。

全国の学校が一斉休校を余儀なくされたコロナ禍で、実現時期が大幅に前倒しされたこともあり、GIGAスクール構想は加速しました。現在は小中学生「1人1台」端末の整備がほぼ完了し、全国の学校で展開されています。

2024年度は「NEXT GIGA」と呼ばれる次のフェーズへ

そのGIGAスクール構想は今年度、「NEXT GIGA」と呼ばれる次のフェーズに入ります。全国の小・中学校や高等学校に整備された端末は、利活用が進むにつれて故障が発生しはじめ、バッテリーの耐用年数も迫っているのが現状です。早い自治体では今年度から、ハード面の更新時期に入るといわれています。

第1ステージで顕著になった自治体・学校によっての利活用状況の格差や、学校の通信ネットワーク環境(=ネットが遅い)、先生のICTスキル不足や研修体制などがNEXT GIGAの課題として挙がっています。

文部科学省は、GIGAスクール構想第2期として、今後5年程度をかけて端末を計画的に更新するとともに、子ども達の学びを止めないように予備機の整備を進めるとしています。

「デジタル教科書」の本格導入

学校の教材にも変化があります。2024年度から全ての小中学校等を対象に、小学校5年生から中学校3年生に対して、英語の「デジタル教科書」が提供されることになりました。
学習者用デジタル教科書とは、紙の教科書の内容の全部をそのまま記録した電磁的記録の教材のことをいいます。

スマートフォンやタブレットがなかった昭和世代にとっては、いよいよ教科書もデジタル化か!と隔世の感しかありませんが、デジタル・ネイティブ世代の子どもたちにとっては、紙の教科書よりも「使いやすい」「楽しい」と感じるのかもしれませんね。

なお、その他の教科については、学校現場の環境整備や活用状況等を踏まえながら段階的に提供される見通しです。

大学入学共通テストに「情報Ⅰ」が追加

2024年度に実施する大学入学共通テストから、新たな出題科目「情報Ⅰ」が加わります。これにより国立大の多くが現行の5教科7科目から6教科8科目に移行することになります。

これには高等学校での情報教育が背景にあります。高等学校では以前、「社会と情報」と「情報と科学」のいずれか1科目を選択必履修としていましたが、2022年4月からは「情報Ⅰ」がすべての生徒の共通必履修科目となっています。

2025年1月の大学入試は、高校3年間で「情報Ⅰ」を学んできた学生たちが初めて大学受験する共通テストということになります。

IoTやビッグデータ、ChatGPTなどの生成系AI等とはじめとする技術革新やグローバル化が急速に進展している今の情報化社会。「情報Ⅰ」はそんな実社会をより良く生きるための力を身につける科目といえるのではないでしょうか。

デジタル時代を生きる子どもたちの未来

文部科学省はGIGAスクール構想を打ち出した際に、「紙からデジタルへの置き換えに留まることなく、子供たちの学び方そのものの変革につなげていくことが重要」と謳っています。

小中学校では個別最適化された「1人1台端末」を文房具のように使いこなし、ネイティブの発音を聴くことができる「デジタル教科書」で英語を学び、「情報」科目を含む共通テストを受けて大学に進む今の子どもたち。

昭和・平成世代が社会に出てから学んで得た情報活用能力や情報モラルなどを、彼らはある程度持った上で社会に出てくるのかもしれませんね。


執筆/フリーライター こだまゆき

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