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スポーツ界横断で使い捨てプラスチックごみ削減プロジェクト『HEROs PLEDGE』が発足!

スポーツ界横断で使い捨てプラスチックごみ削減プロジェクト『HEROs PLEDGE』が発足!

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日本財団は3月28日、使い捨てプラスチックごみをスポーツ界横断で削減に取り組む「HEROs PLEDGE」をスタートすると発表しました。同日は日本財団で発表会が開催され、リーダーを務める井本直歩子(競泳)さんや渡部暁斗(スキーノルディック複合)さん、田渡凌(バスケットボール)さんらプロジェクトに参画するスポーツ選手が参加し、今後の取り組みについて紹介しました。

発表会参加選手:敬称略
後列 左から/笹川順平(日本財団常務理事)、堀由美恵、杉山文野、加藤友里恵、伊藤みき、武知実波、根木慎志
前列 左から/田渡凌、渡部暁斗、都筑有夢路、井本直歩子、岩崎恭子、一ノ瀬メイ

なぜアスリートが社会貢献?

「HEROs PLEDGE」は、アスリートとともに社会課題解決の輪を広げていくことを目的とした『HEROs~Sportsmanship for the future~』(HEROs)プロジェクトのひとつです。アスリートが競技活動だけでなく社会とつながり、社会の助けとなる活動を積極的に行う取り組みとして実施されています。

昨今、地球規模で海洋汚染が広がるとともに、日本でも猛暑や水害などが多発するなど、気候変動による異常気象が世界各地で見られるようになっています。これらの問題はスポーツ界にも関係しており、猛暑や雪不足で競技ができない状況が生じるなど大きな影響を及ぼしています。

これらの環境問題の要因の一つと言われているのが、スポーツ界からも多く排出されている“使い捨てプラスチックごみ“です。そこで本プロジェクトは、ゴールである「スポーツ界から使い捨てプラごみゼロに」の実現に向けてスタートしました。まずはスポーツシーンでのプラスチックの使い捨て削減に向けて、プロジェクト参加をPLEDGE(宣言)した参画アスリートと共に環境問題に関する勉強会や視察会、関連イベントなどを実施するほか、具体的な個別の施策を検討していくようです。

アスリート・スポーツが持つ力を活かして

発表会の第一部冒頭、日本財団笹川順平常務理事は「人々が生活しづらい地球になってきている、またスポーツを楽しむ場が奪われている。この原因の一つである気候変動の問題をなんとかしようとアスリートらとともに『HEROs PLEDGE』というプロジェクトとして立ち上げました。アスリート・スポーツが持つ力を活かして社会問題を解決していきたい」と述べました。

続いて登壇したのは、日本財団 経営企画広報部HEROsチーム チームリーダー 藤田滋氏。

「プロジェクトのアクションは大きく二つあります。一つはスポーツ界から行動を変えるということで、アスリートが中心となってチームや協会スポンサーに働きかけて、使い捨てプラ削減のモデルケースをしっかり作って広めていくということ。

もう一つはそういったスポーツ団体に働きかけるだけではなく、そういった動きを後押しするためにファンの理解というところが必要ですので、ファンに対する働きかけとして、アスリート、チームから情報発信をして、ファンの意識、行動変容という二つの柱を立てていきます。」と語りました。

プロジェクトをリードする元競泳選手の井本直歩子氏は、アトランタ五輪の競泳代表として出場し、4×200メートルのリレーで4位に入賞した経験があります。現役引退後は英マンチェスター大学の大学院で貧困・紛争・復興コースを修了し、国際協力機構(JICA)、国連児童基金(ユニセフ) の一員として、アフリカなど発展途上国で教育支援、平和貢献に携わってきてこられました。

発表会では、「今日のような華々しいプロジェクトの始動を迎えられたことにワクワクしていますし、ここからスタートできることを嬉しく思います。自分には環境問題についての知識がない、周りに声をあげている人がいない、自分が何をしたら良いのかわからない。そういった方がまだたくさんいらっしゃいます。みんなで学び、一緒に声をあげていくことで多くの効果が出せるのではないかと感じているので、日本財団、そしてアスリートやスポーツ団体の皆様と課題解決のために本気の取り組みをしていきたいと思います。」と本プロジェクトへの強い思いを語りました。

スポーツを通して環境問題を感じるアスリートたち

今回発表された「HEROs PLEDGE」には、33名のアスリート、10組のスポーツ関連団体が参画しています(2024年3月28日時点)。発表会の第2部では、第1部に登壇した参画アスリートに加え、環境問題の専門家や、すでに環境問題に対してアクションを起こすスポーツ団体の方をゲストに迎えた2つのテーマのトークセッションが行われました。

テーマ1「海洋汚染・気候変動問題に対して、スポーツ界から取り組む意義」
登壇者:井本氏(ファシリテーター)、同志社大学 原田禎夫准教授、ヴァンフォーレ甲府 渡辺敬太氏、岩崎恭子氏

セッションで渡辺さんは、ヴァンフォーレ甲府が取り組んだ事例を紹介。試合開催時に出る周辺地域のゴミ問題をどのように解決していったか、試合会場の飲食ブースで使用されたプラスチック食器のリユースなど、来場した観客や飲食店側にどう意識づけるか、積極的に参加してもらうか、その試行錯誤について説明しました。

岩崎さんは、「私自身も地元の沼津でビーチクリーンをしているが、拾っても拾っても、ごみが永遠になくならない。なぜそうなるのかというと、海からのごみだけでなく、町からのごみも非常に多い。その中で、拾うのももちろんですが、もともとの使う量を減らすことの影響が大きいのではと思うようになった。」と語りました。

その話を受けて原田先生は、「日本では20年前に循環型社会を唱えて、当時世界で最先端の取り組みだった。一方、リサイクルをすればよい、という誤解が広がってしまいました。ゴミを減らすことが重要ということも広がっていくべきです。例えばお風呂があふれているときに、一生懸命周りを拭こうというより、まずは水道を止めようというような状況かな。」と分かりやすい例えでごみを減らすことの重要性を説明しました。

テーマ2「アスリートが社会問題に取り組み、発信することについて」
登壇者:渡部暁斗 氏、一ノ瀬メイ 氏、田渡凌 氏

2つ目のテーマでは田渡選手が、「環境問題や気候問題にあんまり直面することがないのですが、この活動の講義や勉強会で意識が変わりました。福島県は過去10年ほどゴミの量が全国で特例トップ3にずっとランクインしています(※)。これをどうにか減らせないか、自分が所属している福島ファイヤーボンズが地域のリーダーとしていれるように、まず自分がそこを頑張っていきたい(※環境省の統計による1人当たりのごみ排出量)」と述べました。実際、田渡選手はすでに、所属する福島ファイヤーボンズでの廃棄グッズのアップサイクルを行っています。

ほかにも、渡部選手が「環境問題はやはり内容自体が難しい。なので、自分が言っていることが本当に正しいのかはいつも怖い。ただ、環境問題は危機的な状況であり周知することがとても重要。だからこそ、発信する内容は本当に自分でたくさん調べて納得した内容を発信するようにしている。」と述べたほか、一ノ瀬選手が「発信することは不安な要素もあるけれど、ポジティブにとらえるようにしている。ただ、どのようにみなさんに“自分事“として考えてもらうかが本当に課題。」と話すなど、アスリートが環境問題について発信する上でどのようなことを考えているのかが議論されました。

私たちもアスリートたちを見習って、環境問題を改善するためにできる行動を普段の生活の中で少しずつでも起こしていきたいですね。

【今後のアクション予定】
・一⻫アクションキャンペーン(4 月13日〜5 月末)
千葉ジェッツ(バスケットボール)やヴァンフォーレ甲府(サッカー)などパートナー団体によるホームゲームでのファン参加型のごみ拾い・分別イベント(計 9 イベント予定)
・啓発コンテンツの制作、特設サイト・SNS 上の展開
・具体的なアスリートの活動
井本直歩子氏:国内バドミントン大会でのごみ廃棄量の計測(Rethink)
一ノ瀬メイ氏:国内パラ競泳大会におけるウォーターサーバーの導入(Reduce)
田渡凌選手:所属する福島ファイヤーボンズでの廃棄グッズのアップサイクルとファンへのごみ問題の啓発(Recycle, Advocate)

「HEROs PLEDGE」参画アスリート・団体(2024年3月28日時点)
アスリート(※五十音順 敬称略):
荒井 daze 善正(スノーボード)/安藤美姫(フィギアスケート)/一ノ瀬メイ(パラ競泳)/
伊藤みき(フリースタイルスキー・モーグル)/井上康生(柔道)/井本直歩子(競泳)/
岩崎恭子(競泳)/岩下達郎(3×3)/岡田麻央(3×3)/加藤友里恵(トライアスロン)/
近賀ゆかり(サッカー)/櫛橋茉由(フェンシング)/久保大樹(パラ競泳)/五郎丸歩(ラグビー)/
杉本一樹(空手)/杉山文野(フェンシング)/杉山美紗(アーティスティックスイミング)/
高梨沙羅(スキージャンプ)/武知実波(サーフィン)/谷川真理(陸上)/
田渡凌(バスケットボール)/都筑有夢路(サーフィン)/戶邉直人(陸上)/鳥谷敬(野球)/
中川真依(飛び込み)/⻑嶋万記(ボートレース)/根木慎志(車いすバスケットボール)/
野中生萌(クライミング)/堀由美恵(ボディボード)/真壁伸弥(ラグビー)/
益子直美(バレーボール)/山田明季(ホッケー)/渡部暁斗(スキーノルディック複合)

団体(※順不同):
B.LEAGUE(バスケットボール)/J リーグ(サッカー)/ヴァンフォーレ甲府(サッカー)/
千葉ジェッツ(バスケットボール)/川崎フロンターレ(サッカー)/鹿島アントラーズ(サッカー)/
日本バドミントン協会(バドミントン)/FC 東京(サッカー)/FC 今治(サッカー)/
日本セーリング連盟(セーリング)

HEROs PLEDGE
HEROs Sportsmanship for the future
日本財団

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