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人ごとではない!?五月病の人を増やさない、悪化させないためにできること

人ごとではない!?五月病の人を増やさない、悪化させないためにできること

#SHOW CASE
  • すべての人に健康と福祉を

株式会社Smart相談室が運営する、法人向けオンライン対人支援サービス「Smart相談室(スマートそうだんしつ)」は、2021年10月のサービス開始から、導入企業は200社を越え、6000回に上るオンラインカウンセリングを行ってきました。

このSmart相談室には毎年GW明けから、「やる気が出ない」、「頭痛やいらいらする」など、五月病に関連する相談が多く寄せられるそうです。この場合は相談ができているのでまだいいですが、世の中的にもGW明けは退職希望者が増えることなどもあり、五月病はなかなか厄介です。

GW明け、退職が頭をよぎる人も?それぞれが抱える悩み

「Smart相談室」では、従業員のメンタルケアやコーチングなどを目的に、オンライン上で時間や場所を選ばず、社外の様々な有資格者に相談できる対人支援サービスを提供しています。その中で増えてきているのが、GW明けからはじまる五月病に関する相談です。

例えば、若手世代や新入社員からは、「上司からの指摘や指導を深刻に受け止めすぎてしまい、退職が頭をよぎる」といった、世代的に叱られた経験、失敗や挫折経験の少なさが窺える内容や、「自分はもっと大きな仕事ができるはずなのに、新入社員だから任されない」などの憧れて入った職場への不全感や物足りなさを感じている相談が寄せられます。
また、ある程度社会人経験のある世代からは、「自分より後輩が出世したためモチベーションが上がらない」といった経験年数を重ねたからこその悩みや、「仕事にも家庭でも負担が大きい」という複合的な要因がある相談が寄せられます。

五月病になりやすい5つのタイプとタイプ別セルフケア

五月病は毎年話題になるキーワードですが、労働環境に左右されることも多くあります。 そこで今回、Smart相談室を運営する株式会社Smart相談室に、自身が五月病ではないかと感じた時にセルフチェックができる5つのタイプと、それに合わせたセルフケアを聞きました。

1.几帳面で真面目な人
与えられた仕事を全うしようと取り組むことは大切ですが、責任を強く感じすぎてしまうとストレスを溜めやすくなる傾向があります。
<セルフケア方法> どんな仕事も自分一人で進められるものではないことを頭に留めておくと良いでしょう。自分で全部頑張ろうとせずに、時には上司や同僚に相談することも大切です。

2.NO が言えない人
仕事を任されたり急な飲み会のお誘いなど、断りにくい場面ってありますよね。さまざまな ことを一気に引き受けると長時間労働に繋がり、疲労が回復できない状態が続いてしまいます。
<セルフケア方法>
依頼した相手の印象を悪くしないように、上手に断りましょう。たとえ苛立っても、無視や無 言で席を立つなどの振る舞いは相手にとっても真意が分からずお互いにモヤモヤしてしま います。また、「私の仕事量を見てできないって分かりませんか?」とネガティブな反論をするのも相手を不快にさせるだけで逆効果に。「今日は A と B で手一杯なので、明日でもよ ろしいでしょうか?」、「今日は疲れてしまったので来週末だといかがですか?」など、依頼 を受けられない理由を具体的に伝えることが大切です。また「ありがとうございます」や「す みません」の一言があるとベターですね。

3.完璧主義な人
物事を完璧に進めたい人は周囲に頼ることをせず、自分一人で抱え込んでしまいます。ま た少しのミスも許せないため、自責的な思考に囚われやすいという特徴があります。 
<セルフケア方法>
上司や同僚など、仕事を進める方と一緒に時間制限や合格点を設定すると良いでしょう。 一人で完璧にやろうとすると結果的に時間がかかったり、最悪いつまでも仕事が終わらな かったり・・・とゴールを見失ってしまうかもしれません。「〇日までにここまでやる」など細かい設定をしておくと、社内全体で目標が分かりやすくなります。

4.内向的な人
自分自身で物事を深く考えられるという長所でもありますが、困った時に誰かに相談すると いう手段を取りにくい面があります。また繊細な心の持ち主であることも多く、はたから見れ ば些細なことでも必要以上に傷ついてしまうことがあります。
<セルフケア方法>
少し乱暴な言い方かもしれませんが、相手に期待しないことが一つ大事な点として挙げられます。相手に対して常に理想の自分であろうとすると、些細な指摘や指導であっても「嫌われた」や「できない人間だと思われた」と必要以上に自分を責めてしまいます。どんなに 努力しても、相手次第で受け取り方はいかようにも変わります。他者をコントロールすることはできませんから、評価されよう、認められようと頑張らない方が十分健康です。またカウンセリングを受けることで、自分自身の思考や捉え方のクセを知ることも良い手だと思います。

5.環境の変化があった人
職場や生活全体に環境の変化があると、その状況に心身が慣れていない中でも日常生活 を送らなくてはなりません。ふとした時に「意外と疲れてるのかも」と感じる瞬間があるでしょう。
<セルフケア方法>
就職や転職、昇進、結婚や出産、転勤などライフイベント(=人生において変化を伴う出来 事)は、どんな人にもストレスを与えるものです。離婚や死別などはもちろんのこと、結婚や 昇進などのポジティブな出来事も、実はストレスの要因になると言われています。まずはご 自身が疲れていることに気付くことが大切です。活動記録表やコラム法など、自分で自分 の状態をチェックする「セルフモニタリング」をしてみてください。また、身体が資本ですから睡眠や食事、運動などなるべく規則正しい生活を心掛けることも重要です。

職場全体として五月病の人を減らすには?Smart相談室が教える、五月病との向き合い方

ここまで自分が五月病かもしれないと感じた時のセルフケアについて紹介しましたが、職場全体で、五月病のような症状の人を増やさないためにはどんな工夫ができるでしょうか。

Smart相談室によると、いわゆる「五月病」というのは正しくは「適応障害」と診断されることが多いそう。精神面では無気力やモチベーションの低下、体調面では食欲不振や睡眠リズムの乱れ、行動面では酒量や煙草の本数の増加など、五月病とひとくちに言ってもさまざまな症状が現れます。
特に、就職活動を頑張って乗り越えて就職した新入社員がGW明けから無気力に陥りやすいのが想像しやすいかもしれません。しかし、経験年数を重ねた方々でも職場や生活環境の変化によって、五月病に陥る方も多くいます。つまり、誰もがなりうるということです。

五月病(適応障害)は職場や生活環境の変化によって引き起こされるものと言われています。直近で何となくやる気が出ない、何も楽しいと思えない、食欲が落ちてきたなどの症状がある方の中で、環境の変化があった方は注意が必要です。逆に言えば、原因が分かりやすいものでもありますから、早めに対処すれば回復も早くなる傾向にあります。

対処の方法はいくつか挙げられますが、まずは「風通しの良い職場づくり」をすること。特に新入社員(新卒者、転職者を含む)の皆さんにとっては入社というのは大きな環境の変化です。
 ・全社研修などでセルフケアの方法を周知する
 ・指導する時は言葉遣いに気を付ける
などの配慮は、風通しの良さに繋がるでしょう。セルフケアを学んでおくと、「何となくいつもの自分と違うな」や「寝つきが悪くなっている気がする」とご自身で気付きやすくなります(参照:働く人のメンタル ヘルス・ポータルサイト『こころの耳』)。

また指導する時の言葉遣いについては、例えば業務上必要な指導はした上で「あなたがいつも頑張っているのを知ってるよ」とか、「ここまでは完璧だから後はここに注意してみて」など、相手が自分の気持ちに寄り添ってもらえたと感じられるような声掛けを少し加えると、お互いに気持ち良く業務に向き合えるのではないでしょうか。

「五月病というと何となくふんわりとしたイメージがありますが、名前に惑わされず何となくおかしいな、と思ったらぜひ早めに身近な人に相談してほしい」とSmart相談室。またこの時期、周りにいる人の違和感に気付いた場合も、少し気にかけてあげるといいかもしれません。


執筆/フリーライター Yuki Katagiri

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