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日本発の“素材”を通じてサーキュラーエコノミーを考える 「hide k 1896 コンポジット・テキスタイル展 2021」表参道で開催中

日本発の“素材”を通じてサーキュラーエコノミーを考える 「hide k 1896 コンポジット・テキスタイル展 2021」表参道で開催中

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  • 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • つくる責任つかう責任

SDGs12番目のゴール「つくる責任 つかう責任」では、持続可能な消費と生産の実現を目指すことが明記されていますが、この目標の達成にかかわる重要なアプローチとして注目されているのが「サーキュラーエコノミー」です。循環型経済ともいわれるこの考え方をみなさんは知っていますか?

サーキュラーエコノミーとは、製品や資源(原材料)の循環性を高め、廃棄を最小化し環境負荷を下げつつ、持続可能な経済と環境の両方を実現するビジネスモデルを指します。

「リサイクル」や「3R」という言葉は、すでに多くの方に馴染みがあるのではないでしょうか。廃棄物の発生を“できる限り”抑制しつつ、“廃棄物のうち有用なもの”を再利用することで、環境への負荷をできる限り軽減しようとするシステムです。一方、サーキュラーエコノミーは、“廃棄ゼロ”を目指すものです。資源循環の効率化を進めるだけでなく、廃棄と汚染を生み出さないことを前提として、原材料の調達などの最初の段階から製品開発の設計やプランニングを行うことが重要になります。サーキュラーエコノミーのもうひとつのキーポイントは、経済も循環し続けられることです。新しい技術開発に伴う新規雇用の創出や経済の活性化が期待でき、さらに、私たち消費者にとっては、既存の製品が“循環性の保証された製品”に生まれ変わることで、これまで通りの消費行動もキープすることができます。オランダでは「国として、2050年までに完全なサーキュラーエコノミーへの移行を目指す」という目標も掲げているほど、今後の経済活動で注目されている考え方なのです。

参照:オランダ政府 A Circular Economy by Netherlands by 2050

画像出典:オランダ政府 From a linear to a circular economy

そんな中、日本のものづくりの原点ともいえる“素材”に着目し、循環と再生を前提とした原材料を開発して、サーキュラーエコノミーの実現に向けて取り組んでいる企業があります。

1896年、長野市有数の観光地「善光寺」のすぐそばで創業した麻問屋「春日商店」をルーツに持つhide kasuga グループでは、“価値の創造と再生”をコンセプトに、環境や資源に配慮し、マテリアルリサイクルを想定した新素材の研究・開発に取り組んでいます。

hide kasuga グループが長年の研究の末に開発したのが、人工素材でありながら、自然に戻すことができる日本発のプレミアムマテリアル「コンポジット・テキスタイル」です。カーボンファイバーなどの人工繊維や麻・綿・絹などの天然繊維に、熱可塑性樹脂を複合したもので、熱可塑性樹脂は融点まで加熱すると再び柔らかくなるため、再生が可能になります。また、傷や水に強く軽量で縫製が可能なため、様々な製品の素材として使うことができます。

そして、この繊維と樹脂による柔らかい複合材「コンポジット・テキスタイル」に実際に触れることができる『hide k 1896コンポジット・テキスタイル展2021』が、12月25日(土)まで表参道の複合商業施設「gallery de kasuga」にて開催されています。「コンポジット・テキスタイル」を使って作られた小型EV車や家具が展示されており、サーキュラーエコノミーが実現された私たちの未来を体験することができます。

家族型ロボット『LOVOT』も手掛けている根津孝太さんがデザインした「GCH Tension小型EV車」は、コンポジット・テキスタイルの伸びにくい性質を張力として活かしたテント構造。バンパー部分は、発泡ポリウレタンがあえてそのまま使用され、人や街に馴染むような柔らかい印象です。根津さんは「社会や街の変化とともに、車の存在がより身近になっていくなかで、素材から変えていくことで、車を人にも街にも愛される存在にしていきたい」とコメントしています。


プロダクトデザイナーの清水慶太さんによるラウンジチェアとオットマン「GCH Tension」は、コンポジット・テキスタイルと木材という、異なる性質の素材を活かしたデザインで、柔らかく包み込まれるような座り心地です。接続部には金具ではなく組みひもを使用していて、日本らしさも表現されています。

またギャラリーには、建築家・隈研吾さんが人と自然と街の調和をテーマに、未来の街を描いたウォールアート「green zenkoji」も初公開されています。

さらに、運営するブランド「hide k 1896」がこれまで製作してきた「コンポジット・テキスタイル」を使用した財布、カードケース、鞄などの小物や、レクサスやホテルオークラなどとコラボレーションした商品も実際に手に取ることができます。

ちなみにマテリアルシンクタンク「hide kasuga 1896」は、2020年に三井化学社、信州大学繊維学部、長野県長野市、千葉県市原市と連携し、産学官で取り組むサーキュラー・エコノミー・コンソーシアム「Green Composite Hills by hide k 1896」を立ち上げています。日本発のサーキュラーエコノミーの社会実装に向けて、様々なプロジェクトを進行していて、日本が世界に誇る素材や技術をベースにし、消費者の環境への意識を生活に根付かせ、習慣化するような今後の取り組みにも注目です。

私たちがどんなに消費を抑制しても、新たな資源を使って生産をし続けている限り、石炭や石油などの有限な天然資源の枯渇は進み、いつかは限界がきてしまいます。「コンポジット・テキスタイル」という素材を入り口に、サーキュラーエコノミーや自然と人と街が、永く共存できる未来の実現について考えてみてはいかがでしょうか。

  • [開催期間] 2021/11/16(火)〜 12/25 (土)
  • [平日] 予約制 A:12:00 〜 13:00,B: 14:00 〜 15:00,C: 16:00 〜 17:00
  • [ご予約方法] メール contact@gallerydekasuga.com
  • [土曜] 予約不要 12:00 〜 18:00
  • [休館日] 日曜日、月曜日
  • [場所] ギャラリー・ドゥ・カスガ

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