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ニッポン放送『SDGs MAGAZINE』がリニューアル 新パーソナリティ・新内眞衣と学ぶ「SDGsってどういうもの?」


ニッポン放送『SDGs MAGAZINE』がリニューアル 新パーソナリティ・新内眞衣と学ぶ「SDGsってどういうもの?」

ニッポン放送のSDGs 啓発番組 『SDGs MAGAZINE』 が新内眞衣さんをパーソナリティに迎え、2022年4月10日の放送で新たなスタートを切った。放送開始から2年経ち専門性を増していた番組だが、リニューアルに際して“原点回帰”。日常的に聞く機会も多くなった「SDGs」について、改めてその基本から新内さんとともに学んでいく。

新パーソナリティは新内眞衣さん

テレビや新聞、ネットニュースなど、メディアに触れていれば毎日目にすると言ってもいいほど、世の中に急速に浸透している「SDGs」というワード。とはいえ、「よく知らない」「興味がない」「ピンとこない」などの声、いわゆる“意識の高い”世界と考える人が多いのも事実だ。それは、本当に正しい認識なのだろうか。まさにそんな疑問を抱く人に向けてSDGsの“扉”を開くのが、当WEBマガジンと連動したラジオ番組『SDGs MAGAZINE』。今回の放送から装いも新たに、再出発を果たした。

その新パーソナリティに就いたのが今年2月に乃木坂46を卒業した新内眞衣さん。「この2月まで乃木坂46のメンバーとして活動しており、乃木坂46メンバー初の30歳を迎えてから卒業しました。卒業後はセントフォース(マネジメント事務所)でお世話になっていまして、今いろいろなお仕事をさせていただいています。見習い期間のような感じですが、皆さんどうぞよろしくお願い致します」と、初々しい自己紹介から記念すべき新装第1回の放送は始まった。

新内さんは、2016年から卒業まで「オールナイトニッポン0(zero)」や「オールナイトニッポン」を担当。この4月から、日曜正午に放送されている「土田晃之 日曜のへそ」の新パートナーに就任するなど、ニッポン放送とは深い縁がある。そして今回、『SDGs MAGAZINE』の2代目パーソナリティとして白羽の矢が立った。

SDGsについては「名前は知っています・・・くらいですね。ニュースとかを見ていると出てくるワードではあるので、何となくぼんやり知っているくらい」という認識。気にはなっているものの、詳しく学んだり、関わったりするきっかけがない状況は、実際に多くの人が共感する立ち位置といえるかもしれない。実際に、番組でも過去に紹介した株式会社インテージによる2022年の「SDGs認識率」(全国15~69歳、2,556人を対象に調査)では「言葉を知っている」人は79.8%に達する一方、「内容を知っている」と答えたのは13.7%にとどまるとの結果も出ている。

画像出典:株式会社インテージSDGsに関する調査より
「SDGsの認知率は8割に。もう「SDGsって何?」は通用しない時代に」

2020年3月から2年間、初代パーソナリティを務めた女優、剛力彩芽さんのもと、多くの有識者を招き、専門性の高いところまで話題が及ぶようになっていたこの番組。最後には剛力さんも日々の生活や自身が手掛けるファッションブランドにSDGsの考え方を取り入れるほど、知識を蓄え、高い意識を持つようになっていった。

今回のリニューアルに際して、「あなたは『SDGs』という言葉をご存じですか?」という問いかけで始まった放送は “原点”に回帰。新たにSDGsを学びたい、関わるきっかけを得たいと、SDGsというワードが広まった今だからこそ増えているリスナー、WEBマガジン読者に向けて、基本の基本から新内さんとともに、SDGsを紐解いていくことになった。

SDGsの基礎知識

まず、新内さんが気になったのが、SDGsとは何を表す略語なのかということ。「『S』は分かります、サステナブルですよね。『D』は、分からないですね・・・デザイン? 『G』は・・・ジェネレーション? 小さい『s』は、シーズンとか」と想像力を働かせたが、正解は「Sustainable Development Goals(サステナブル・デベロップメント・ゴールズ=持続可能な開発目標)」の略称。頭文字に複数形の「s」をつけて「SDGs(エスディージーズ)」と呼ばれている。

2015年9月に国連サミットで世界のリーダーによって採択された国際社会共通の目標のことで、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことがテーマ。先進国と途上国が一丸となって193の加盟国が2030年までに達成すべき「17のゴール(目標)」と、そこから枝分かれした「169のターゲット(具体目標)」で構成されている。

「17のゴール」は以下の通り
1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなに。そしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任、つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう

SDGs 17のゴール

こうしたSDGsの基礎知識を踏まえ、新内さんが思い当たったのが自身の「物持ちの良さ」だった。「私は一度買ったものを長く使うタイプなので、ファンの人には『それ、何年着ているの』『何年履いているの』とか、よく言われていたりします。4、5年前にちょっと奮発して高めの靴を買ったのですが、すごくお気に入りでよく履いていたんです。ただ、長い間履いたら故障が出てきて、履けなくなってしまった。でも、捨てるのはもったいないなと思って調べてみたら、買った値段の10分の1以下で直してくれて、クリーニングもしてくださると聞いたので、金具の部分を交換してもらって今も履いています。そうした、今ある物を大事にしていく姿勢は、私の中ではSDGsに沿った事柄かなとは思います。すぐに捨てるという考えがないからこそ、家に物があふれないように厳選して選びますし、そういう心持ちが広がれば、SDGsも広げていけるのかなと思っています」と、SDGsとの身近なかかわりに言及した。

これもまさに、目標12「つくる責任、つかう責任」につながる意識、取り組みだが、さらにSDGsを一から深掘りしていくため「初回は、この方からSDGsの基本を学んでいきたいと思います」と紹介され、オンラインで登場したのが、この番組では以前からお馴染みの「ミスターSDGs」こと慶応義塾大学・大学院、制作・メディア研究科の蟹江憲史教授。日本のSDGs研究の第一人者で、慶應義塾大学SFC研究所xSDGラボの代表、日本政府SDGs推進円卓会議など多方面で活躍している専門家だ。

「ミスターSDGs」がレクチャーする“はじめの一歩”

新内 「はじめまして!今はどちらにいらっしゃるんですか」

蟹江 「アメリカの東海岸、ワシントンDCにいます」

新内 「どのようなお仕事で」

蟹江 「一番は、来年国連が出すSDGsの報告書の準備です」

新内 「さすがは“ミスターSDGs”ですね」

そんなやり取りの後、蟹江教授の印象を聞かれた新内さんは「お顔立ちも、語り口も、すごく優しそうな方。安心して身を委ねられるなと思います」と答えると、蟹江教授は「ありがとうございます。でも初対面がオンラインなので、実際に会ったら全然イメージと違うかもしれないですよ」とニヤリ。そして、ここから、いよいよ“本題”へと入っていった。

新内 「まず、はじめの一歩として、そもそもSDGsとはどういうものか伺いたいのですが」

蟹江 「SDGsは一言で言うと未来の形ですね。2015年に国連総会でできたもので、国連の193の加盟国全てが合意した目標なんです。全ての国が『2030年の世界はこういう形にしよう』と決めたもの。それがSDGsということになります」

新内 「なぜ2030年までなんですか」

蟹江 「このSDGsの前にはMDGs(ミレニアム開発目標)というものがあり、それが2015年を目標にしたものだったんです。その次の目標なので、MDGsの時と同じく15年後の2030年という形になりました」

新内 「MDGsはSDGsの前身ということになりますけど、それも同じような目標を掲げていたという解釈で大丈夫ですか」

蟹江 「いい質問ですね。実は、同じような目標ではなかったんです。MDGsは途上国の話が中心。発展途上国の貧しい方たちを底上げしていこうというものだったので、貧困だったり、飢餓をなくそうだったりとか、水の問題や、小さいうちに亡くなってしまう子供のことなど、そうしたことにしっかりと対策をしましょうという内容だったんです。なので、あまり日本では広く認識されていないことが多かったですね」

新内 「SDGsはニュースでもよく耳にしますが、MDGsというのは今知ったくらいです」

蟹江 「基本的に日本ではあまり知られていなかった。SDGsになって日本の中にある問題もいっぱい入るようになったので、広まっていったという違いがあります」

新内 「MDGsからSDGsになり、具体的には何が変わったのでしょう」

蟹江 「持続可能なまちづくりなど都市の問題、気候変動の問題、環境の問題が追加されました。陸や海の生態系を守ろうという目標も加わっています。そして、何より私が大事だと思っているのは、働き方など、経済の持続可能性に関する目標が追加されたことです。今、テレビのCMなんかでも、いろいろな会社がSDGsと言い始めているじゃないですか。そうなったのは、経済のサステナビリティが大事という考えが、SDGsで入ってきたからというのが大きいですね」

新内 「経済を持続可能にしないと、いろんなことがストップしてしまいます」

蟹江 「環境を良くすることでお金儲けをしたりとか、持続可能なエネルギーをつくることでお金を稼いだりとか、きちんとした働き方でみんなが幸せになりながら、経済を回していく。そこの部分が、ちゃんと取り上げられているのが、SDGsの大事なところだと思います」

新内 「MDGsから追加されて、途上国だけじゃなく世界一丸となって、世界をより良くするという考え方になっているんですね」

蟹江 「MDGsでは途上国の最低レベルに置かれていた人たちを引き上げようということを考えていました。もちろん、それも大事なんです、でも、そのためには先進国の仕組みから変えていかなくては駄目。そこに本格的に取り組み始めたのがSDGsの特長だと思います」

SDGsの現状は?

まずは、SDGsの成り立ちから学んだ新内さん。そこで気になったのが、2015年の採択から7年経った2022年の現在、目標の達成度はどこまで進んでいるのかということだった。

新内 「今の達成具合はどれくらいなんでしょうか」

蟹江 「どのくらいだと思います?」

新内 「結構、耳にする機会が多いので、半分くらいいっているのではないかと思うんですけど」

蟹江 「非常にポジティブで良い答えですが、実際には全然駄目なんですよ。特にパンデミック、コロナ禍が起きて、経済も不調になってしまったし、いろんなことが止まってしまった。ただでさえ目標達成は難しいと考えられてきたのが、このパンデミックでさらに難しくなったというのが現状ですね」

新内 「目標が2030年までに達成されないと、どうなってしまうのですか」

蟹江 「その先の未来が非常に見通しにくくなるということですね。例えば、気候変動がもっと激しくなって気象災害が頻繁に起こってしまうだとか。達成できないと、この先もっと大変な世界になってしまうということですね」

新内 「今から少しずつでもやっていかないと、意識の改革をやっていかないといけない・・・」

蟹江 「世界を良くしていく、日本を良くしていくためには、達成すべき最低ラインがこれ(SDGs)だと考えてもらうといいんじゃないかなと思います」

新内 「最低ライン・・・ということは一人一人の意識が大切になってくるということですね」

戦争が及ぼすSDGsへの影響

さらに、SDGsの達成に暗い影を落としているのがロシアによるウクライナ侵攻だ。「SDGsどころではない」「SDGsが後戻りしている」との声も挙がる中、蟹江教授の解説にはこれまで以上に熱がこもった。

蟹江 「戦争って、物を破壊する行為じゃないですか。一番持続可能ではないですよね。それどころか、後退させてしまっている。SDGsの目標達成に向けて、かなり後戻りさせてしまう話だと思います。コロナがあってSDGsの達成が遠のいたという話を先ほどしましたが、ウクライナ侵攻でさらに遠のいてしまう。だからこそ今、SDGsを大事にしなきゃいけないということだと思うんですよね。今のままだと、持続不可能な世界になってしまう。破壊なんてしてしまったら、もっともっとこの先が見えなくなってしまう。今こそSDGsをしっかり考えなくちゃいけないんです」

SDGsを巡る厳しい現実を知り、新内さんは「恥ずかしながら全然、SDGsの中身を知らなかったので、自覚を持たなきゃいけないなと改めて思いました。(番組を)精いっぱいやらせていただきたいと思います」と心を動かされた様子。そんな新パーソナリティに、蟹江教授は「新内さんには、これから期待しています。伝道師になってもらわないと」と、大きな期待を寄せていた。

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