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2050年の海を葛飾北斎とゴッホが予言?AIが描く「海洋ゴミだらけの絵画」が話題

2050年の海を葛飾北斎とゴッホが予言?AIが描く「海洋ゴミだらけの絵画」が話題

#EVENTS & SEMINARS
  • すべての人に健康と福祉を
  • 海の豊かさを守ろう

 皆さんは、魚よりもゴミの量が多い海が想像できるでしょうか?2050年、魚の量をプラスチックゴミの量が上回ると言われています。そんなゴミの溢れる海を、アートとして表現している「“名画になった”海展」が開催されています。2050年の海を、葛飾北斎や有名画家が描いたらどうなるのか?AI技術で表された絵画が話題を呼んでいます。

「環境の日」に制定されている6月5日を境に、環境問題を意識する方もいたのではないでしょうか。レジ袋が自然に分解されるには1000年以上の年月が必要になり、世界全体では、少なくとも年間800万トン超のプラゴミが海洋に流出しています。昨今のメディアでは、このような環境や社会問題について、様々な情報や議論が飛び交っています。しかし、実際には「何をしたらいいのか、いまいちわからない」「一人の行動では影響力はないのでは」と感じている方も、少なくないはずです。まずは、すぐにできるアクションとして、知ることから始めてみませんか?

今回は、東京・青山にあるITOCHU SDGs STUDIOで、5月31日(月)から7月18日(月・祝)まで開催している、プラスチックごみによる海洋汚染問題をアートで表現した展示「“名画になった”海展」を通して、環境問題・海洋汚染問題に触れていきます。

2020年グッドデザイン賞を受賞したこの展示会は、「自然との共生」をコンセプトに、海や川と人のつながりを表現した空間となっています。前回は、仙台うみの杜水族館で開催され、10日間で3万人が来場。多数のメディアでも取り上げられました。そして、画家の一人であるラッセン氏は、自身の巡回展にてこの絵画を展示しました。

今回の展示会はその出張展として、2つの企画で構成されています。第一部では2050年の海を題材に、ゴッホや葛飾北斎等、巨匠とされる画家達が描いたらどうなるのかを、スタイルトランスファーというAI技術で再現した絵画が展示されています。第二部では、実際に海で回収したプラスチックを、スノードームの中に漂わせた「Microplastic Globe(スノードムになった海)」をアート作品として楽しむことができます。

ゴミで溢れた未来の海をAI技術で再現したら…

絵の巨匠たちが、魚よりもゴミの量が増えると言われている2050年を描いていたら、どうなるのか、AIが再現した作品がこちら。海外でも「グレートウェーブ」と称賛された作品、葛飾北斎×AIの「冨獄三十六景・神奈川沖裏」です。力強く表された波の中から溢れる海洋ゴミ。よく見てみると、ペットボトルなどの生活ゴミが散らばっています。

そして、エドゥアール・リウー×AIの「スエズ運河」。広く雄大な運河に浮かぶ、無数のゴミ。趣のある配色やタッチの中に、溶け込んでしまった自然界のものではない浮遊物。

AI技術により、2050年の海へとアップデートされた作品は、何かメッセージを投げかけているようにも感じます。今私たちが生きている世界は、このような風景に向けて、進みつつあります。

マイクロプラスチックだらけのスノードーム

プラスチックの漂う海で生活する生き物を表した、スノードームが5つ展示されています。海洋プラスチックゴミの影響が報告されている、カクレクマノミ、ミズクラゲ、ザトウクジラ、アオウミガメ、マゼランペンギンの5種の生物が住む海をイメージした作品です。

アオウミガメのスノードームには、グリーンとイエローの細かいプラスチックが漂い、一見カラフルでキレイに見えるかもしれません。しかし、マイクロプラスチックは、一度海へと流れ出すと、回収することが難しく、人間を含めた動物の体内に入り込んでしまいます。

マイクロプラスチックは、別名マイクロビーズとも呼ばれ、ビーチにあるゴミが太陽の光や波の影響で細かく砕かれ、海の中へと消えていきます。一部の歯磨き粉やスクラブ洗顔に含まれる細かいプラスチック粒子が、下水を通じて最後には海へと流されていきます。こうして、日常から排出されたゴミたちは、最終的に海へとたどり着くのです。

プラスチックだらけの海の中で暮らす生き物は、自然と体の中へ粒子が入り込みます。私たちが食べている魚も同様。健康への影響が懸念されています。自分達の出すゴミが、巡り巡って自身の元へ戻ってきます。これらは、SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」に紐付き、また目標6「全ての人に健康と福祉を」にも関係しています。海の環境を守ることで、たくさんの生物が生々と暮らすことができ、そして魚などを食べる人もまた、その恩恵を受けることができます。

また、この展示会では、会場で募金活動が行われており、環境保全団体の一般社団法人JEANへと寄付することで、環境問題へアプローチしています。それぞれが大きな金額の募金ではなくても、集まれば大きな力を発揮することができるように、それお金だけではなく、私たちの意識や行動も同じです。一人一人の意識が少しでも変化し、そして行動にあらわる時、私たちの住む世界は大きな変革を起こすのではないでしょうか。

まずは、知ること。そして、感想や情報をシェアすることも、立派なアクションの1つになります。是非、足を運んでみてはいかがでしょうか。

■イベント概要
主催:株式会社 横浜八景島
期間:2022年5月31日(火)~2022年7月18日(月・祝)
会場:ITOCHU SDGs STUDIO
(東京都港区北青山2-3-1 Itochu Garden B1F)
開催時間:11:00~18:00
休館日:毎週月曜日、月曜日が休日の場合、翌営業日が休館
料金:入館料無料
“名画になった”海 展@ITOCHU SDGs STUDIO公式サイト
https://www.itochu.co.jp/ja/corporatebranding/sdgs/20220516.html

企画・ライター / SAiCO
編集 / 井口

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