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カンヌライオンズから読み解く、情報発信に「サステナブル」が欠かせなくなった理由とは

カンヌライオンズから読み解く、情報発信に「サステナブル」が欠かせなくなった理由とは

#SHOW CASE

カンヌライオンズが今年6月、2020年から続くコロナ禍による開催中止、オンラインでの開催を経て、3年ぶりにフランス・カンヌでリアル開催されました。
正式名称はカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル。1954年に創設された広告賞で、One Show(The One Show)、クリオ賞(Clio Awards)と並ぶ世界3大広告賞として世界中から注目を浴びています。 2020年が開催中止だった事もあり、2021年は2年間の作品を対象にオンライン開催され、90カ国から2万9074エントリーあった中で、53カ国982作品が受賞しています。
今年で63回目となるカンヌライオンズでは、日本の企業の取り組みも受賞しています。

カンヌライオンズから読み解く、世界のトレンド傾向とは?

カンヌライオンズでは2018年よりSDGs部門も新設されました。今までの広告は、企業やブランドの商品をいかによく魅せるか、がクリエイティブの見せ所だったのに対し、昨今は、社会問題や環境問題に着目されるように変化してきているのが受賞作品より伺えます。 SDGs部門新設前の2017年には、タイ最大手の不動産開発企業「AP Thailand」がおこなった「The Unusual Football Field Project」が「デザイン部門」を受賞。タイ・バンコクのクロントイ地区では、建物を建てられない空き地が多く、街の治安や景観悪化を防ぎ、地域を良くするために空き地をサッカーグラウンドにイノベーションしました。このサッカーグラウンドのデザイン性が高評価を受けました。

画像出典:AP Thailand公式プレスリリースより

2020年「コミュニケーション・デザイン部門」グランプリ受賞作品は、NOTPLAの広告。脱プラに向けて開発が進んでいるロンドン拠点のスタートアップです。ファストファッションブランドの大手H&Mは、2020年ストックホルムの店舗にLooopを設置。水と化学薬品を使用せずに古い衣服を分解し、新しい服に産まれ変わらせる技術開発し、そのマシンが稼働しているところをガラス越しに見えるようになっています。このLooopの広告が2021年「コミュニケーション・デザイン部門」で受賞。

画像出典:H&M公式HP

その他にも、メキシコの多くの女性はローンやカード審査が通らない為、起業できずに社会進出が遅れています。そんな女性たちの起業を支援する為、メキシコのWeCapitalは、女性たちの信用履歴を作成するプラットホーム「DataTienda」を立ち上げ、それによって起業できた女性が増え始めています。この功績を讃え「Glass: The Lion for Change部門」を受賞しています。

画像出典:WeCapital公式Youtubeより

昨今ではこのように、SDGs部門以外でもジェンダー平等などサステナブルなメッセージ性の強い広告が数多く受賞しています。
そして今年のSDGs部門では、P&Gの「The Missing Chapter」がグランプリを受賞。日本では考えられないことですが、インドでは生理について語ることがタブーとされている為、初潮を迎えた少女は病気だと思い込んでしまい、学校を退学してしまう生徒も多数いるそうです。
生理の認知普及の為に制作されたムービー「The Missing Chapter」では、3人の少女が果敢に校内で、生理や妊娠の仕組みが書かれた赤い紙をばら撒くという作品。P&GのWhisperは、製品のパッケージに生理の知識と生理用品の正しい使い方を記載した限定カバーを付けるなど、生理の理解促進に努めました。その結果インド政府は、生理に関する内容をカリキュラムに追加することを決定しました。

知っていれば何ら不安にならない事でも、国によっては性差別により深刻な問題になっています。SDGsを発信することにより、明るい未来が世界中でどんどん繰り広げられている事が、受賞作品を通じて伺えます。

地球の環境問題も世界の社会問題も、クリエイティブで変えられる未来がある。

「伝える」「知る」ということがどれだけ大切か、改めて感じさせられたカンヌライオンズ。昨今では様々な情報収集の方法があり、個人でもあらゆる手段で発信し、注目を集める事ができますが、たくさんの人が自由に発信をしていると見る側の視点も変わっていきます。特にZ世代の情報源は、TVや新聞よりYoutubeやTikTok。Instagramでは少し前に、個々人の充実した生活が人気でしたたが、今ではいかに有益な情報が得られるか?が重要なポイントになってきています。地球の環境問題や世界の社会問題に関心の深い人も増えてきた中で、今回のSDGs部門の受賞作品のように、正しい情報を伝え広めようと行動を起こすことで、国の制度まで変えることが可能な時代です。情報に溢れた今だからこそ、私達一人一人も、情報をしっかり見極めつつ、これからの時代の流れに出遅れないようにしていきたいものです。

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