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人間の健康=地球の健康?「プラネタリーヘルスダイエット」とは

人間の健康=地球の健康?「プラネタリーヘルスダイエット」とは

#SHOW CASE

みなさんは、今までいくつのダイエット方法を耳にしてきたでしょうか?「プロテインダイエット」「毎日2リットルの水を飲めば痩せる」などを最近は耳にします。これまでにも無数のダイエット方法が、出てきては廃れてきました。そんな中、「ダイエットは自分を美しく見せるためのもの」という概念を超えたダイエットがあります。それは、「プラネタリーヘルスダイエット」です。自分のためでなければ、何のためにダイエットをするのか、その方法やどのようにSDGsに繋がっているのかを、見ていきましょう。

「プラネタリーヘルスダイエット」

プラネタリーヘルスダイエットとは、世界16カ国の研究者37名で構成されたグループが、各分野の視点から、食事や食料システムを人や環境にとってより良いものにするべく、全世界へ向けて提示したシステムです。従来のダイエットは、医師や専門家が提案するものが多いですが、プラネタリーヘルスダイエットでは、環境や経済など、様々な分野の研究者の意見が含まれ肉や魚の消費量を抑え、砂糖や精製穀物などを削減した食事が推奨されています。

またこのダイエットでは、1日の摂取エネルギーは約2500カロリーとされています。農林水産省が出している一日に必要なエネルギー量は、活動量の少ない成人女性の場合は、1400~2000kcal、男性は2200±200kcal程度と言われています。この数字を見て、「こんなにカロリーを摂っていいの?」と思もわれる方も多いのではないでしょうか。プラネタリーヘルスダイエットでは、ただカロリーを抑えるダイエットではなく、バランスの良い食生活から、安心して過ごせる未来へと導く、画期的なガイドラインなのです。

具体的な方法と量の目安

動物性食品や砂糖の摂取量を減らし、その分1日の食事の約半分を野菜や果物、きのこ類から摂ることを推奨しています。そして、1日の食品摂取目安が定められています。

・全粒穀物(米、小麦、トウモロコシ、その他)232g
・でんぷん質の多い野菜(芋、キャッサバ)50g
・野菜(全ての野菜)300g
・フルーツ(全ての果物)200g
・乳製品(牛乳など)250g
・牛、羊、豚14g
・鶏その他家畜肉29g
・卵13g
・魚28g
・豆75g
・砂糖31g
・不飽和オイル40g
・飽和オイル11.8g

お肉中心の食事を摂っていた方は、食生活の見直しが必要かもしれません。量やカロリーの計算をしたことがない方は、自身が普段どれだけの量を食べているのかを改めて考える機会にもなります。なお、アレルギーや体質、ライフスタイルなど個人差があるので、品目やグラム数は目安として考えてください。

日本食との相性

現代人は欧米化された食生活に傾きがちですが、日本の食事スタイルは世界でも健康食として注目を集めています。食材分野で見ると和食に近いものとなっており、一汁三菜などの日本の食文化とも、相性がいいと言われています。古くから伝わる精進料理は、穀物や野菜、豆類や海藻など、プラントベース食でできています。お肉が好きで摂りすぎている方は、大豆ミートなどを活用するのも1つの方法です。

SDGsや環境との関係

プラネタリーヘルスダイエットの概念は、SDGsと近いとされています。このシステムは、「100億人に食料を供給するために必要な食生活」として提案されました。

例えば、人が肉や牛乳の摂取する量を控えることで、肉や動物性食品の需要が低下すると、家畜の量が減ります。それが牛であれば、ゲップに含まれるCO2は削減され、地球温暖化防止を促進しますまた、家畜の量が減ることで、家畜の餌となる穀物の生産も抑えられ、人が食べられる穀物を育てる土地が確保でき、飢餓に苦しむ人々へと食料が行き渡ります。
これらは、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」や、目標2「飢餓をゼロに」に紐付ます。また、この食生活を選択することで、世界で年間1100万人以上の人たちが、食生活に関連した上記のような理由で命落とさずにすみます。

地球の環境や食料システムをも考慮した、未来を見据えたヘルスケアとして考えられており、一般社団法人日本国際保健医学会サイトでは、以下のように記されています。

“プラネタリーヘルスは、人類の繁栄を限界づける地球環境に対して多大な影響を及ぼしている人間の政治経済、社会システムに対して真摯に向き合い、文明化された人の健康と地球環境の密接な状態の関係に注目することを通して、健康、福祉の増進と公平な社会を目指すこととされている。”

また同サイトでは、地球と人間は別々の存在ではなく相互関係にあり、地球環境や生態系全ての生命に対する倫理や、自然に対する人間の責務についても書かれています。

ダイエットと聞くと「自分にため」という印象ですが、プラネタリーヘルスダイエットは、人にも環境にも配慮された、新しい概念のヘルスケアです。私たち一人ひとりの健康は、生態系や自然の中の一部として「地球全体の健康」として考えられています。こうしてみると自分の健康を管理する上で、地球についても考える必要があることがわかりました。個人的なダイエットが、地球にもプラスになるのであれば、自身の体質や体調に合わせて取り入れてみるのもいいかもしれません。

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