“SDGs”と“企業”をもっと近づける!SDGs MAGAGINE

ごまの99%は輸入?「かどや製油」が挑戦する、“ごま”で世界をしあわせにする取り組み

ごまの99%は輸入?「かどや製油」が挑戦する、“ごま”で世界をしあわせにする取り組み

#SHOW CASE
  • つくる責任つかう責任

大企業から中小企業まで、あらゆる企業が持続可能な社会を実現するために、SDGsな視点を経営に取り入れています。その中の一つとして、ごま製品トップメーカーの「かどや製油」もSDGsに取り組んでいます。

かどや製油の創業は、江戸時代の安政5年(1858年)。なんと、創業160年以上の歴史を持つ老舗企業です。今回は、江戸時代からごまひと筋に取り組み、ごまを通じて多くの人々の健康と幸せを届けるかどや製油が行っている、SDGsの取り組みをご紹介したいと思います。

ちなみに、「かどや」という企業名は、「創業時の店舗と工場が交差点の“角地”にあったため」というのが名前の由来だそうです。

知っていますか?ごまは国内自給率0.1%未満、99%以上を輸入に頼る作物

日本の食卓には欠かせない、ごまの豊かな風味と香りを楽しむことができるごま油ですが、ごま油の原料となるごまの収穫は、機械化をすることが難しく、刈り取りや乾燥、選別といったほとんどの作業が人の手で行われていることをご存知でしょうか。

昔は日本でも、ごまは広く栽培されていたそうですが、生産や収穫、そして採算の難しさから年々ごまの栽培は減少し、現在では99%以上が海外からの輸入に頼っています。

ごまの主な生産地は、アフリカや東南アジア、中南米で、日本では約8割をアフリカからの輸入に頼っています。ただし、海外でもごまは手間のかかる作物にかわりなく、海外の小規模な農家の日々の手作業によって、ごまの供給は支えられています。

日本ではたくさんのごま製品が販売されていますが、原料のごまをほぼ海外からの輸入に頼っている事実に驚いた方も多いのではないでしょうか。

老舗企業「かどや製油」が取り組む、海外のごま農家支援プロジェクト

作物を育てるためには、栄養豊富な土壌が大切ですが、アフリカをはじめとする海外でごまを栽培している地域の多くは、痩せた土地で栽培されているそうです。理由は、痩せた土地では他の作物を育てることができないから。そのため「何も育てないよりは、まだ良い」という理由で、ごまを栽培している農家が多いそうです。

このような理由からごまを栽培しているため、ごま栽培に関する知見やデータが蓄積されない、収穫や品質が安定しない、結果として収益が上がらないという悪循環に陥っていました。

このような生産背景があり、かどや製油では2021年から、世界各国の小規模なごま農家を支援するプロジェクトを開始しました。

このプロジェクトは、かどや製油のパートナー企業やごまサプライヤーを通じて、現地でのごま栽培指導、ごまの品質改善に取り組むことで、ごま農家の収入増の実現を目指しています。また、同時にわたしたち消費者には安定してごま製品を食卓に届けることを目的としています。このように、かどや製油では、ごまを通して、持続可能な社会の実現を目指しています。

タンザニア、ナイジェリア、パラグアイ、支援が広がるかどやだからできるごま農家支援

かどや製油の海外のごま農家支援プロジェクトは、まずはタンザニアの3つの地域からスタート
しました。タンザニアでは、多くのごま農家が独学でごまの栽培をしていたため、収穫量や品質が安定しないという課題があり、多くのごま農家が苦労をしていました。

そこで、かどや製油は、現地に農業技術師を派遣し、ごま農家を集めて農業集会を開催したり、栽培マニュアルを配布したり、デモ圃場で栽培指導や農地づくりのトレーニングなどを行いました。このような取り組みをする中、ごま農家のごまづくりのモチベーションも高まり、協力しあえる環境を構築していったそうです。この支援プロジェクトは、2022年も引き続き行われていて、現在では、タンザニアだけではなく、ナイジェリア、パラグアイと支援の地域を広げています。

かどや製油は、このような支援を行う理由について、以下のメッセージを発信しています。

かどや製油が最終的に目指しているのは、ごまに携わるすべての人を笑顔にする持続可能なサイクルをつくること。たとえば、国内初のトクホのごま油や、ごまからセサミンを抽出したサプリメントなど、ごまが持つ健康機能を研究し、より付加価値のある製品の開発を行うことも、消費者や生産者の笑顔の創出につながると信じています。ごまのリーディングカンパニーである私たちの使命は、ごまの食文化を守り、進化させ続けていくこと。ごまの笑顔サイクルで、社会をより豊かにしていきたいと考えています。

ごまに関わる全ての人をしあわせにしたいという企業の思いが伝わるのではないでしょうか。

その他にもかどや製油では、ごま油を製造する過程で生成される、油を抽出したあとの搾りかす「脱脂ごま」を全国の農場などに飼料や肥料として提供し、原料のごまを100%使い切る取り組みを行っていたり、小豆島・袖ケ浦両工場では、CO2排出量が他の化石燃料よりも少なく、環境に配慮したエネルギーとして期待される LNG(液化天然ガス) を活用しています。

「100年企業」という言葉がありますが、これは創業100年以上の企業のことをいいます。かどや製油も創業164年と100年企業に入ります。世界の100年企業の約4割が日本の企業だといわれていますが、かどや製油の取り組みからもわかるように、老舗企業という歴史に甘んじることなく、持続可能な社会を実現するために、つねに挑戦していることがわかるのではないでしょうか。そして、100年以上続く理由は、このような企業姿勢にあるのかもしれません。

いつも何気なく使っている商品でも、バックグラウンドを知ると、より愛着がわきますよね。SDGsな取り組みをしている企業が増えている今、ただ商品を手にとるだけではなく、「つかう責任」として、わたしたち消費者は企業姿勢にも注目していきたいですね。

アバター画像

WRITTEN BYSDGs MAGAZINE

カテゴリーの新着記事

新着記事

Page Top