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必要以上に働かない…Quiet Quittingから考える持続可能な働き方

必要以上に働かない…Quiet Quittingから考える持続可能な働き方

#TREND
  • 働きがいも経済成長も

TikTokで流行している「Quiet Quitting」という言葉をご存知でしょうか。日本語に訳すと、「静かな退職」となりますが、これは仕事を辞めることを意味するのではなく、「必要以上に働かない」ことを意味します。この「Quiet Quitting」の考え方は、Z世代を中心に共感されていますが、その背景には何があるのでしょうか。考えられることは、新型コロナウイルスがきっかけとなったリモートワークの広がり。新しい働き方をどんどん取り入れていこうという社会の変化。また、「失われた30年」ともいわれている、経済成長の停滞から生まれる日本の閉塞感も関係しているのかもしれません。
今回は、「Quiet Quitting」が支持される理由、そして、この言葉に紐づく持続可能な働き方について考えてみたいと思います。

「Quiet Quitting」という言葉が生まれた背景とは?

「Quiet Quitting」は、もともと10年以上前に生まれた言葉のようですが、最近になってこの言葉が注目されたのは、ニューヨークで働くザイド・ハンさんがTikTokに投稿した17秒の動画がきっかけでした。

@zaidleppelin On quiet quitting #workreform ♬ original sound – ruby

動画では「仕事が人生であるべきだという考え方は古い。人の価値は、生産性や労働が本質ではない」という内容のメッセージが流れます。ザイド・ハンさんは、「Quiet Quitting」は、社会に潜んでいる「仕事=自分の人生」という考え方に反対するものだと説明しています。つまり、「Quiet Quitting」は、「仕事と私生活のバランスをとろう」というメッセージであることがわかります。この考え方に多くの人が共感し、話題になったようです。
海外のTwitterでは、「Quiet Quitting」には「がむしゃらに仕事をするようなメンタリティーは消えた」「人の価値は生産性によって測らるべきではない」「今の日本の若者は、“報酬”が少ない、“欲求”が少ないことが関連するのかも」「はじめて知った言葉であるが、既にこの境地にいる気がする」と共感する意見も。「ただの逃げとして静かな退職を選ぶ人間が増えそう」「ハッスルカルチャーほどではなくても、向上心があるべきでは」と反対する意見など、さまざまな議論が行われています。日本においても、この考え方に違和感を覚える方もいるのではないでしょうか。

かつては、「モーレツ社員」や「企業戦士」という言葉がありました。これは、家庭やプライベートは二の次で、会社のために仕事に打ち込む社員に対して使われていました。働けば働くほど、給与は上がり、高度経済成長を支えてきた世代は、「Quiet Quitting」の考え方は、妙な感じがするかもしれません。どちらの考え方が正しい、とは誰かに決められるべきではない、それぞれの意見を尊重するのが良いのでは、と筆者は思います。「静かな退職」がこれほどまでに議論されるようになった背景には一体何があるのでしょう。

新型コロナが変えた私たち働き方への価値観

内閣府が実施した「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」によると、「感染症拡大前に比べて、仕事の向き合い方などの意識に変化はありましたか」という質問に対して、なんと、約半数の5割の人が「変化した」と回答しました。また、「仕事と比べて、生活を重視するようになった」という質問に対しても、約半数が「変化した」と回答しています。この調査からもわかるように、新型コロナウイルスがきっかけで、私たちの仕事に関する意識は急速に変化していきました。仕事も大切だけど、自分の生活も大切とワークライフバランスを重視するようになってきたのではないでしょうか。

好きなときだけ働ける工場、飛行機で通勤できるメルカリ

私たちの仕事に対する意識が変化するなか、企業も働き方の多様化に対応するようになりました。新しい取り組みを始めた企業をいくつかみてみましょう。

①天然エビの加工会社 「休みます」「遅れます」の連絡、「嫌いな仕事」は禁止

大阪の水産加工会社のパプアニューギニア海産では、好きな日に連絡なしで出勤・欠勤することができる「フリースケジュール制」というユニークな取り組みをしています。同社は他にも、「嫌いな仕事をやってはいけない」といった制度もありますが、これらの制度のおかげで、作業スピード、従業員のモチベーションは上がり、工場全体の作業効率も格段に向上したそうです。このフリースケジュール制は、、SmartHRが主催するWORK DESIGN AWARD 2021でグランプリを受賞しました。

画像出典:パプアニューギニア海産

②メルカリ 個人で自由に判断することができる “YOUR CHOICE”

「働く場所」「住む場所」「働く時間」を自由に選択できるのが、「メルカリ・ニューノーマル・ワークスタイル “YOUR CHOICE”」という制度です。オフィスに出社するのも、フルリモートワークも、個人の判断で自由に選択することができます。また、日本国内であれば、飛行機、新幹線、特急列車、高速バス、フェリーなどで通勤することもできます。さらに、フルフレックスで24時間365日、柔軟に働くことができるので、働く時間を調整して、週休3日にすることも可能です。

画像出典:メルカリ

これらの事例からもわかるように、従業員一人ひとりが、自分に合った勤務形態で働くことができる、時間と場所にとらわれない多様な働き方を尊重する動きが高まっています。

エア退職?給料に応じた労働?省エネワーク…?あなたにとっての理想の働き方は

持続可能というと、環境問題について地球目線で考えてしまいがちですが、私たちの日々の生活が持続可能であることも非常に大切です。仕事と私生活のバランスがとれて、それぞれが充実していることが、持続可能な働き方につながるということを、「Quiet Quitting」という言葉は私たちに教えてくれているのかもしれません。

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