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え!?こんな食品ロスの取り組みもあるの?LIFULLの視点を変えた取り組み

え!?こんな食品ロスの取り組みもあるの?LIFULLの視点を変えた取り組み

#SHOW CASE
  • 貧困をなくそう
  • 飢餓をゼロに

2015年の国連サミットで採択され、2030年までに持続可能な社会を実現するために定めたSDGs目標。この目標の期間まで、残り8年となりました。国や自治体、企業に個人と、ますますSDGsに取り組むことが求められ、その重要性も増しています。

SDGs目標を達成するためには、地球温暖化、環境問題、ジェンダー平等、貧困問題など、課題は山積みですが、私たちの身近な問題の一つとして、食品ロスがあります。身近であると同時に、対策をすることによる環境改善への効果も大きいとされています。前回のCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)で、世界の専門家200人による、地球温暖化の進行を「逆転」させる100の方法「プロジェクト・ドローダウン」が発表され、「食品ロス削減」が、その3位に入るほどです。英国の環境団体も「企業は、食品ロス削減に 1 ドル投資すれば、さまざまな面で14 ドルのリターン(利益)が得られる」というコメントを出しています。
今回は食品ロスに焦点を当てると同時に、違った視点から食品ロスに取り組んでいる企業をご紹介したいと思います。

5年連続減少している日本の食品ロス、目標達成まであと少し

食品ロスとは、本来食べられるにも関わらず、捨てられてしまう食べ物のことです。消費者庁の調査によると、2020年の日本の食品ロスは、家庭から247万トン、事業者から275万トンの合計約522万トンの食品ロスが発生したと報告されています。

家庭での食品ロスは、食事の食べ残し、賞味期限切れ食品の廃棄、可食部も捨ててしまう過剰除去が原因だと指摘されています。これらは、私たち一人ひとりが、「買い物をするとき」「調理をするとき」「保存をするとき」など、日常で気をつければ改善することができます。
一方、事業者の食品ロスは、製造工程のロス、返品、売れ残り、外食産業での食べ残しや仕込みロスが原因だとされています。事業者は、過剰生産の防止、少量の販売やバラ売り、食べ切り運動の周知活動や提供サイズの見直しなどの取り組みをしています。

食品ロスに対する社会の関心や意識は高まり、日本の食品ロスは5年連続で減少しています。ただし、2030年の目標は489万トン。今後も引き続き、食品ロスに取り組むことが求められています。

食品ロスの進化系?地球の新たな食材を見つけるプロジェクト「地球料理 -Earth Cuisine-」

個人や事業者が食品ロスに取り組むなか、違った視点で食品ロスに取り組んでいるのが、不動産情報サイト「LIFULL HOME’S」で有名な、生活関連サービスを展開している株式会社LIFULLです。

LIFULLでは、地球上でまだ光が当てられていない素材に注目し、新たな食材を見つける「地球料理 -Earth Cuisine- (アース・キュイジーヌ)」プロジェクトに取り組んでいます。2018年にスタートしたこのプロジェクトでは、以下の新たな素材が提案されています。

第1弾:木から生まれたケーキ「EATREE CAKE」

プロジェクトの第1弾の素材は「間伐材」です。森林のバランスを保つためには、樹木の間引きが欠かせません。しかし、間引きされた間伐材は、建築には利用しにくく、値段も安値でしか取引されないそうです。そのため、間伐材の扱いが林産業の課題になっていました。
このプロジェクトでは、杉の間伐材を粉末状にして、アーモンドパウダーと混ぜ合わせ、パウンドケーキにしました。価値のなかった間伐材に、「食材」という新たな需要を生み出しました。

第2弾:竹害から生まれたガレット「BAMBOO GALETTE」

プロジェクト第2弾の素材は「放置竹林」です。かつて、日本人にとって竹はなくてはならない存在でした。しかし、竹の需要低下により竹林は放置され、さまざまな竹害を引き起こしていることが問題になっていました。
このプロジェクトでは、放置竹林の竹や笹をガレットにして、「食べる」という新たな選択肢を増やしました。

第3弾: カカオの廃材から生まれた新しいチョコレート「ECOLATE」

プロジェクト第3弾の素材は「カカオの廃材」です。チョコレートの原料となるカカオマスは、カカオポッドの中から採取されるカカオ豆から作られます。しかし、約70%のカカオ素材は、食べられることもなく廃棄されてしまうそうです。
このプロジェクトでは、本来捨てられる部分のカカオの廃棄部分を、新しいスイーツとして提案、新たな可能性を見出しました。

画像出典:リリースより

第4弾の新たな食材は、コーヒーノキの廃材でできた透明なシロップ「PROUD LIBERICA COFFEE SYRUP」

「地球料理 -Earth Cuisine-」の第4弾、「コーヒーノキの廃材」に注目した「PROUD LIBERICA COFFEE」このプロジェクトでは、コーヒーの生豆以外の、これまで廃棄されていた花、葉、枝、カスカラの部分を活用し、シロップ「PROUD LIBERICA COFFEE SYRUP」を開発しました。

このプロジェクトの背景には、フィリピンのコーヒー農家の慢性的な貧困問題があります。コーヒーの需要が高まる反面、輸出競争の激化やサビ病の蔓延、外資コーヒーチェーン進出などにより、フィリピンのコーヒー生産量は減少の一途をたどり、コーヒー農家は生豆売るだけでは生活が成り立たず、慢性的な貧困に繋がる社会課題になっています。
この課題を解決するために注目したのが、フィリピンで生産される希少な原種の「リベリカ種」です。フィリピンでは、約82万本のリベリカコーヒーノキが栽培されています。コーヒーノキの廃材をシロップの原料として活用することで、生豆の販売以外に、年間を通じてコーヒー農家の収入を生み出すことができます。

原料となる廃材の買取価格や製造・開発・流通コスト、マージン、農家の利益など、すべての数字を公開することで、フェアトレードも実現することができます。
このプロジェクトで開発されたシロップは、企業やコーヒーショップ、農家が活用することで、新たな商品や楽しみが生み出されます。「新しいコーヒー体験」としてコーヒーノキの廃材の需要を高めることなどを目的に、廃材の精製方法から加工技術、アレンジレシピなどが商用利用可能な情報として、LIFULLの特設ページで無償公開されています。

画像出典:リリースより

LIFULLの「地球料理 -Earth Cuisine-」プロジェクトが私たちに問いかけていること

2022年の国連広報センターのSDGs報告によると、低収入労働者の割合が20年ぶりに7.2%上昇、さらに800万人の労働者が貧困に追いやられていると報告されています。2022年の報告では触れられていませんが、2019年には極度の貧困状態にある1/3が農業従事者であると指摘され、2022年も厳しい状況であることが想像できます。
また、コロナの影響もあり、世界の10人に1人が飢餓に苦しみ、さらに3人に1人が十分な食料を得られていないと報告しています。さらに、ウクライナの危機で、小麦やトウモロコシ、ヒマワリ種子製品の輸出が減ることにより、世界の最貧困層の食料不足はさらに深刻になると警告しています。

SDGs目標には、「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」という項目があります。LIFULLの地球の新たな食材を見つける取り組みは、食品ロス問題を解決するだけではなく、飢餓問題や貧困問題の解決につながるヒントになるのではないでしょうか。日本国内だけではなく、世界に目を向けて、今、自分たちに何ができるのかを「地球料理 -Earth Cuisine-」プロジェクトは、私たちに問いかけているのかもしれません。

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