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【話題】「フォントがダサい」と13万RT。新貨幣に施されたユニバーサルデザインに賛否


この記事に該当する目標
16 平和と公正をすべての人に
【話題】「フォントがダサい」と13万RT。新貨幣に施されたユニバーサルデザインに賛否

2024年度の上旬に日本のお札が新しくなりますが、それに伴う日本銀行のツイートが一躍、注目を集めました。新紙幣デザインに関しては、賛否両論ありますがみなさんはどう考えますか?いま世界では多くの国や企業で、 みんなが使いやすい製品やサービス=「ユニバーサルデザイン」を開発する動きが拡大しています。この動きは「誰もが安心して暮らせる」というSDGsの考え方とも共通するものがあります。
さて、そんなユニバーサルデザインを施した新紙幣のデザインに対してツイッターの反応はどのようなものだったのでしょうか。

フォントがおもちゃっぽい?新紙幣の数字がデカすぎる?慣れれば普通?違和感の声も

まず、批判的なコメントをいくつかご紹介します。
・新紙幣には最先端の印刷技術が使われているのかもしれないが、センスが悪すぎる! スイスフラン紙幣のデザインはため息が出るほど美しい!
・元に戻してください(本気)
・フォントがオモチャっぽいですねえ。慣れるまでは笑っちゃいそうです。
次に好意的なコメントはこのようなものでした。
・いや純粋に、こういう技術凄いって思う。すげぇなぁ…。
・すかしがカッコ良く、すごく見やすい数字表記。はやく使ってみたいです。

世界初の偽装防止対策!最先端技術を用いたホログラムを導入

好意的なコメントの中にあったように、今回のリニューアルでは、新たな偽造防止対策のために高精細なすき入れ模様を追加。そして、肖像の3D画像が回転する最先端技術を用いたホログラムが新たに導入されています。この技術を銀行券へ採用するのは世界初とのことです。
ユニバーサルデザインとしては、それぞれのお札の区別を分かりやすくするために、指の感触により識別できるマークの形状と配置が従来のものと比べて変わっています。また、お札に書かれている数字が大きくなり、より見やすくなりました。

画像出典:財務省、国立印刷局公式サイトデータを基に作成

そもそも、ユニバーサルデザインとは

ユニバーサルデザインは英語で、「Universal(=世界中の、万人の)」と「Design(=設計、デザイン)」、この頭文字をとって「UD(ユーディー)」と呼ばれることも。アメリカ・ノースカロライナ大学の教授で建築家のロナルド・メイスは、UDの父とも言われています。自身が身体に障がいを抱えてしまったときに、他の人から同情的な目で見られることに違和感を感じ、最初からみんなが使いやすいものを作ればいいじゃないか、と考えたそうです。そこからユニバーサルデザインを研究し、その認知を広げたといわれています。
例えば、シャンプーとリンスのボトルは、シャンプー容器にきざみ状の突起をつけることで、触っただけでシャンプーかリンスかを判断することができます。目に障がいのある人だけでなく、髪を洗っている時に目を閉じたままでも使いやすくなっているのです。
また、最近よく見かける人の気配を感じて自動的に開閉するトイレのフタや、手の届きやすいところに集められた操作ボタンは、トイレでのかがむ・ひねるといった動きによる足腰への負担を軽減することができます。
そして、ほとんどの公共施設や大型施設などの案内板で使われているピクトグラムは、標識が何を表しているかが一目でわかるようになっていて、文字が読みにくい子どもや外国人、高齢者などの助けになっています。私たちは日頃から当たり前のようにユニバーサルデザインに助けられているのですね。

賄賂や横領などの悪業を減らすこともSDGsに定めてあるって知ってた?

さて、すべての人に優しいユニバーサルデザインを施した新紙幣ですが、一般的にお金と聞いてみなさんはどんなイメージを持つでしょうか。悪いイメージを持った人もいると思います。それは、贈収賄や談合、資金洗浄、横領といった腐敗行為がたびたび報道されているからです。誰もが安心して暮らせる持続可能な社会を考える上で、企業や行政、司法にこのような信頼に欠ける行為が入り込むと、人権・労働・環境を含めた様々な場面でSDGsの実現を妨げることになります。
そんな中、コフィー・アナン元国連事務総長は企業にグローバルな課題解決を求め、世界の経営者たちに次のような呼びかけをしました。


画像出典:国際連合広報センター:「善を導く力」:コフィー・アナン元事務総長の死を悼む国連

「世界共通の理念と市場の力を結びつける道を探りましょう。民間企業のもつ創造力を結集し、弱い立場にある人々の願いや未来世代の必要に応えていこうではありませんか。」(1999年1月、世界経済フォーラムにおいて)
この言葉を叶えるために、国連と民間が手を結び、健全なグローバル社会を築くため国連グローバル・コンパクト(UNGC)が2000年に発足しました。具体的には人権、労働、環境、腐敗防止の4分野において10個の原則を盛り込んでいます。特に、原則10が掲げる「強要と贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗の防止に取り組むべきである」という課題には、各国で多くの努力と新しい取り組みが実行されていますが、まだまだリセットできていないのが現状。世界銀行によると「贈収賄は1兆ドル規模の産業になった」とも言われているほどです。

SDGsの目標16「平和と公正をすべての人に」には、「あらゆる形の汚職や贈賄を大きく減らす」という記載があります。一部のパワーを持った人だけが利益を独占し、健全な社会を歪めてしまうことがないように行うべきことも掲げられています。私たちにとって身近なお金について考えることは、SDGsの目指す未来に近づいていくためにとても大切なことだということが分かりました。このように世界を変えるヒントはありふれたところにあるかもしれません。この機会に身の回りのことから考えてみてはいかがでしょうか。