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痒い所に手が届く「微生物?」目には見えないスーパーヒーロー達

痒い所に手が届く「微生物?」目には見えないスーパーヒーロー達

#SHOW CASE
  • 飢餓をゼロに
  • 海の豊かさを守ろう

マスク生活が続いている中で、目に見えない存在に対して意識することが増えたのではないでしょうか。
地球上にはたくさんの目には見えない微生物が生息しています。土の中、水の中、空気中や体の中まで、いたるところにいます。そんな小さな生き物たちが、様々な大きな問題を解決する存在として今注目を浴びていることをご存じでしょうか。 今回は隠れたスーパーヒーロー達をいくつか紹介いたします。

食料にもエネルギーにも?みんな知ってるミドリムシ

ミドリムシ(学名:ユーグレナ Euglena)

最近だとユーグレナと呼ばれることも多いミドリムシ。誰もが一度は耳にしたことがあるこの微生物もスーパーパワーの持ち主です。
名前からして虫の一種だと勘違いされる人もいるかもしれませんが、正確にはワカメやコンブなどと同じ「藻」の仲間です。

植物の栄養素と動物の栄養素を併せ持っており、その数なんと59種類。人間が必要とする栄養素がすべて、ミドリムシのなかに存在しているといっても過言ではありません。その点が着目され、現在ではサプリメントからラーメンに至るまで様々な食品への加工が研究され、SDGsの2番目の目標「飢餓をゼロに」を解決する存在として注目が集まっています。

ほかにも、ミドリムシは体の20~30%程度が油で出来ており、バイオ燃料としても注目を集めているようです。燃料は燃やすとCO2を生みますが、植物の特性があるミドリムシはCO2によって成長することができます。そのことから、SDGsの7番目の目標「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の観点からも活用が期待されているのです。

電気を発電する微生物

シェワネラ属(学名:Shewanella)

先ほど紹介したミドリムシのバイオ燃料のほかに、エネルギーを生み出してくれる微生物もいくつか発見されています。その代表例が「シュワネラ菌」。別名「発電菌」と呼ばれており、食べ物を摂取した代謝によって電気を生み出すことができます。その仕組みを利用した「微生物燃料電池」の研究が進んでいるようです。

ガン細胞を食べる微生物

クロストリジウム・ノヴィ(学名:Clostridium Novyi)

エネルギーや食料だけではなく、人間の健康を大きく左右する微生物も発見されています。

酸素を嫌い、たんぱく質を分解する性質を持つこの微生物は、ガン治療に対して大きな期待が寄せられています。実はガンにはほとんど酸素が含まれていないのをご存じでしょうか。そのため、体内にこの微生物を取り込めば、ガンだけを食べてくれるのです。 以前、ガンを嗅ぎ分けてくれる微生物に関する記事で紹介された医療技術と組み合わせれば、いつかガンはすぐに治る病気になるかもしれませんね。

プラスチックを食べる微生物

イデオネラ・サカイエンシス(学名:Ideonella Sakaiensis)

プラスチックごみによる海洋汚染が国際的な問題となっているなか、その救世主となりうる微生物も発見されています。大阪の堺市内で見つかったこの微生物は、ペットボトルを「食べる」性質があり、プラスチックごみ対策の切り札にしようと各国で研究が進んでいます。 以前紹介したゴミの最終処分場の寿命に関する記事にもあるように、発生したプラスチックごみの明確な処理方法は決まっていないのが現状です。にもかかわらず、プラスチックは自然分解するのに400〜1000年以上かかるといわれています。そんななか、突如現れたこの微生物はまさにスーパーヒーローと言える存在ですよね。

20分で世代交代?地球を支える“力の秘密”

なぜこれだけ多様なスーパーパワーを持った微生物が生まれるのか。その秘密は世代交代の速さにあります。遺伝子構造が単純なため、20分に一回という驚異的な繁殖速度を持ちます。そのため、環境に適応した突然変異個体が発生しやすいのです。

まさに、私たちの痒い所に手が届く微生物たち。今後もこの目には見えないスーパーヒーローの活躍に注目していきたいですね。

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