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【プリキュアで話題】アニメの世界にもジェンダーレス、「らしさ」に捉われない時代へ

【プリキュアで話題】アニメの世界にもジェンダーレス、「らしさ」に捉われない時代へ

#TREND
  • ジェンダー平等を実現しよう

3月8日は国際女性デーでした。世界で女性の社会参加や地位向上への関心を深める日で、海外では祝日としている国もあります。これまでも様々な観点からのジェンダーについて考えてきましたが、実はアニメ業界にもジェンダーへの多様性が広まってきていることをご存知でしょうか。
昔は子どもの見るものとされていたアニメも、今では深夜に放送したり、アニメグッズの専門店などがあり、当たり前のように目にするようになりました。また、ニフティ株式会社が運営するキッズ@niftyが今月実施した「なりたい職業」によると、アニメを制作するにあたって欠かせない声優という仕事は憧れの職業ランキングの常連です。その中でも国民的アニメ「プリキュア」シリーズは、女の子が変身して戦うといったストーリーで人気ですが、2018年に男の子のプリキュアが登場したことが話題となりました。今回は、アニメや声優業界でも広がるジェンダーについて考えたいと思います。

「らしさ」の価値観にとらわれない、キャラクターの強さ

「プリキュア」シリーズは2004年から放送を開始し、今年で20周年を迎えます。女の子たちの一生懸命に戦う姿が、子どものみならず大人の心にも響き人気です。そんなプリキュアで2018年に革命が起きます。男の子のプリキュアが現れたのです。そのキャラクターは「キュアアンフィニ」。スケート選手の男の子で、「男性らしさ」や「女性らしさ」といった価値観にとらわれずに自分に似合うドレスなどを着たりと、凛とした印象のキャラクターです。「アンフィニって、フランス語で無限っていう意味なんだ」といったキュアアンフィニの言葉にハッとさせられた方も多くいます。
キュアアンフィニは1話のみの登場でしたが、ついに、2023年の2月から放送している最新作「ひろがるスカイ!プリキュア」ではメインキャラクターとして初めて男の子のプリキュアが登場しました。「男の子だからプリキュアになれない」なんてことはないのです。
プリキュア以外にも、トイストーリーやカーズなどでお馴染みのPixar Animation Studiosでは、男女のキャラクターの数や発言数が偏らないようシステムを導入しています。実際に導入が開始された最初の作品であるカーズ3では、男性の予定だったキャラクターを女性に変えてもいます。

なぜ性差による区別や差が生まれるのか?

ジェンダーレスとは、男女間における区別や性差の境界線をなくすことや男性・女性の概念を取り払おうという考え方を指していますが、なぜ性差による区別や差が生まれてしまうのでしょうか?
そのヒントの一つとなるのが「ステレオタイプ」という言葉です。ステレオタイプとは、多くの人に浸透している固定観念や思い込みのことで、例えば国籍・宗教・性別など、特定の属性を持つ人に対して付与される単純化されたイメージです。型にはめた考え方(ステレオタイプ)によって、人や物を単純化してしまい、その人自身やその物自体の特性・性質を見逃したり、なかには、偏見や差別が生じる原因にも繋がってしまいます。
とある研究によると、女性は5歳頃から男性よりも「自分自身が劣る」と認識し、自信を喪失し始めるといったデータがあります。文化的偏見、潜在的バイアス、メディアを通じた代表性バイアスはこの傾向を増幅させる要因となっています。米国では「Dream Gap」と呼んでおり、世界各国でも同様の兆候が見られるようです。私たちはステレオタイプに自覚的になり、助長させないように取り組んでいかなければなりません。
ジェンダーレスではありませんが、ステレオタイプに自覚的になるという意味で事例としてお話をしたいのが、今年、創立100周年を迎えるディズニーが公開を予定している「リトル・マーメイド」の実写映画についてです。ファン待望の実写版映画で主演に抜擢されたのは黒人の新人俳優。原作のアリエルのイメージとは異なる黒人女性を起用しており、SNSなどでは批判の声もあがっていました。一方、Tiktokなどでは、実写版「リトル・マーメイド」が黒人キャストによって演じられることを予告動画で知った黒人の子どもたちが、嬉しさのあまり涙を溢し喜ぶ動画が話題にもなりました。有色人種のキャラクターはまだまだ少なく、特にプリンセスでは黒人のキャラクターが1人しかいないのが現状です。自分と同じ肌の色をした憧れのアリエルは、黒人の子どもたちにとって希望のあかりとなったのかもしれません。意識をしていなくても、歴史的背景や文化などで自分の固定概念は出来上がっています。「リトル・マーメイド」はそんなステレオタイプに気づくきっかけになるかもしれません。

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女性の役者は女優?それとも俳優?

アニメのキャラクターだけではなく、それを演じる役者、声優の業界内でもジェンダーフリーは浸透しています。その年度に最も印象に残る声優や作品に賞を讃える「声優アワード」が、2023年3月11日に開催されました。第17回目となる声優アワードは3年ぶりの開催で、役者たちはもちろん、声優ファンの方々も心を躍らせたことでしょう。
これまでは最も印象に残る主演を演じた男性声優、女性声優に「主演男優賞」と「主演女優賞」が贈られていました。それを今年の開催から男女別だった賞を統合し「主演声優賞」とすることが発表され、アニメ・声優業界のファンの中で話題になっています。
アニメを見る方はご存知かも知れせんが、アニメの世界では女性が男性を演じることは多々あり、男性が女性を演じることもある、ジェンダーの壁を超えている職業です。日本のアニメを様々な国で見られるようになった今、声優のファンも世界中にいます。この賞の名称を変更したことにより、もっと多くの方に「声優としての賞」と認知されるだけでなく、このことを通じてジェンダー平等が広まるのではないでしょうか。声優アワードHP:https://www.seiyuawards.jp/

ジェンダーレスが普通の世界に

今はテレビではもちろん、動画サービスアプリなどで手軽に見ることができるようになったアニメ。誰が誰を好きになっても、どんなふうになりたいと思ってもいい、自由な世界が、早く普通のことになるといいですね。

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