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昨日食べたかも?意外と近くにいる深海魚の将来が危険!海の無酸素問題とは?

昨日食べたかも?意外と近くにいる深海魚の将来が危険!海の無酸素問題とは?

#TREND
  • 海の豊かさを守ろう

今年は4月29日の「昭和の日」からスタートするGW。みなさんはGWの予定はもう決まっていますか?おでかけの定番スポットとして水族館を候補に考える人も多いと思います。お魚といえばクラゲやイルカなど、可愛らしいイメージが多いですが、今回注目するのは深海魚。最近は、地域イベントとして地元の海で獲れた深海魚が新たな水産資源になることを目的とした「かごしま美味深海フェスティバル」が開催されるなど、深海魚への知識を深められるイベントも開催され注目が集まっているそう。
さらに、2022年9月には伊豆小笠原海溝の海底8,336メートルで深海魚の姿を映像に収め、これまで撮影された中で一番深い超深海での撮影を実現したことでギネス新記録を更新したことが話題になりました。今回はそんな深海魚に注目して、近々私たちの生活にも深く影響してくるとされている深海問題についてご紹介します。

実は昨日食べている?身近な深海魚

深海魚と聞くと「アンコウ」や「メンダコ」など、不思議な見た目や特徴を持った魚が多い印象ですよね。そもそも深海魚とは、水深200mよりも深い海に生息する魚を分類したもので、この水深200m以上の深海では深ければ深いほど水圧がかかり、光も入らないため水温は低く低酸素濃度、かつ水の流動が少ない環境から、私たちがよく見る魚たちよりも身体の一部に特徴を持った魚が多いと言われています。
深海魚と調べるとびっくりするような見た目の魚が多く、あまり馴染みのないイメージですが、実は普段私たちが食べているノドグロやマダラ、ズワイガニなどといった魚たちは水深200m以上に生息している立派な深海魚なんです。

100年後には深海から酸素がなくなる?

深海魚たちが住んでいる深海。一体どんなところなのか気になりますが、現在私たち人間の影響で深海では様々な問題が起こっています。例えば、打ち上げられた深海魚の胃の中からスーパーのレジ袋などのプラスチックごみが見つかったり、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と国連環境計画(UNEP)の調査結果によると、水深2000メートルより深い海底で見つかったごみの33%がプラスチックだったりと、深海の環境問題はかなり深刻化しています。中でも問題視されているのは、地球温暖化の影響による深海の「無酸素化」。
環境省の調査によると、近年における日本海では深層水塊中の溶存酸素濃度が下がり、水温も上昇していることから、今後新たな溶存酸素の供給がなければ約100年後には、日本海の深海が完全に無酸素化することになると予測されています。
また、2018年1月5日付けで発表された科学誌『サイエンス』内の海洋酸素濃度の低下に関する主要な研究を検証した論文によると、世界の海では50年間で約2%の酸素を失い、酸素が全くない海水の量は4倍に増えていると公表されました。このままだと、深海から酸素がなくなってしまい魚たちが窒息してしまう可能性があるのです。

海水温上昇で上と下に逃げる魚たち

地球温暖化による海への影響としては、気象庁による調査によると日本近海における約100年間の海域平均海面水温(年平均)の上昇率は+1.24℃とされ、これは世界全体で平均した海面水温の上昇率の+0.60℃よりも高いとされています。
気象庁より
先にも述べた通り、海水温が上昇するということは海中の海中の酸素量が減ることを意味しています。2018年には、普段は水深800mまで潜る米国南東部沖に生息するニシクロカジキが、特定のエリアでは海面付近にいる事例が見つかり、研究者の調査結果によると海水中の気温上昇により普段深海にいるはずの魚たちが、酸素を求めて海面に上昇していることが分かりました。今深刻化している深海問題が今後も広いエリアに拡大していくと、これまで深海にいた魚たちが窒息する海から酸素を求めて上に上がってくることで、頻繁に捕まりやすくなり乱獲のような状況に陥ってしまうことや、生態系の破壊に繋がってしまうことが危惧されています。

一方で、静岡県では深海で行う底引き漁に普段いるはずのないアジやマイワシが釣れていることが話題に。専門家によると明確な原因は不明ではあるが、海水温が上昇していることにより、その水温から逃れるために深海まで降りていってしまっているのではという声も上がっているようです。このように、海の生態系にすでに影響が出てしまっている今だからこそ、SDGsの目標にも掲げられている「14海の豊かさを守ろう」でもあるように、海を守るために回復に向けた取り組みを継続的に行う必要がありますよね。
普段私たちの生活の中で深海を意識することは少ないとは思いますが、人間の生活を豊かにする一方で地球温暖化が進み、結果的に私たちの食卓に深海問題の影響が及ぶ日も近いかもしれません。
まずは私たちが実際に実行できる小さな積み重ねから、未来のために今後も海を守っていきたいですね。

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