LGBTプライド月間を通して今こそ考えるべき多様性とは?
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6月が「LGBTプライド月間」ということはご存知でしょうか?1969年6月にニューヨークで起きた「ストーンウォール事件」をきっかけに、毎年6月は世界各国でLGBTQ+に関する活動やイベントが実施されています。世界的に活動が行われるプライド月間には、今では当事者だけではなくイベントやキャンペーンを通してプライド月間に参加する企業や著名人も増えてきました。
スポーツブランドでおなじみのNike(ナイキ)では、毎年プライド月間を祝した“Be True”シリーズが今年も発売され、クイーン・オブ・ポップと称されるマドンナはレインボー・カラー6枚組LPボックス・セットの発売を発表しました。こうした様々な取り組みの一方で「レインボーウォッシュ」と言われる問題提起も注目されています。
レインボーウォッシュとは?
「レインボーウォッシュ」とは、LGBTQ+コミュニティへの支援や取り組みをしているように見せながら、言葉だけを借りて表面的な取り組みをしている企業や商品に対して批判するために用いられた言葉です。このレインボーウォッシュの問題提起として、世界最大級のストックフォトサイト「iStock」を運営するゲッティイメージズは調査を元に、過去10年間で使用された企業やブランドの広告ビジュアルに、LGBTQ+コミュニティを表現したものは全世界で1%未満しかないことも発表しています。
令和元年に発表された株式会社LGBT総合研究所の調査によると、日本全国の20歳~69歳のうち10%がLGBTQ+を自認しているとされており、日本においても今後もさらに多様なビジュアル表現が必要であると考えられています。LGBT 意識行動調査 2019より
また、先のゲッティイメージズの調査では、日本ではLGBTQ+コミュニティを表現した実際の写真やビデオではなくイラストが人気であることや、象徴とされる「虹」のシンボルが多く使われていることが特徴とされています。世界的にみると虹が使用されたビジュアルは全体の30%に対し、日本では60%以上と高い割合で使用されていることから、日本の企業や団体で虹のシンボルがよく使われている一方で、企業の文化として多様性を取り入れて支援や活動をしているのか、それとも話題になっているLGBTQ+コミュニティの存在を借りてブランドのイメージをよくしているのか、消費者側も今一度考え直してみる必要があるのではないでしょうか。
「Let’s Talk Gender」で学ぶ多様なジェンダー
プライド月間の話題やジェンダーに関するニュースなどに触れる機会が多くなりLGBTQ+という言葉について知られてきた一方で、実際に理解するまでには至っていない人が多いのではないでしょうか。2023年4月にソーシャル系マッチングアプリ「Tinder」を運営するTinder Japanが、多様なジェンダーについて学ぶことができるオリジナルサイト「Let’s Talk Gender」を公開しています。
無限と言われている人との出会いの中で、相手の価値観や考え方を尊重してお互いにリスペクトのあるコミュニケーションを築いて欲しいという想いから立ち上げた「Let’s Talk Gender」では、ジェンダーやセクシュアリティ、ロマンティックについて、正しく理解するための紹介や、身近なシチュエーションを題材にしたQ&Aなど、多様性を進める社会を生きる中でジェンダーに関して戸惑いや疑問が起こった時に解決のヒントとなるような情報が掲載されています。
SDGsの「5ジェンダー平等を実現しよう」にも掲げられているように、SDGsが目指している社会に近付くための国際的な課題とされています。当事者だけではなく私たち一人ひとりがジェンダーに対する理解を深め、多様な価値観と出会うきっかけを増やすことは、よりよい社会へ進む一歩となるのではないでしょうか。
最近、問題となった歌舞伎町タワーの「ジェンダーレストイレ」や政治家の心ない発言など、インフラを整えていくにあたり、まだまだ課題が多く残っているのが現状です。6月のプライド月間で触れる企業や団体などの取り組みが、本当に当事者のためになることなのか、自分自身の理解を深めた上で今一度考えてみましょう。