“SDGs”と“企業”をもっと近づける!SDGs MAGAGINE

ドラえもんのひみつ道具が現実に?科学技術の進歩で生まれた環境を守る装置

ドラえもんのひみつ道具が現実に?科学技術の進歩で生まれた環境を守る装置

#TREND
  • 産業と技術革新の基盤をつくろう

じめっとした空気が気分を重くさせる雨。6月は梅雨本番です。そして6月には祝日がないということも、さらに気持ちをどんよりさせる理由のひとつではないでしょうか。そんな会社や学校に行かなければいけない日が多い6月に、どうしても祝日をつくりたいと、平日を休みに変えた”あるキャラクター”がいます。

「ドラえもん」ののび太くんは、ドラえもんのひみつ道具「日本標準カレンダー」を使って6月2日を「ぐうたら感謝の日」に制定しました。ドラえもんの道具には空を飛べたり、扉を開ければすぐに遠くへ行けるドアがあったりなど、夢がいっぱいですよね。

実は、現実世界でも夢のような“ひみつ道具”があることをご存知でしょうか。今回は、科学技術が発展したことによって実現可能となった、環境を守る“ひみつ道具”を紹介していきます。

川や湖の水を守る水中掃除機!リアル「ウォータークリーンシップ」

ドラえもんのひみつ道具「ウォータークリーンシップ」とは、掃除機型をした川の水を綺麗にする道具です。漫画の中でも、川の水を綺麗にしたことで稚魚が帰ってきていました。今、わたしたちの世界で問題となっている海のプラスチックごみ問題は深刻で、環境省の調べによると、年間800万トンものプラスチックごみが世界各地の海に流出しています。プラスチックごみが海へ流れ出ると、海洋汚染だけではなくウミガメや海鳥などの生物が誤飲してしまい、死に至るケースも珍しくありません。人間だけではなく生態系にも大きな影響を与えているのです。
しかし、そんな大量のごみを片付けるのは人の手だけでは難しい問題です。そこで、「Seabin(シービン)」という水用ごみ自動回収装置が開発されました。これは「ウォータークリーンシップ」そのものといっても過言ではありません。「Seabin」は、装置に水を送り込み、水面に浮かんだごみを吸い寄せキャッチしてくれる、まさに水中の掃除機のような装置。なんと大きさ2mmのマイクロプラスチックも回収できる優れものです。海で囲まれたオーストラリアで開発され、今では環境を守りたいと奮闘する39の国と地域で、860台設置されています。
平均回収量は1日あたり約1.5kg。これは1年で500kgを超える量のごみです。海にそれだけのごみが浮いていると思うと悲しい気持ちになりますが、この現実を受け止めて、今では日本でも「Seabin」を広める企業が増えています。

人工降雨が実現!リアル「アメダスペン」

ドラえもんのひみつ道具「アメダスペン」とは、モニターの地図を専用のペンで囲うと、その場所を自分の好きな天気に変えられる魔法のような道具です。晴れや雨にするだけでなく、気温も変えることができます。
ここで紹介するのは人工降雨が成功した例です。2008年に行われた北京オリンピックの開会式は、郊外で大雨だったにも関わらず、開会式が行われる北京市内の中心部は少し雨を感じる程度の天気でした。これはオリンピックの開会式当日に大雨が降る懸念があり、科学の力を積極的に天気に働きかけることで、大雨を防ぐことに成功した背景があります。上空にある雨雲から雨を降らせ、雲を消散させたのです。。雨粒の種(シード)になるものを撒いて人工的に雨を降らせる方法で、「シーディング」と呼ばれています。

人工降雨は、水不足や干ばつの対策、「必要な時に必要な場所に水を降らせる」ための技術としての活用が期待されています。世界は人口が増える一方で、安全な水の供給料は変わらず、水不足が進むばかりです。地球温暖化の科学的な研究などのための政府間機構IPCCの第4次報告書には「2050年までにアジアだけで新たに10億人以上が水不足になる」と述べられています。ひとりひとりが資源を大切に使うのはもちろん、人工的に雨を降らせるようになれば、水不足の問題も解決に向かうかもしれません。

ドラえもんのひみつ道具が世界を変える!?

1969年から連載を開始した「ドラえもん」。登場したひみつ道具の中には、今回紹介したウォータークリーンシップやアメダスペン以外にも、すでに実際に現実世界で作られているものが多くあります。
紙コップに扮した電話の「糸なし糸電話」はスマートフォン(携帯電話) 、近道を教えてくれる「近道マップ」は電車の乗り換え案内アプリなど、昔では夢と想像の世界でしかなかったドラえもんの世界が、科学技術の進歩と人の力によって実現し始めています。
今後もどのようなひみつ道具が実現されていくのか、期待が高まりますね。

カテゴリーの新着記事

新着記事

Page Top