“SDGs”と“企業”をもっと近づける!SDGs MAGAGINE

「ゴキブリミルク」って何?「昆虫食」は食糧危機の救世主になれるのか

「ゴキブリミルク」って何?「昆虫食」は食糧危機の救世主になれるのか

#TREND
  • 飢餓をゼロに
  • 気候変動に具体的な対策を

2022年11月に、徳島県にある高校でコオロギパウダーを使った給食が出たことがニュースで報じられると共に「コオロギ給食」を巡ってSNSでは様々な賛否両論の意見が飛び交いました。当時、このコオロギ給食という衝撃的なワードが日本のTwitterトレンドにあがり話題となりました。
日本でも、「イナゴ」を食べる文化があったりと、歴史的に見ても遠い存在ではないと言える「昆虫食」。
なぜ今この話題に賛否が巻き起こっているのか、さまざまな要素から紹介していきます。

「昆虫食」に注目が集まっている理由とは?

ここ数か月前より話題になっている「昆虫食」ですが、そもそも近年なぜ取り上げられるようになったのか、みなさんはご存じでしょうか?
2013年5月13日に国連食糧農業機関(FAO)が昆虫食を推奨する報告書を発表したことをきっかけに、世界中で話題に挙がることが増えました。
この報告書では、地球上には食べられる昆虫が1,900種以上存在することや、昆虫を常食としている人口はおよそ20億人ほどになることなどが明言されています。
そんな中、人口爆発など様々な理由で食料不足が世界的に問題視されていることから昆虫食が「食糧危機」の打開策として注目を集めています。
国際連合食糧農業機関による調査によると、2030年には約6億7千万人が飢餓に直面していると予測されており、このことから次世代の食料源として食用昆虫を活用する動きが多くの企業や政府によって動きを見せ始めました。
また、日本能率協会総合研究所の調査では、EUでは2018年に食品としての承認を受けたことで市場の拡大が予想されることや、生産時の環境負荷が少なく環境意識の高い欧米で注目を集めていることなどが評価され、2025年度の世界の昆虫食市場は約1,000 億円に到達するとの予測が立てられています。

一方で、約9割が「昆虫食」に抵抗感…巻き起こる批判の声

外食市場に関する調査・研究を行う「ホットペッパーグルメ外食総研」により2023年1月に発表された「抵抗感のある食品・食品技術”に関するアンケート調査」によると、食べることに抵抗があるものとして「昆虫食を避ける」と答えた人が88.7%と選択肢の中で一番多い回答に。また、昆虫食については「絶対に避ける」と答えた人が62.4%とこちらも一番多い回答という結果になりました。
この昆虫食の話題が上がる中で、実業家の堀江貴文氏は自身のYouTubeチャンネルで昆虫食に対して猛反対。
また、2ちゃんねる開設者の西村博之氏も自身のTwitterで2012年に海外で起こった昆虫大食いコンテストで優勝者が大会終了後に急死したニュースを紹介しながら、昆虫食に関して否定的な立場を示しました。

このように賛否両論がある昆虫食に対してどちらかといえば批判が多く寄せられているように感じますが、この理由としては単純に昆虫への抵抗感により粉末だとしても虫だと考えると嫌悪感があるとの声や、日本における食糧問題を解決するためには、食糧自給率の改善やフードロス問題に目を向け、昆虫食の導入よりも先に取り組むべき課題があるのでは?と疑問視する声が挙がっています。

つい最近では、イタリア政府が「コオロギ、トノサマバッタ、ミルワーム、イナゴを含んだ小麦粉を、現在流通している伝統的なイタリア料理(ピザ・パスタ)に使用することを禁止する方針」を表明。イタリアの農業・食料主権・林業大臣がTwitterに投稿したことで話題にもなりました。

ビル・ゲイツ氏らが推奨する「ゴキブリミルク」とは!?

2016年に発表され米紙ワシントン・ポストなどが大きく報じ、あまりにも衝撃的なワードで日本でもSNSで大きな話題となったのが「ゴキブリミルク」。
そんなゴキブリミルクが最近の昆虫食についての一連の話題の中で再度注目されることになりました。
インドの幹細胞生物学と再生医療の研究チームが「パシフィック・ビートル・コックローチ」という品種のゴキブリから母乳を発見したとされ、このゴキブリから得られるミルクには牛乳より3倍近く多い栄養分が含まれていると言われています。
なお、日本では農林水産省により原料になるゴキブリに対して輸入規制をかけているため、日本でゴキブリミルクを見る可能性はほとんどないそうです。

最近では、「Pasco」などで有名な「敷島製パン」がコオロギパウダー入りのパンやスイーツを発売したことが話題になりましたが、昆虫食への強い抵抗感からか事実ではない情報から風評被害に繋がってしまうケースもありました。
実際に自分が食べるとなると、嫌悪感を持つ人が多い「昆虫食」問題。
食糧危機の問題への解決策と言われている一方で、一般家庭への普及はなかなかハードルが高いと予想されますね。

カテゴリーの新着記事

新着記事

Page Top