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長いタグには39人の名前が。99万投稿を超える世界的ムーブメント#WhoMadeMyClothesとは

長いタグには39人の名前が。99万投稿を超える世界的ムーブメント#WhoMadeMyClothesとは

#TREND
  • 働きがいも経済成長も
  • つくる責任つかう責任

その服はどこで作られたの?サプライチェーンの透明性を考える展覧会

ファストファッション・ハイブランドまで様々な店舗が立ち並ぶ表参道の中心で、2023年4月に開催された「TWO DECADES OF HIDDEN FASHION」に展示された1枚のTシャツ。今までに見たことのない長さ約1mのタグには、1枚のコットンTシャツが店舗に並ぶまでの、3カ国で行われた39の工程が記されています。このように服が大量生産される背景にはたくさんの人や組織が携わっているということがタグの長さで直感的に分かるようになっています。

協力:豊島株式会社 ※工場の名称、および人物名は一部架空の名称を使用

一つの服を選び、纏うという行為が結果的に社会に与えている影響を、私たちは日常の中でほとんど知ることができません。服を取り巻く仕事を生業にする人々の声を聞くこともできません。見えない聞こえないファッションの一面を考えていきます。

「TWO DECADES OF HIDDEN FASHION」

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▲FASHION REVOLUTION JAPAN公式Instagram@fashionrevolutionjapanより

2013年4月24日にバングラデシュで発生したラナ・プラザの倒壊事故(縫製工場で働く1132名が、ヒビの入った建物で危険を感じながらも労働を強要された上に亡くなり、2500名以上が負傷した事故)から10年が経った今、ファッション産業を取り巻く状況はどのように変化したのか。これまでの10年を振り返り、そしてこれからの10年を見据えるために、服のカタチからは見えてこない、データや人々の声を通じて考察していく展示です。

グラフは洋服を紡ぐ繊維のシンボル、糸で作られています
世界では、環境よりも人権侵害へのリスクへの責任が問われている
服から服へ。そのリサイクル率は1%しかない
繊維/ファッション産業における死者と負傷者年表
追記された悲しい現実も
追記された悲しい事実も
日本の衣服の供給量は、30年で2倍。衣服の価格は30年で半額以下に
このままでは、メイドインジャパンが無くなってしまう?
会場ではごみを最小限に、マグネットや再生資材を活用して開催されたそう
ウール、レザー、麻、コットンなど様々な素材をまるごと展示

#RememberRanaPlazaCollection 断念から考える日本のファッション産業の現在地

 素晴らしい展示の数々でしたが、この企画の裏には叶わなかった計画がありました。実際は、1着の服の生産背景を長いタグを通して可視化する 「#RememberRanaPlaza Collection」を業界を横断して発表することを計画していました。しかし、企画当初は多くの企業の賛同を得たものの、参加候補となっていたところから続々と丁寧な、しかしはっきりとしたお断りのメールが続き、結果横断型の企画は断念したそうです。#RememberRanaPlazaCollection 断念から考える日本のファッション産業の現在地では、この理由を分析し、日本における現状と課題を示しています。

レポート全文はWEBで公開されています

本展示を主催するFASHION REVOLUTION JAPANのイギリス本部が発表した「Fashion Transparency Index2022」(「ファッション透明性指標」2022年版)では、世界の大手ファッションブランドや小売業者250社を対象に、社会的・環境的な方針、実践、そして影響についてどれだけ情報を開示しているかの評価とランキングを示しています。日本企業では、8社9ブランドが対象となりました。その結果は、ファーストリテイリングの「ジーユー/ユニクロ」が29位で49%、「アシックス」が43位で44%、良品計画の「MUJI/無印良品」と「ミズノ」が121位で20%、イオンの「トップバリュコレクション」が139 位で 17%、セブン&アイ・ホールディングスの「イトーヨーカドー」が159位で13%、「ユナイテッドアローズ」が173位で9%、「しまむら」が213位で4%でした。
上位では透明性を高めている企業がある一方で、全体の数値を見渡すと未だ十分な結果ではないのが現状です。ファストファッションがますます流行する中、安さだけが正義ではないということが日本国内の消費者の中でも認識できるようになってくると、この状況は変わっていくのかもしれません。

ギャラリーの横にはCFCLの店舗、よくみるとⒷ(B Corp)のマーク

「Clothing For Contemporary Life(現代生活のための衣服)」=ニットをメインとするブランド「CFCL」。このⒷマークを持つ企業は厳しい評価のもと、環境や社会に配慮した公益性の高い「いい会社」を認証する国際的な制度です。このマークのある会社はB Corpといい、環境や社会に配慮したサステナブルな事業を行うとともに、企業の説明責任や透明性など、B Labの掲げる高い基準を満たした企業と認定され、現在注目を集めています。その数、世界の213カ国で6776社日本でも27社と急増中(2023年7月時点)。このB Corpの評価指標のなかにもサプライチェーンの透明性について問う設問があり、「CFCL」は日本のアパレルの中でも初めてB Corpに認証された企業です。

イベントについてシェアができるポストカード、投函ポストも
ブランドさんにきいてみたいことを記載してみてください

#whomademyclothes(私の服は誰が作ったの?)」ハッシュタグムーブメントは全世界で99万投稿を超えています。洋服を裏返してタグが見えるよう撮影した写真をSNSで投稿し、メーカーやブランドにサプライチェーンの透明性を問いかけるアクションです。あなたがいま着ている服は、どのように生産されどのように廃棄されていくのか。それを想像してみることは、重要なはじめの一歩です。ラナ・プラザの事故から10年、この展覧会の感想をシェアする、周りの人に話してみる、ポストカードを送ってみる、という小さなことからでもアクションは起こせます。

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