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【公的機関も減少】残念な移住にしない要チェックのライフライン事情

【公的機関も減少】残念な移住にしない要チェックのライフライン事情

#TREND
  • 住み続けられるまちづくりを

蝉の声がよく聞こえるようになったこの頃。夏本番です!今年は新型コロナウイルスによる規制が緩和され、帰省や旅行に行く方も多いのではないでしょうか。特に都心部に住んでいる方は人混みを離れて、のどかな場所で過ごすのも、素敵な時間の過ごし方ですよね。
地方へ行ってみると静かで自然な暮らしに憧れて、移住を考える方も増え続けています。また、コロナ渦で移住への関心が約6割も増加しているようです。のびのびとした環境で子育てや仕事ができたらと、想像を膨らませてワクワクしますよね。
住みつづけられる街づくりには、人口の増加は不可欠で喜ばしいことですが、一方で住んでみたらイメージと違った、なんてこともよく耳にします。先日、岐阜県恵那市の5つの中学校が1つに合併するといったニュースが流れてきました。なんとバスで往復2時間半もかけて登下校する生徒もいるそうです。
人口減少による公的機関の合併は、学校だけでなく、病院や消防署など、他の公的機関にも言えることなのではないでしょうか。今回は、何となくでしか知らない移住先でのギャップや、地方でどんなことが起きていて、どうしていけば様々な世代が住みやすい街になっていくかを考えていきます。

次々に減っていく公的機関…どうして?

移住への関心は、このコロナ渦の4年で約2倍まで上がっています。株式会社ネクストレベルが運営する縁結び大学では、既婚の男女192名に移住への意識調査を行いました。その中で「移住してみたい」と答えたのは24.5%。その理由としては「子育て環境の良いところに住みたい」という答えが1位で16.5%の方が回答しました。確かに地方のイメージは、自然がいっぱいで健やかな生活が送れる、地域の距離が近いなど子育てにはぴったりな環境だと考えられます。
しかし、その一方で先ほどの中学校合併の話は、また違う角度から子育てのやりにくさを感じますよね。遠くの中学校に通う子どもからすれば、疲弊や時間への不平不満、親からすると心配がつきません。日本全体で少子化が進み、今回の5校合併はまれな話ですが、この20年で廃校になった公立小中学校は8500校を超えています。
そしてその波は人があふれかえる東京にも及んでいます。都がまとめている教育人口等推計によると、2000年以降は微増傾向だったにも関わらず、今では小学校入学予定の子どもが減り続けているとの結果になりました。その影響で東京都町田市は、2040年度までに市内の公立小学校を42校から26校に減らす計画です。また町田市以外では、江戸川区や中野区などでも小学校が閉校・統合することが決まっています。そして、学校は減り続けているのにもかかわらず、学校の先生も不足しており、授業が行えない教科があることも明らかになっているのです。子どもたちの教育の場がなくなってしまう事態を、これ以上拡大させないようにするには、私たちには何ができるのでしょうか。

学校以外にも減り続ける公的機関

地方の公的機関減少は、学校以外にも拡がりをみせています。例えば病院。コロナ禍でも医療がひっ迫していたことはご存知の方も多いと思いますが、そもそも病院で働く医師や看護師、設備などが少ないことが問題となっています。他国と比べて日本は病院の数は多いものの、「医療資源」と呼ばれる病院で働く人たちや医療機器などが分散してしまい、一病院あたりのスタッフが海外の病院と比べて少ないと言われています。しかし、ひっ迫しているのは医療機関だけではなく、少子化が進み高齢社会となった日本は、医療費が膨らみ財政も切迫してる状態に。そこで病院の数を減らしていく策定を、2007年に政府が打ち出し、現在もその考えは変わっていません。
では、消防署はどうでしょうか。火事が起こった際に助けてくれる消防士さんたちは、災害が起こった際にも出動します。今、地球では記録的な大雨やそれによる土砂崩れなど、自然災害が多様化しており、一刻を争うような場面に立ち会うこともある役割です。なかなか救急隊を志す人たちが増えない中で、少子高齢化は加速。毎年、高齢者の緊急搬送率は膨れ上がり、今後はさらに増え続けることが予想されます。救急隊の体制はどのようになっていくのでしょうか。

ライフラインの将来を考えてみよう

困った時に助けてくれる病院や消防署、そして様々な学びの場として不可欠な学校は、今はあって当たり前のように感じます。しかし病院に関しては特に、移住先で医療体制が整っていると感じる方は少ないそう。パーソル総合研究所が実施した「就業者の地方移住に関する調査報告書」では、移住先で影響したことを挙げた際「地域の医療体制が整っている」と回答したのは、各年代でも低い結果が出ています。移住に憧れを抱いて、実際に夢が叶った時にも、将来のライフラインについて考え、世代を超えてすみつづけられる街づくりができたらいいですね。

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