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11億ドルの興行収入突破。実写版「バービー」は日本の多様性を考える教科書に?

11億ドルの興行収入突破。実写版「バービー」は日本の多様性を考える教科書に?

#TREND
  • ジェンダー平等を実現しよう

今、世界中が「ピンク」に大ハマりしています。マーゴット・ロビーが主演の「Barbie(バービー)」実写映画がピンクトレンドのきっかけです。日本でも8月11日(金)より公開され、多くのメディアやSNSでも反響を呼んでいます。

バービーとは

バービー人形は、1959年にアメリカのマテル社から発売された今の時代も愛されるファッションドールです。当時の社会的な価値観や女性の役割に合わせてデザインされていたため、ステレオタイプな女性像を強調していた時代もありました。しかし、時が経つにつれてバービーは進化し、幼い女の子たちが未来の自分を投影できる新たなバービーへと変化を遂げています。現在では「You Can Be Anything(あなたは何にでもなれる)」というスローガンを掲げCAや医者、宇宙飛行士などバービーは数々の職業や役割に変身する姿を通じて、夢や希望を刺激してきました。

実写化バービーの反響

映画「バービー」は土曜日(米国時間8月12日)の時点で、米国内では5億260万ドル(約728億円)、全世界では 11億ドル(約1594億円)近くの興行収入を上げており、大ヒット映画の一つとなりました。また、単独女性監督作として初めての快挙です。その反面、日本国内では日本では公開週末の全国映画動員ランキング(8月18日〜8月24日)で8位と他国に比べると注目度が低いように思われます。
SNSの反響からも違いを見受けることができます。アメリカではTikTokをはじめ、動画のバービー映画のレビュー投稿が多く、「子ども向けの映画ではなく、大人が痛感することが多い」や「最高のサプライズが多いバービーが抱える複雑さをポップに演出されている最高の映画」などポジティブな反応が多くみられます。日本でのSNS上での反応は、「最高のコメディ映画」のような感想の反面、「女性嫌悪ムービー」や「フェミニズムすぎる映画」などネガティブな反応が多く見受けられます。

バービーが受け入れ難い理由を考えてみた

なぜ、海外ほど日本ではバービーが話題になりにくいのでしょうか?原爆ツイートの炎上も原因としてはあるように思いますが、根本的な要因として大きく2つがあげられるのではないかと考えます。一つ目は日本ではバービーよりも「リカちゃん」に親しみがあり、バービーに対する親近感が海外と異なるということ。冒頭でもお伝えしたように、バービーのコンセプトは「You Can Be Anything(あなたは何にでもなれる)」で性別を問わない多様性を発信し続けています。そのため、バービーの映画となると多様性が描かれることを想起することが日本人に比べて容易です。
2つ目は、日本にはジェンダーギャップがあり、「多様性」に対する意識が低いこともあげられます。2023年6月に発表されたジェンダーギャップ指数2023年では、146カ国中125位と先進国の中でも圧倒的に低いことがわかります。バービーが多様な表現をしている「働くこと」一つとっても、つい40年前までは“総合職は男性のみ”という求人が当たり前でした。機会は均等になったように思えますが、男女雇用機会均等法が施行された1986年に大手企業に入社した女性総合職のうち、2015年10月時点で約80%が退職していたことが、共同通信の調査で分かっています。施行から30年以上経っていますが、長時間労働などの慣習は変わらず、育児と仕事の両立支援や理解も進んでいません。


出典:内閣府男女共同参画局

映画から学ぶジェンダー平等への気づき

この映画の重要な点は、こうした現実に対する意識の変化を促す可能性を持っているということです。バービー映画は、「男性」と「女性」といった枠を超えて、個々の人間性を尊重するメッセージを持っています。映画の登場人物たちは、性別だけでなく、自己を表現する個性を持っているものの根付きすぎたステレオタイプに悩まされています。日本でもまだまだ進展が見られないジェンダー平等について、この映画は気づきを与えるきっかけになる果たしているかもしれません。
「バービー」映画は、派手なピンク色に包まれた先に、ジェンダー平等への一歩を提供しているように思えます。映画を通じて、性別に固執せず、個々の人間性を大切にし、「私たちは何にでもなれる」という可能性を信じることができるかもしれません。バービーに親しい方も、そうでない方も、この映画を通じて、自分が当たり前と思っていることに疑問を抱くきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

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