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新紙幣の発行が間近となった今考えたい!キャッシュレスは地球にやさしいの?

新紙幣の発行が間近となった今考えたい!キャッシュレスは地球にやさしいの?

#SHOW CASE
  • つくる責任つかう責任

年が明けて早くも半月が経ちましたが、皆さんは今年どんなお正月を過ごしましたか?お正月の風習といえば、子供たちにとっての一番のお楽しみ「お年玉」ですが、ここ数年、「キャッシュレスお年玉」が注目を浴びています。
日本でキャッシュレスでお年玉を送る手段としては、利用者の多い「paypay」か「LINE pay」が主流のようですが、今年は皆さん「現金」と「キャッシュレス」どちらのお年玉をあげましたか?もらいましたか?

今回は、キャッシュレスについての事例などをご紹介しながら、そもそもキャッシュレスってSDGsに繋がるのか?を考えてみたいと思います。

キャッシュレスお年玉、もらった?あげた?

年末年始の帰省を控える人が多かったコロナ禍で注目度が高まった「キャッシュレスお年玉」。遠方に住んでいて直接手渡しできないケースでも“簡単・安全”に、そして“スピーディー”に送ることができる点が、キャッシュレスお年玉のメリットとも言えるでしょう。

民間企業が行った「お年玉意識調査」によると、2024年のお年玉をキャッシュレス込みでもらいたいと回答した方は約4割にのぼっていて、その理由としては、「普段使っているQRコード決済やICカードにチャージする手間が省けるから」や、「もらうのが簡単だから」「現金よりもお金の管理がしやすいから」などとなっています。

キャッシュレスであげたい人の理由としては、「あげる相手にとって便利で使い勝手がいいと思うから」「現金を用意するのが大変だから」「ポチ袋などを用意するのが大変だから」となっています。
一方で、キャッシュレスでもらいたくない・あげたくない理由としては、「現金でもらうことが風習だから」や「ありがたみを感じにくそう」、「あげた実感がなさそうだから」「キャッシュレスだと味気ないから」などの回答が上位にきています。

普段の生活ではキャッシュレス決済を取り入れていても、一年に一度のお年玉に関しては、まだまだキャッシュレスに抵抗があるというのもわかるような気がしますね。

国内キャッシュレス決済比率、目標40%

経済産業省が、2025年までに国内キャッシュレス決済比率を40%とする目標を掲げているのをご存知でしょうか。将来的には世界最高水準の80%を目指そうとしています。2025年といえば大阪万博が開催される年ですから、インバウンド消費の拡大を視野に入れてのことでしょう。ちなみに2022年のキャッシュレス決済比率は36.0%に達していて、このまま右肩上がりで推移すれば、2025年までに目指している40%は達成できるのではないかといわれています。

画像出典:経済産業省「我が国のキャッシュレス決済額及び比率の推移(2022年)

刷新された紙幣がいよいよ今年7月にお目見え

ここからは非キャッシュレス=「現金」のお話です。日本のお札は、古くから和紙の原料として使われている「みつまた」や、マニラ麻と呼ばれる「アバカ」など、硬質で弾力性のある植物繊維を原料としています。ミツマタは大半を輸入に頼っているという現状があるようです。

日本銀行によると、お札の平均寿命は1万円札で4~5年程度です。つり銭などで使用頻度が高い5千円札と千円札は1~2年程度といわれています。使えなくなったお札は裁断され、住宅用の建材やトイレットペーパー、事務用品などにリサイクルされていますが、それ以外の裁断屑は一般廃棄物として焼却処分されているのが現状です。焼却処分=CO2が発生しているのです。

画像出典:財務省「新様式の日本銀行券の発行について

そんな日本のお札(日本銀行券)ですが、ユニバーサルデザインを採用した新紙幣がいよいよ今年7月、約20年ぶりに登場します。お札が変わることによって考えられるのが、ATMや両替機、自動販売機やPOSレジ、食券機などの買い替え・改修などの特需です。その規模はかなりのものと想像できます。現金決済インフラを維持するためには、年間約1.6兆円を超える直接コストが発生しているという調査結果も出ています。

と、ここで、「キャッシュレス化を推進する一方で、新紙幣を発行するって何かモヤモヤする、、、」という人もいるかもしれません。財務省では、新札発行の公の目的は「お札の偽造防止」としています。しかし、約20年ぶりとなる今回の紙幣刷新は、「新しいお札に対応したレジや食券機などを導入するよりは、コスト的に負担が少ない、QRコードや電子マネー、クレジットカードでのキャッシュレス決済ができるようにする小売業者が増えることを想定している」とも考えられるのではないでしょうか。

キャッシュレス化が進んでいる国では「現金お断り」のお店が珍しくありません。新札発行以降、日本でも「キャッシュレスオンリー」のお店が増えるかもしれませんね。

製造から運用、保管、そして廃棄までの間にさまざまな環境負荷がかかる現金と比べて、総合的にCO2排出量を抑えられることなど、キャッシュレスは地球環境にやさしい選択であると言われています。世界最高水準の80%に日本が追いつくのはそう遠くない未来のような気がします。

四半世紀先の日本では、お正月に「昔はポチ袋に入ったお年玉をもらっていたよね」なんていう会話をしているのかもしれません。それはそれでなんだか寂しい気もしますね。


執筆 / フリーライター こだまゆき

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