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パーフェクト社・磯崎社長が技術開発の中で得たサステナブルな気付き「WWDJAPAN DXアワード2023」で準グランプリ・サステナビリティ賞を受賞

パーフェクト社・磯崎社長が技術開発の中で得たサステナブルな気付き「WWDJAPAN DXアワード2023」で準グランプリ・サステナビリティ賞を受賞

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米国発のファッション専門紙「WWD」の日本版「WWDJAPAN」が、「WWDJAPAN DXアワード2023」を開催し、化粧品・ファッション業界に特化したAI×ARバーチャル試着ソリューションなどを提供するパーフェクト株式会社が、準グランプリとなるサステナビリティ賞を受賞しました。

パーフェクトのどのような取り組みがサステナビリティ賞の受賞につながったのか、同社の日本法人で代表取締役社長を務める磯崎順信さんにお話を聞きました。

―この度は受賞、おめでとうございます。御社の取り組みがサステナブルな面で評価されたことについて、どのようなお気持ちでいらっしゃいますか。

弊社ではこれまでDXなどの技術の面で評価していただいて、殿堂入りとなっているアワードもあるのですがサステナビリティの観点で賞をいただくのは非常に新しいことでした。ショッピング体験を通して社会に貢献していきたいという目的意識はありましたが、今回のように私たちの技術がサステナブルに対してこれほどのインパクトを出すことができるということに、逆に気付かされました。

―バーチャル試着によりヘアサンプルが撤廃され、大量のゴミやCO2の削減につながったことが評価されていますが、当初からサステナブルを意識して開発していたものではなかったんですね。

大きなきっかけになったのは、ARの髪色シミュレーションを提供することにより、ヘアケアの大手ブランドがヘアカラーの毛束サンプルの店頭設置をとりやめたことです。私たちの技術が、結果的にたくさんのプラスチックごみを撤廃し、CO2削減にも繋がりました。サンプルを無くすと聞いたときは、私たちも非常にドキドキしていたんですが、逆に売上も好調でした。ヘアカラーはもともと試着ができないものですが、AR・AI技術により自分自身の髪で試せることで説得力がアップし、エンゲージメントもアップしています。その経験を経てからは、新たな技術がサステナブルにも繋がる可能性も意識して、ビジネスを展開しています。

―何かを制限することなく、技術によってより良いユーザー体験を得ながらもサステナブルになっていることが非常に素晴らしいと思います。どのように技術開発されてきたのでしょうか。

もともと私たちはサイバーリンクという企業でグローバルで画像・映像処理の技術開発をしていたんですが、その中で「YouCamPerfect」というセルフィ―アプリと「YouCam メイク」というメイクアプリが大きなヒットとなりました。当時、世間ではバーチャルメイクが出始めた頃だったんですが、サイバーリンクの技術を駆使することで自然なバーチャルメイクが実現できたんです。ただ開発当初は、技術者も男性中心でメイクやファッションには疎いメンバーばかり。化粧品の質感を再現するため、普段使うことの無いアイシャドウや口紅を実際に塗ってみたりして試すのは、なかなか大変でした。例えば最初は限られた数のアイシャドウのパターンしかなかったんですが、多くのクライアントさんからの要望に応えていく中で、今は何千パターンにもなりました。一般的なメイクの表現はほぼ全て再現できると自負しています。

サイバーリンクはPC向けソフトウェアメーカーとしてパソコン市場をターゲットにしておりましたので、パーフェクトとしてスピンオフして独立ベンチャーとして現在も走っております。おかげさまで、全世界で600以上のブランドで採用された実績を持ち、65万点を超えるコスメアイテムのバーチャル試着体験は、年間100億回を超えています。昨年10月にはニューヨーク証券取引所に上場することができています。

―技術開発において大切にしていることは何でしょうか。

まずは、使いやすさです。そして、それが普及できるかどうかですね。ごく一部の人にしか使えないものでは、社会的なインパクトは出せません。質が高いものを一般的な消費者が誰でも煩わしくなく使えるように展開していきたいと考えています。BtoBにおいても、これまでさまざまなブランドとのやりとりで得てきた技術を還元し、企業の担当者がより簡易にバーチャルでメイクなどを再現できるように取り組んでいます。

―世界60カ国以上でサービスを展開していますが、日本市場の特徴などはありますか?

日本の消費者は、買い物においての妥協や失敗をしたくないという思いが強いんです。品質や満足度に高い水準のものを求めていて、バーチャルメイクやAI診断の利用率は日本が世界のどこよりも高くなっています。一方でEC率は先進国の中ではとても低いんですね。最終的にはお店で買いたいということなんですが、選定段階でウインドウショッピング的にデジタルを非常によく活用しているんです。その日本でのデジタルエンゲージメントが今各ブランドの中での主戦場となりつつあります。パーソナライゼーションの向上や、もっとエンターテインメント性を持たせるなどのUXのイノベーションも日本からの発信が多いですね。よりイノベーティブなユーザー体験が日本で求められていると感じます。

―今後のビジョンをお聞かせください。

大きなビジョンとしては、ビジネス用の生成型AIを制覇したいですね。3Dビューア&オーサリングにおいても、すでにハイブランドを中心に利用していただいていますが、マシーンラーニング型からディーブラーニング型に移行し、より高いインテリジェンスを持てるようになりました。表現したい結果につなげるためには生成型AIをトレーニングする必要があるのですが、トレーニングを重ねて、求めているファッションやヘアスタイルを生成できるようにしていきたいです。特にヘアスタイルに注力していきたいですね。例えばウィッグは1点1点が非常に高額で、そのサンプルを大量に作るとなるとかなりコストがかかります。それをバーチャルで試着できるようになると、かなりのコストとゴミの削減になります。このように、新しい技術によって最良のユーザー体験を得られるだけでなく、SDGsの面でも貢献できるものを今後も提供していきたいと思います。

また高額な専用機器でなくとも、高性能になっているスマートフォンやタブレットを活用していただき、我々の精度の高いサービスを大手だけではなく個人サロンやクリニックなどでも利用できるようにしていきたいです。専用品を使わないことで、省スペースかつ不要なゴミなども減らせると思います。

SNSなどでよく利用されているメイクフィルターなども、実はパーフェクト社の技術のひとつ。バーチャルでの試着がより快適になれば、これまで試着用に用意され、不要となれば廃棄されていた膨大なアイテムが不要となり、ゴミやCO2の削減につながります。まずは気軽にバーチャルメイクや試着を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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