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人気インスタグラム「エシカルなまいにち」梨田莉利子さんの人と環境に優しい暮らし

人気インスタグラム「エシカルなまいにち」梨田莉利子さんの人と環境に優しい暮らし

#SHOW CASE
  • すべての人に健康と福祉を

人や社会、環境に優しい消費行動やライフスタイルを指す「エシカル」。子供3人と夫婦の5人+保護犬1匹と暮らす梨田莉利子さんは、10年以上に渡ってエシカルな暮らしを楽しんでいます。2022年、インスタグラムに「エシカルなまいにち」を開設したところ、瞬く間にフォロワーが増えて現在は13万人越え(24年2月)。昨年9月に発売した初の書籍『暮らしは楽しくエシカルに。』も発売早々重版がかかりました。人気の理由は、都市生活の中で無理なく、楽しく、エシカルライフを満喫している点。そんな梨田さんに、今の暮らしを始めたきっかけや暮らしにエシカルを取り入れるコツをお伺いしました。

長男の味覚がきっかけでエシカルライフに

「きっかけは子育てです。うちの長男はかなり感覚が敏感で、チクチクするお洋服が苦手だったり、離乳食を始めた時も食べるものと食べないものがあったんです。それも野菜全般を食べないとかではなく、同じ胡瓜でも食べるものと口から出してしまうものがある。それがずっと疑問だったのですが、お味噌汁を飲ませていて、ふと『出汁が違うからだ』と気付いたんです。家や両親に連れて行ってもらったお寿司屋さんのお味噌汁は大好きで飲むのに、それ以外のお味噌汁は飲まなかったので。彼が2歳の時にその話をしたら、『なんか、舌がチクチクする気がする』って言うんです。そこから農薬や添加物などの食について学び、そこから環境問題などに興味がわき、書籍などで学びながら暮らしを見直していったんです」(梨田さん)

撮影/齋藤誠一

排水溝の下は海と想像して暮らす

大阪の郊外にある建売住宅にお住まいの梨田さん。地方に移住して、古民家に暮らし、食べるものは自給自足――。そんな暮らしに憧れたことがない訳ではないけれど、その時の家族の状況や自分の性格から完ぺきなエシカルライフを実践するのを断念。そこから発展して現在は、ひとりで完璧なエシカルライフを実践するより、暮らしの3割ぐらいをゆるっとエシカルに代える方が100人、1000人と増えてくれたらいいなという境地に。では、3割のエシカルライフでは何から手を付ければいいのでしょう?

「エシカルを暮らしに取り入れるにあたり、まず最初に台所のスポンジを変えることを提案しています。スポンジって、使っているうちにボロボロになりますよね。その欠片が下水をかいくぐって海に流れると、マイクロプラスチックになると言われています。ですから、へちまスポンジや100均にも売っているセルローススポンジ、布巾などで代用していただけたら。排水溝の下には海が広がっていて、魚が泳ぎまわっていると想像すれば、取り入れやすいと思います」

撮影/齋藤誠一

数秒でゴミになる消耗品を使わない

へちまスポンジがへたってきたら、数センチ四方に切って細かいところを掃除して、最終的にはコンポストへ入れて土に返すという梨田さん。コンポストがない場合でも、小さく切ってサッシの掃除に使うなどはできそうです。では、2番目に取り入れるとしたら?

「使って数分、数十秒でゴミになってしまうものって結構あると思うんです。お掃除用のシートやキッチンペーパー、ラップもそうですよね。うちでは、オーガニックのさらしをネットで買って、キッチンペーパーの代わりに使っています。さらしはお近くに和装店があれば、そこでも買えます。洗えば何度でも使えますし、汚れてきたら掃除に使って、もう一度活躍の場を与え、これも最後は小さく切ってコンポストに入れています。空き瓶やガラスの保存容器を使うので、ラップも長らく買っていません」

「なくても大丈夫」思考を鍛える

お話を伺っていると、環境負荷の低いよいものに幾つも役割を与え、最後の最後まで使い切る姿勢が見えてきました。エシカルライフを始めるにあたり、そういった考え方も取り入れてもらえたらと梨田さんは言います。

「エシカルはお金がかかるイメージがありますが、長い目で見れば節約にもなるんです。そこで取り払ってもらいたいのが、『専用』という考え方。例えば、サラダスピナーはサラダにしか使えないし、ゆで玉子を輪切りにするだけの道具も確かにキレイに仕上がりますが、年に何回使いますか?と自問自答してみて欲しいんです。年に数回しか使わないものであれば、なくても良いのでは?という視点を持つことも大切です。しかも、そういった専用の道具が100均などで安く売られているのを見るたび、つい買っていては、幾つ収納場所があっても足りません。『なくても大丈夫』という思考を鍛えれば、消耗品にかけていたお金を長く使える道具に使えますからごみが減り、エシカルになるんです。それに、いい道具ってストレスフリーなんです。私は柳宗理のボウルを愛用していますが、フチに汚れが溜まらないし、表面の風合いがくすんでいるので傷も目立たない。家に置くものの影響って侮れなくて、嫌な存在感のものをポンと置くだけで景色が崩れる。お気に入りに囲まれた暮らしは楽しいです」

児童文学に育まれたエシカルな感性

梨田さんが10年以上に渡ってエシカルライフを楽しく続けてきた根底には、幼い頃から親しんできた児童文学の存在があります。『赤毛のアン』『若草物語』『あしながおじさん』。質素だけれど工夫を凝らし、生活を楽しむ彼女たちの日々にワクワクし、いつかその思いは、「こんな暮らしがしたい」に変わっていきました。それもあり、ご著書には「物語が教えてくれたエシカルな暮らし方」という章が。読めば、幼少期の読書体験が思いだされ、自然と心がエシカルライフに向かいます。

「見たことのない食べ物や着る物のディテールって、憧れもあって今も覚えているんですよね。『赤毛のアン』に出てくるレヤーケーキとか、モスリンの生地とか。例えばアンが最初にマリラから渡された服が『こげ茶のギンガム』『黒と白のごばん縞の綿じゅず』『青い更紗』のたった3着なのですが、このことに影響されて、3着で暮らしてみたこともあるんですよ! いま、ライティングデスクを探しているんですけど、『あしながおじさん』のジュディが使っていたマホガニーの机にしたくて、アンティークで探しているんです」

笑顔でエシカルライフについて話してくださった梨田さん。3つのティップス、明日からでも取り入れてみてはいかがでしょう?

「暮らしは楽しくエシカルに。」(梨田莉利子 著)

アイキャッチ画像 撮影/齋藤誠一 
取材・文 山脇麻生

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