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広告ビジュアルにおける「消費者の共感を生む」女性描写とは?iStockが「国際女性デー」に合わせ公表

広告ビジュアルにおける「消費者の共感を生む」女性描写とは?iStockが「国際女性デー」に合わせ公表

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3月8日は国際女性デーです。
女性を取り巻く環境が日々変化している中で、普段目にする企業やブランドのメディアや広告で女性はどのように描かれているのでしょうか。今回は、世界最大級のストックフォトサイト「iStock」でダウンロードされている人気のビジュアルについて、2024年と2019年を比較し、世代別に女性を描いた人気のビジュアルにどういう変化があるのか、社会的な背景を踏まえながら分析するとともに、消費者の共感を生む女性のビジュアル表現のポイントを、iStockのビジュアル専門家が解説します。

「アシスタント」から「リーダー」の描写へ…社会的背景を反映した人気の女性ビジュアルの変化

2019年にiStockで人気のビジュアルを見ると、Z世代(13~27歳頃)とミレニアル世代(28〜42歳頃)の女性は主に企業のビジネスシーンに登場し、チームメンバーやアシスタントとして描かれているものが選ばれる傾向にありました。対照的に、X世代(43〜58歳頃)以上の女性は、女性中心の環境でリーダーとして描かれているものが好まれる傾向にあり、一方でブーマー世代(59歳以上)は、家族や医療の場面で描かれたビジュアルの人気が高く、単独で行動する様子や仕事の場面で描かれているビジュアルはほとんど選ばれていませんでした。 

2019 年に人気のビジュアル(Z世代)  476064625,TAGSTOCK1,iStock

一方、2024年までには、こうした人気ビジュアルに顕著な変化が見られるようになりました。Z世代とミレニアル世代の女性は、依然として主に企業のビジネスの場で描かれているが、現在ではより自立し、責任感のある存在として描かれ、しばしば職場の会議を主導したり、自律的に行動したりしているものも好まれています。同様に、X世代以上の女性は、女性だけのチームを率いることから、男性やシニアを含む多様な仲間のグループを率いるものが選ばれるようになっています。ブーマー世代の女性についても、仕事やライフスタイルの場面で、充実した人生を送る個人として描かれものがより好まれています。

2024年に人気のビジュアル(ブーマー世代)  457984213,John Wildgoose,iStock

このように、5年前と比較すると、あらゆる世代にわたって、女性の自立性やリーダーシップ、人生のさまざまなシーンにおける多才さを強調し、さまざまな社会の動きを反映しながら、より多様で力強い女性のビジュアル表現の方向へ向かっていると言えます。
では実際、このように変化してきた女性のビジュアルは、企業やブランドの消費者にとって共感を得られるものになっているのでしょうか。ゲッティイメージズのビジュアル調査「VisualGPS」の調査結果をもとに、「求められるビジュアル」を分析していきます。

日本の消費者は「リアルで親しみやすい」ビジュアルを求めている

日本の消費者は、「現実味のあるライフスタイルや文化を正確にとらえたビジュアル」を強く望んでいます。ストーリーを無視して、例えば単に表面上の「ダイバーシティ」を反映させた人々を登場させるのではなく、登場する人物一人ひとりのユニークなストーリーを、見る人の心に届くようなニュアンスで描くことが重要です。
また、消費者自身の実生活に即し、企業やブランドの商品やサービスが自分の生活にどのように溶け込んでいるかを感じられる、自分と同じような人々がリアルに描かれているビジュアルが好まれています。親しみやすくインクルーシブ、誠実なイメージであることが、購買決定に影響を与えることもわかっています。
さらに、日本の消費者は、ビジュアルを見た際、単に憧れを抱くのではなく、純粋に「感情を揺さぶられる」ビジュアルに共感することも明らかになっています。これはどの世代にも言えることで、「人間関係の深さ」を反映したものや、年齢を重ねることの美しさ、日常生活にシームレスに溶け込んでいるといったビジュアルが好まれています。脈絡のないビジュアルや、複雑な感情を適切な背景なしに描いたビジュアルはあまり好まれません。

1753922860,visualspace,iStock

「多様性が表現されている」と感じる日本の消費者はわずか3%

このような調査結果にも関わらず、実際に世の中に出回る広告などのビジュアルについて、日本の消費者はどう感じているのでしょうか。近年、「多様性を反映させたビジュアル」が好まれる傾向にありますが、メディアや広告において多様性が正確に表現されていると感じている人は、世界全体で10%、日本ではわずか3%に過ぎないこともわかりました。さらに、日本の消費者の約70%は、メディアや広告は「自分と同じような人々を反映していない」と感じており、世の中のビジュアルとそれを見る人との間に大きな隔たりがあることもわかりました。
また最近では、生成AIを使った女性を広告に起用するなど新たな動きも見られるようになってきました。企業がマーケティングやブランドコミュニケーションにAIが生成したビジュアルをますます活用し始める中で、消費者が女性のビジュアルで何を見たいのか、どんなビジュアルに共感するのかということを常に覚えておくことが重要だと思います。

消費者の共感を生む、女性のビジュアル表現のポイント

最後に、企業やブランドの広告などで女性を描く際のチェックポイントを解説します。すべての世代の女性が正確に、またインクルーシブに表現されることが重要です。

① 多様性を表現する
クリエイターやコンテンツ制作者は、あらゆる年齢層における表現の多様化に積極的に取り組み、年齢を重ねた世代の経験や視点、社会へ貢献する姿がビジュアルコンテンツに忠実に描かれるようにしましょう。

② エイジズムと闘う
シニア世代に対するステレオタイプや偏見に挑戦し、エイジズムとその社会への影響についての認識を高めましょう。年齢を重ねることを肯定的に捉え、X世代やブーマー世代の活力や知恵、功績を表現しましょう。

③ 世代を超えたストーリーテリング
異なる年齢層のつながりや共通の体験を強調する世代間のストーリーテリングを押し出しましょう。世代を超えた共感と理解を育むことで、メディアコンテンツはより結束力のあるインクルーシブな社会に貢献することができるでしょう。

④ 「エイジフレンドリー」の活動を支援する
高齢者の特性を考慮し、すべての年齢層をよりインクルーシブに表現することを提唱する活動やキャンペーンに投資しましょう。ビジュアル描写とストーリーテリングの実践に前向きな変化をもたらすため、団体、擁護団体、業界関係者と協力していきましょう。

アイキャッチ画像 1495567583,Koh Sze Kiat,iStock

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