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空間再現ディスプレイを用いて製品開発の課題を解決!アシックスが「3D Shoes Viewer」を開発


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12 つくる責任つかう責任
空間再現ディスプレイを用いて製品開発の課題を解決!アシックスが「3D Shoes Viewer」を開発

スポーツメーカーのアシックスが、ソニー株式会社が開発した空間再現ディスプレイ「Spatial Reality Display」を採用し、シューズの物理サンプル製作の削減などサステナブルなモノづくりを実現すべく、デジタルツール「3D Shoes Viewer(スリーディーシューズビューワー)」を開発しました。

温室効果ガス排出量最少スニーカーの開発や、再生可能なサトウキビ由来の素材を使用したランニングシューズの開発などサステナブルな物作りを積極的に行っているアシックス。

今回発表されたのは製品開発における多くの課題を解決し、私たちのショッピング体験も大きく変えていくかもしれないツールです。

デジタルサンプルの活用で製品開発における多くの課題を解決

製品開発において、サンプル製作は必要不可欠です。一方で、大量のシューズサンプルの製作は製品の生産ラインを”サンプル製作用ライン”に変更する必要があり、製品の生産効率の悪化だけでなく、作業員の長時間労働につながるなどの課題がありました。

今回開発された「3D Shoes Viewer」は、実在感のある立体映像を裸眼で見ることができる空間再現ディスプレイを活用しており、実際のシューズがなくてもカラーや構造がわかるため、シューズ開発に欠かせなかったサンプル製作を減らすことができます。

アシックスは、デジタルサンプルなどを活用することで、従来の半数以下まで物理サンプル数を減少させ、サンプル製作に必要な時間やコストの削減とともに、工場の労働環境の改善に貢献。また、廃棄していた材料やサンプルも削減でき、環境に配慮した製品開発にも役立ちます。

カラーの比較がしやすい・省スペース・広くアプローチが可能などメリット多数

「3D Shoes Viewer」は、2023年11月に日本国内でおこなった展示商談会でも試験的に活用されており、実際にツールを使用した利用者からは、「非常にリアルで今後の活用が期待できる」「新色追加の物理サンプルはデジタルサンプルに置きかえられる」「省スペースで、アシックス製品の体験が可能になる」「今までできなかった客層や地域にもアプローチできる」など多くのポジティブな評価が寄せられています。

アシックスは今後、国内の展示商談会における新色追加をデジタルサンプルに置きかえることを検討するとともに、ASICS China Trading Co., Ltd.など海外販社の展示商談会での活用や、ASICS Europe B.V.のショールームに設置するなどビジネスモデルの進化を目指します。

さらに将来的には、新規アイテムのデザイン領域にも活用範囲を広げるほか、アパレルに関してもデジタルサンプルへの置きかえも検討していきます。

「ASICS RUN TOKYO MARUNOUCHI」で期間限定で体験可能

このツールは発売前の製品が体感できる販売促進ツールとしての活用も予定されており、3月11日から4月11日は期間限定で国内最大の旗艦店「アシックス原宿フラッグシップ」とランステーションを併設した総合型ストア「ASICS RUN TOKYO MARUNOUCHI(アシックスラン東京丸の内)」に設置されています。
ここではストライド型、ピッチ型の走法に応じてそれぞれ設計したトップアスリート向けのランニングシューズ「METASPEED PARIS(メタスピード パリ)」シリーズがデジタルサンプルで見ることができ、カーボンプレートや甲被と靴底の間の中間クッション材であるミッドソールが分解できるなど内部構造を確認できるほか、それぞれのシリーズを立体映像で比較することができます。

今後は、直営店舗に在庫がないカラーが確認できる仕組みや商品陳列など売り場づくりにおいてもさらなる活用を検討し、デジタルを活用したブランド体験価値の向上を目指すとのこと。「3D Shoes Viewer」の登場で、製造現場での多くの無駄が省けることはもちろん、購入者のショッピング体験もより良いものとなりそうです。

SDGsの目標12は「つくる責任 つかう責任」。私たち消費者にも地球環境を守りながら商品を選択していく責任があります。持続可能な社会につながる商品を選ぶことは、私たちが今すぐにでもできることのひとつ。何気ないお買い物のシーンでも、サスティナブルなアクションをしていきたいですね。

執筆/フリーライター Yuki Katagiri